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  • ファッションSnap:立川フラメンコ2024編

    (viernes, 9 de agosto 2024) セビジャーナス・パレードは、踊って参加するのがもちろん楽しいけど、踊っている人たちを観ているだけでも十分楽しいもの。 会場となったすずらん通りには、色とりどりの衣装をまとったフラメンコさんたちがいっぱい。 その中で、お話を伺ったいくつかのグループの皆さんのスナップをご紹介します。 写真・編集/金子功子 Fotos y edición por Noriko Kaneko ①フラメンコダンサー松下ひろみさん(前列中央)と生徒さんたちのグループ。 ②この日のためにオーダーで作ったという愛らしいピンクの衣装。ピンクのぬいぐるみポーチで可愛さアップ! ③フラメンコスタジオ・マグダレーナの生徒さんたちとフラメンコダンサー川田久美子さん(前列中央)。スタジオとカルチャースクールの生徒さんたちと合同での参加とのこと。帽子のお二人は熱中症対策も兼ねて揃えたそう。川田さんは3回目の参加で、生徒さんと参加するのは去年に続いて2回目。 「普段のライブではあまり着ない可愛らしい衣装にしました。みんなで華やかに立川を彩って、このイベントをきっかけにフラメンコに憧れて始めてくれる方が増えるといいですね」 ④東京外国語大学スペイン舞踊部のみなさん。サークルとしては毎年参加されているそうで、彼女たちは2回目の参加とのこと。鮮やかで可愛い水玉模様のファルダは、実は大学の部室にストックされている衣装だそう。 「路上で踊るのは、舞台とは雰囲気も違って新鮮でした。暑かったけど、気持ち良かったです」 ⑤埼玉県新座市のフラメンコサークル仲間4人で参加したグループ。内2人が初参加で、なかには8~9回参加している人も。荷物を軽くするために小さく畳める衣装にしたり、ネットオークションでお得にゲットしたりと工夫もさまざま。 「舞台と違ってミスしても許されるので、楽しんで踊りたいです」 ⑥東京の同じ教室に通う仲間同士の3人。内2人は初参加。手持ちの衣装の中から明るい感じのものをチョイス。 「野外は初めてなので、お祭り気分で楽しみたいです。いろんな人の踊りをたくさん観られるのも楽しみ」 「主催側のカンテを歌う方が知り合いで、今回誘っていただきました。来年はカンテで出るつもりです」 ⑦フラメンコダンサー安田真梨恵さん(一番右)と生徒さんたちのグループ。 ⑧ジャマキートこと山本将光さん(一番左)のグループ。息子さんで同じくフラメンコダンサーの海さん(右から2番目)、涼さん(一番右)も参加。 ⑨おそろいの赤いコルドベス帽が印象的でした。 ⑩フラメンコ大好きな仲良しメンバーで参加。アバニコでのセビジャーナスも素敵でした。 (番外編)可愛い衣装の子どもたち。インタビューするのはMCを務めたフラメンコダンサー篠崎麻由美さん ◎立川フラメンコ2024の特集記事はこちらから >>>>>

  • スペインNews 8月号・2024

    (miércoles, 7 de agosto 2024)   文・写真/志風恭子 Texto y fotos por Kyoko Shikaze    セビージャの夏は日本よりも気温は高いですが湿度がないので案外過ごしやすいというのをご存知ですか? 街角の温度計は50度近くを示すような日でも、日陰に入れば案外なんとかやり過ごせます。とは言っても1日で一番気温が上がる午後、3時頃から8時くらいまではできれば外出しない方がいいでしょう。そう、南スペインのシエスタ、昼寝の習慣は自己防衛なのですね。実際に眠りはせずとも、スペインの遅いお昼ご飯の後は暗くした部屋でゴロゴロするのは理由があるのです。   【マノロ・マリンへのオマージュ/ベラ・デ・トリアーナ】  7月のセビージャといえばベラ。トリアーナの夏祭りです。毎年7月26日、聖母マリアの母、聖アンナの日までの1週間に渡って開催され、トリアーナ橋は白と緑の提灯で飾られ、川べりのベティス通りにはカセータ、テント小屋が立ち並び、多くの人で遅くまで賑わいます。 ©︎ Kyoko Shikaze    カセータと言っても春祭り、フェリアのように入場制限があるわけでもセビジャーナスを踊るわけでもなく、政党や教会、趣味の協会などによるバルで、流行りの音楽などかけて飲食するのみ。キューバ広場よりにはアヒルのおもちゃを釣ったり、サッカーボールを蹴って商品をもらう屋台やチューロやハンバーガーの屋台が出ていたり、夏祭り感満載。 ベティス通り ©︎ Kyoko Shikaze    トリアーナ橋のたもとのアルトサーノ広場の特設舞台では毎夜、セビジャーナスやスペイン歌謡などの無料コンサートが日替わりで行われます。今年のフラメンコ公演は24日、ビエナルはトリアーナから始まる、というタイトルで、トリアーナ出身で今もトリアーナに住むマノロ・マリンへのオマージュという形で行われました。  ホセ・メンデス、ホセ・バレンシアのカンテソロ、そしてコンチャ・バルガス、アンドレス・マリンという布陣。マノロとそれほど関わりがないようなメンバーのように思えますが、なぜこの人選? 生徒を一人選ぶとクレームがつくから?よくわかりません。  でも広場にはかつてのマノロの生徒たちをはじめセビージャのアルティスタたちがたくさん。 ラモン・マルティネス、アリシア・マルケス、ロサ・ベルモンテらとマノロ。 ©︎ Kyoko Shikaze    他にもラファエル・カンパージョやホセ・オルテガ、カルメン・レデスマなども会場で見かけました。  マノロもフィン・デ・フィエスタでは88歳とは思えない見事なブレリアを披露して、観客を喜ばせました。 林結花さん撮影 【萩原淳子ラ・ウニオン準決勝進出】  スペインで最も有名なフラメンコ・コンクールといえば、ムルシアのラ・ウニオンという小さな町で開催されるカンテ・デ・ラス・ミーナス国際フェスティバルでのコンクール。 フェスティバルのメイン会場、かつての公設市場 ©︎ Kyoko Shikaze    元々この地ゆかりのカンテ・デ・ラス・ミーナスと呼ばれる、ミネーラ、タランタ、カルタヘネーラなどの曲種の保存と普及のために始まったもので、始まった年こそコルドバのコンクールの後になるものの、3年に1度開催のコルドバに対し、毎年開催のこちらは今年で63回を数え、最も歴史の長いコンクールと言っても過言ではありません。当初はカンテのみでしたが、その後、ギターや舞踊、そしてギター以外の楽器部門も作られ、多くのアルティスタたちにスポットライトを当ててきました。今年のフェスティバルは、その一人、ミゲル・ポベーダが8月1日開会宣言をして始まり、前半はそのミゲルのリサイタルやスペイン国立バレエの公演などが行われ、後半がコンクールです。    そのコンクール準決勝に、萩原淳子が進出することが発表されました。  コンクールにはスペイン各地はもとより国外からも含め、300人もの応募があったそうです。そこから書類選考されたおよそ70人がマドリードやグラナダ、デニアなどスペイン各地で開催される予選に出場。そのパフォーマンスの審査により、ラ・ウニオンで3日間にわたって行われる準決勝に臨む人が選出され(今年は舞踊5人、カンテ10人、ギター4人、楽器4人の計23人)、フェスティバルの中で3日間にわたって行われる準決勝を経て、最終日、決勝に進む人が決まります。    これまでに日本人では、舞踊部門で平富恵、南風野香、井上圭子、丹羽暁子、田村陽子、石川慶子、堀越かおり、カンテ、マラゲーニャ部門で大森暢子、楽器部門でベースの森田悠介が出場しています。  コンクールの模様は例年通りだとYouTube( https://www.youtube.com/@CanteDeLasMinas/featured )で中継されます。スペイン時間22時開始なので、日本時間の早朝5時からです。 ウニオンのコンクールに出場した日本人たち。左上から時計回りで丹羽暁子、井上圭子、大森暢子、堀越かおり、石川慶子、田村陽子 ©︎ Kyoko Shikaze   【ビエナル並行プログラム】  偶数年の今年はセビージャのビエナルの年。すでに劇場公演の入場券は発売され、開幕ガラやミゲル・ポベーダやメルセデス・デ・コルドバの公演など満員札止めの公演もあります。ミゲルは翌日の1公演追加されこちらの入場券はまだあるようですが、全国を回っている公演でもセビージャでは特別ゲストにエバ・ジェルバブエナやディエゴ・デル・モラオとヘレスのおばさまたちを迎えるなど特別な趣向があるようです。日本公演が大好評だったマヌエラ・カラスコもゲストにアントニオ・カナーレスやエル・ペレを招くとか。  7月11日には並行プログラムも発表されました。フラメンコ関連映画の上映や、セビージャの各地区での公演、講演会など、多彩な催しが行われる予定です。 ©︎ La Bienal   並行プログラム プレゴン・イ・フラッシュモブ 9/11(水)11時 [場]トリアーナ橋 20時30分 [出]〈プレゴン〉サラ・バラス、フラッシュモブ/アンダルシア舞踊団 [場]アメリカ広場   マルテス・デ・シネ 9/3(火)20時30分 パコ・ミジャン監督『アントニオ・マイレーナ。ラ・ライス・デル・カンテ』スペイン、2023年 70分 世界初公開 9/10(火)20時30分 パロマ・サパタ監督『ラ・シングラ』スペイン、2023年95分 9/17(火)20時30分 ロシオ・マルティン監督『フェルナンダ・イ・ベルナルダ・デ・ウトレーラ』スペイン、2023年 95分  9/24(火)20時30分 『カルメン・イ・マリア』 10/1(火)20時30分  スサンネ、ツェリンガー。ナタリア・アジャ監督『パライソ・デ・クリスタル』オーストリア、2022年 73分 [場]セビージャ トレス・クルトゥーラ財団 [料]無料(事前に予約) [問] www.tresculturas.org .   並行プログラム/フラメンコ・ア・ピエ・デ・カジェ 9/14(土)22時『フィエスタ・エン・セビージャ』 [出]〈c〉アナベル・バレンシア、コラル・デ・ロス・レジェス、サマラ・カラスコ、マラ・レイ、〈g〉クーロ・バルガス、〈b〉フェルナンド・ヒメネス [場]セビージャ セビージャ・エステ クエバ・デ・メンガ通り 9/20(金)22時『オノレス・ア・トーレス・マカレーナ。50アニョス・デ・ソレーラ・フラメンカ』 [出]〈b〉カルメン・レデスマ、ミゲル・エル・ルビオ、〈c〉ナタリア・マリン、ガブリエル・デ・ラ・トマサ、〈g〉ラモン・アマドール、〈palmas〉エミリオ・カスタニェダ、マヌエル・パハレス [場]セビージャ アラメーダ・デ・エルクレス 9/21(土)22時『アラメダ・ビバ』 [出]〈c〉ホセ・エル・ペチュギータ、ホセ・エル・ベレンヘーノ、ルイス・ペーニャ、ハビエル・エレディア、〈g〉ヘスース・ロドリゲス、〈b〉マヌエラ・カラスコ・イーハ [場]セビージャ アラメーダ・デ・エルクレス 9/27(金)22時『プロメサ・イ・グロリア』 [出]アララ財団生徒 [場]セビージャ ムリーリョ公園 9/28(土)『スエニョス・エン・トリアーナ』 [出]〈b〉ルイサ・パリシオ、ヤイサ・トリゴ、サイラ・プルデンシオ、アナ・オロペサ、フアン・トマス・デ・モリア、〈c〉ニーニョ・デ・ヒネス、マリアン・フェルナンデス、エスペランサ・ガリード、〈g〉ヘスース・ロドリゲス、フアン・アンギータ、マルコス・デ・シルビア [場]セビージャ ムリーリョ公園 10/4(金)『グランデス・マエストロス・デル・バイレ・デ・セビージャ』 [出]〈b〉イニエスタ・コルテス、フアン・デ・ロス・レジェス、フアン・パレデス、フアン・ポルビージョ、アリシア・マルケス、〈c〉ホセ・アニージョ、モイ・デ・モロン、〈g〉ラファエル・ロドリゲス、アントニオ・ガメス [場]セビージャ パセオ・エウロパ公園(ベルメハレス) [問] https://www.labienal.com/otros-oles-actividades-paralelas/flamenco-a-pie-de-calle   並行プログラム/エンクエントロス“ラ・ウニベルシダ・デル・フラメンコ” 9/23(月) 11時講演『ニーニョ・リカルド、ウン・フェノメノ・エスパニョル』エル・パジョ・ウンベルト、〈g〉アレハンドロ・ウルタード 12時30分『ディアロゴス・デ・マエストロス』 参加者セラニート、マノロ・フランコ、リカルド・ミーニョ、アントニオ・ボニージャ 9/24(火) 11時講演『エル・リカルディスモ』ノルベルト・トーレス 12時30分『オノーレス・ポル・トダ・ウナ・トラジェクトリア・ア・セラニート』〈g〉ジョニ・ヒメネス [場]セビージャ  CICUS [問] https://cicus.us.es   なお、日本語でのすべてのプログラムは こちら にもアップしてあります。   【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。   >>>>>

  • 新・フラメンコのあした vol.18

    (lunes, 5 de agosto 2024)   20年以上にわたりスペインで活動するジャーナリスト東敬子が、今気になるスペインフラメンコのあれこれを毎月お届けします。今月は、昨年暮れにマドリードのカナル劇場で上演されたスペイン国立バレエ団の舞台作品についてのリポートです。   スペイン国立バレエ団 『ラ・べジャ・オテロ』 カナル劇場・赤の間、マドリード、スペイン 2023年12月16日   Ballet Nacional de España “La Bella Otero” Teatros del Canal - Sala Roja, Madrid. 16 de diciembre 2023   文:東 敬子 画像:宣伝素材 Texto: Keiko Higashi Fotos: Promoción    「私の人生は振り返ると、リハーサル、本番、らんちき騒ぎ…その繰り返しだったような気がします。私のこの長い「旅路」には、さまざまな男たちが登場しました。彼らは欲望を露わに、私に懇願するのです。ため息をつきながら、時には泣きながら…」    19世紀後半のダンスシーンを華々しく飾った“ラ・べジャ・オテロ”(一般的にはラ・ベル・オテロとフランス語読みで表示)ことカロリナ・オテロの人生は、波乱万丈を絵に描いたようなものでした。その類稀なる美貌で男を翻弄し、のしあがった“ファム・ファタル”。しかしその壮絶な人生に、本当の愛は最後まで訪れなかったのです。    カロリナ・オテロを題材にしたスペイン国立バレエ団による作品『ラ・べジャ・オテロ』は、彼女の人生を反映した様々な舞踊スタイルで魅せる、監督ルベン・オルモの意欲作です。    観終わった感想は、お世辞抜きに、素晴らしいの一言。オルモ監督の舞踊への深い造詣が、そのままステージで披露されたような、見応えのあるものでした。どの場面(舞踊スタイル)も完璧で、素晴らしい。一人の人物の一生を追うその作りも、これまでありそうで無かった。2時間20分の長尺でしたがさほど気にならず、最後は何か、大河ドラマを一気に観たような達成感すらありました。    ただ、この作品を観る前に、カロリナ・オテロに関する予備知識は必要かなと思いました。知らなくても、様々な舞踊スタイルが楽しめるショーとして観ることはできますが、ストーリーが頭に入っていないと混乱する場面もあるでしょう。公演案内には彼女のストーリーがちゃんと説明してあったので、この辺の気遣いも良かったなと思います。   美しきオテロ    1869年ガリシア州ポンテベドラの貧しい家に生まれたオテロは10歳で奉公に出されますが、そこで性的暴行を受け、生涯消えることのない心の傷を抱えることになります。結果、彼女にとって男性は、利用するだけの道具となっていきました。    14歳で恋人と一緒に奉公先から逃げ出し、場末の歌手・踊り手として働き始め、19歳で当時の恋人の援助を受けてフランスへ移住。「アンダルシア出身のジプシー」という触れ込みでパリのミュージックホールのスターとなり、「ベル・エポック」と称される華やかな時代を闊歩していきます。    街から街へ、国から国へと公演を行い、オテロは瞬く間にヨーロッパ社交界に名を轟かせます。そしてモナコやロシアの大公、イギリス、スペイン、セルビアの王たちと浮き名を流しました。しかし彼女の心は決して満たされることなく、大金を稼いでもギャンブルに注ぎ込む生活の果てに、引退後は貧困を余儀なくされ、1965年フランスのニースにて、97歳でこの世を去りました。    彼女の出身地であるガリシア地方の民族舞踊ムニェイラなどのスペイン舞踊はもとより、サルスエラの要素や、彼女の運命を暗示したビゼーのカルメンの場面など、様々な舞踊に彩られ物語は進んでいきます。    パリのキャバレーのカンカン。当時のカフェ・カンタンテを賑わせたフラメンコ。彼女を有名にした、闘牛士の扮装をして10人のギタリストと共に踊ったブレリア。ワールドツアーで成功を収めた時代では、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースを思わせる踊りや、タップダンスまで登場(流石にこれには驚きました)。身体に宝石だけを身につけ踊った官能的なダンス。ロシアの宮廷の場面では、コンテンポラリーダンスで妖しい雰囲気を演出しました。    そして最後は、過去の栄光を思い落ちぶれた今を憐れむ、というような寂しさを全面に出したラストとなりました。でも私は、別の見方をしています。実は彼女は、割と清々しく人生の幕を閉じたのではないかと思うのです。    彼女はきっと人生の大半を、寂しさと共存してきた。その自分を知っていた。そして実は、騒々しい上っ面の笑顔を憎み、疲れ切っていたのではないか。だからこそ苦しくとも、真実の自分に戻れた晩年の生活に納得して、心穏やかに旅立っていったのではないか。私はそう思うのです。     【筆者プロフィール】 東 敬子 (ひがし けいこ) /フラメンコ及びスペインカルチャーのジャーナリストとして、1999年よりマドリード(スペイン)に在住し執筆活動を続ける。スペインに特化したサイト  thespanishwhiskers.com を主宰。   >>>>>

  • VIVAフラメンコFES、にぎやかに開催!

    (domingo, 4 de agosto 2024)   写真/北村海人 Fotos por Kaito Kitamura 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko    教室や愛好家の枠を越えて「フラメンコをもっと楽しんでもらいたい!」との思いから企画された、フラメンコギタリスト池川寿一さん率いるVIVAフラメンコ音楽教室主催による参加・体験型イベント『VIVAフラメンコFES』が、昨年12月24日に東京・西日暮里のショーレストラン「アルハムブラ」で開催されました。  プログラムは2部制で行われ、1部は愛好家たちによるステージとして、このイベントに向けての短期クラスに参加して練習を重ねてきたグループの群舞や、同好会・サークルとして活動しているチームなどによるパフォーマンスが行われました。  ティエントやアレグリアス、カーニャなどお馴染みのフラメンコの曲種から、パーカッショニストの容昌さんと生徒さんたちのカホン・アンサンブルによるルンバ、ウクレレ仲間とフラメンコ仲間で共演したセビジャーナスなど、ユニークで個性的なプログラムが目白押し。「ツルジャーナス」という変わったネーミングの曲では、歌って踊ってギターも弾けるというフラメンコのガチの愛好家、鶴岡健さんを囲んでの三位一体のセビジャーナスが繰り広げられました。  また、開催日がちょうどクリスマスイブだったこともあり、1部のラストは南浦和で活動する愛好家グループによるクリスマスの演出を盛り込んだファンダンゴで、季節感あふれるステージとなりました。  後半の第2部はプロによるステージで、本格的なフラメンコライブをたっぷり鑑賞。エンディングは80名以上の参加者によるセビジャーナスで、大いに盛り上がりイベントの幕を閉じました。  参加者の募集を始めて早々に定員締め切りとなってしまったという今回のイベント。プロの舞台を観たり聴いたりするのももちろん楽しいけど、気のおけない仲間と一緒に参加して楽しみたいという人がたくさんいるんだなぁ、と実感できた一日でした。  なお、今年の企画もすでに12月8日(日)と日程が発表されています。  「私も参加してみたい!」と思ったそこのアナタ、仲間を誘ってもよし、クラスに参加してもよし、フラメンコでもっとワクワクしてみませんか? 【プログラム】 [1部 愛好家の競演] 1 ティエントA 2 サンボンバ 3 カホン・アンサンブル 4 カルメン名曲メドレー 5 ウクレレ・フラメンコ 6 はじめてのアレグリアス 7 ティエントB 8 ツルジャーナス 9 カーニャ 10 クリスマス・ファンダンゴ [2部 プロによる演目] 1 タンゴス 2 ソレア・ポル・ブレリア/飯塚真紀 3 アレグリアス/川﨑裕子 4 ソレア/手下倭里亜 5 フィン・デ・フィエスタ +総勢80名のセビジャーナス ◎12/8開催!VIVAフラメンコFES vol.2 の詳細は こちら https://vivafla.jp/20241208fes/ >>>>>

  • みだれ髪 情熱の歌人・与謝野晶子

    石井智子スペイン舞踊団公演 (sábado, 3 de agosto   2024)   2024年2月16(金)~18日(日) 日本橋劇場(東京)   写真/川島浩之 Fotos por Hiroyuki Kawashima 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko  近代日本を代表する女流歌人、与謝野晶子の生涯をテーマとした劇場公演「みだれ髪 情熱の歌人・与謝野晶子」が上演された。この作品は3年前に初演されたが、そのときはコロナ禍で制限も多かったため、「もっと多くのお客様に観ていただきたい」「今の自分で、もう一度与謝野晶子の一生を踊りたい」という思いから今回の再演を決めたと言う。  作品の構成は、晶子の代表作である歌集『みだれ髪』を中心に、彼女が創作した詩の数々をモチーフとし、その人生や世界観をフラメンコ舞踊と音楽で多彩に表現している。  プロローグは、真っ暗な舞台でピンスポットに照らされた石井が、晶子の『恋』という詩を朗読する場面から始まる。ギターとチェロの演奏や、花や蝶を投影したプロジェクションマッピングの映像演出が美しい。  ピアノ前奏から始まるアレグリアス。後に夫となる与謝野鉄幹へ恋心を抱く晶子の、希望と若さ溢れる花盛りの娘時代を石井がソロで生き生きと踊る。  月と夜桜の映像演出が印象的な群舞のグァヒーラ。灯篭をひとつずつ灯しながら登場する娘たち。その舞う姿は夜の蝶のように神秘的で、乙女たちの密やかな宴が楽しそうに繰り広げられる。  晶子にとって恋と歌のライバルでもあった親友、山川登美子との絆を表現したカーニャ。バタ・デ・コーラの衣装にマントンを翻し、石井と南風野が姿勢の美しいパレハを魅せる。高い表現力で二人の別れと苦悩、怒りや悲しみが伝わる。  アストゥリアスの群舞では、婦人解放運動を推し進める当時の女性たちを表現。パリージョを奏でながら迫力ある大群舞を披露した。  鉄幹への愛に苦悩し他の女性への嫉妬に苦しむ晶子を演じた石井のシギリージャ。黒の衣装で髪を下ろし、ドラマティックな照明演出とともに激しい心の乱れを全身で表現。  女性たちが社会で活躍する喜びや恋の喜びを歌った歌集『太陽と薔薇』をモチーフとしたカンティーニャス。赤と白のバタ・デ・コーラで揃えた女性たちの晴れやかな笑顔がまぶしい。  最愛の夫を亡くし、悲しみと喪失に打ちひしがれる晩年の晶子を演じたタラント。ほとばしる感情を吐き出すように踊る姿は身体の動きも足の音も良く、とても最後の曲とは思えないほど。スタミナ切れになるどころかむしろ、より滑らかになって冴えていたように思う。最後の一瞬まで、晶子の人生を踊り演じ切った。  この作品で石井のソロは、パレハも合わせると4曲。ソロで踊るということは、その場面を自分一人で背負わなければならないから、舞踊表現も足の音も、全てを高い集中力で表現し続けなければならない。とんでもないスタミナと精神力だ。  また、そんな彼女を支える共演者たちの雰囲気がいい。ゲストダンサーも舞踊団員もミュージシャンも、頼もしい一体感がそれぞれのパフォーマンスから伝わってくる。  終演の3日後に石井は自身のSNSで、与謝野晶子というパワフルな女性を踊り表現したことを振り返り「1曲が終われば、倒れ込むようにフラフラで袖に入り、酸素を吸い、髪形を変え、早変わり。まさに命懸けの舞台でした」と打ち明けている。  全身全霊をかけて出演者やスタッフらと力を合わせて創り上げた舞台作品は、観る者に大きな感動を与えてくれた。晶子の生涯に寄り添った石井の真っ直ぐな想いは、きっと遠い空の向こうにいる彼女に届いている事だろう。 【出演】 石井智子 南風野香、井上圭子、中島朋子 石井智子スペイン舞踊団 (松本美緒、小木曽衣里子、清水真由美、福田慶子、樋口万希子、角谷のどか、梅澤美緒子、岡田美恵子、藤丸莉沙、栁沼芽以) ギター:鈴木淳弘、今田央 カンテ:川島桂子、井上泉 ピアノ:野口杏梨 チェロ:矢口里菜子 パーカッション:朱雀はるな 【プログラム】 プロローグ 1. 自由に生きよ!自由に恋せよ! (アレグリアス) 2. こよひ逢ふ人みなうつくしき (グァヒーラ) 3. 白萩と白百合 -晶子と登美子- (カーニャ) 4. 目覚めし女たち (アストゥリアス) 5. 思ひ乱るる (シギリージャ) 6. 太陽と薔薇 (カンティーニャス) 7. 寂寥 -エピローグ- (タラント) >>>>>

  • わが心のスペイン vol.8

    (lunes, 22 de julio 2024) 南房総と南スペインで田舎暮らしを楽しむ、石井崇が描くスペインの情景。 『ひとり旅』 ダリ生誕の地フィゲーラスから十数キロ離れた小さな漁港カダケスは 静かな観光地でもあります。 スケッチしに訪れたとき、海に面した小さな食堂を見つけて入りました。 メニューには、なんとウニのてんこ盛り。 早速頼みましたが、まあ、美味しかったこと。 食堂を出た後、海を覗いたら沢山見つけました。 さて、今でも食べられるのだろうか? 【プロフィール】 石井崇(Takashi Ishii) /画家。1942年東京・京橋生まれ。東京芸術大学卒業後、1975年単身スペインに渡り、村祭りを回るテキヤ業などでしのぐ。セビリア郊外アルカラ・デ・グアダイラに居住。1989年よりグラナダ・アルプハーラ(Alpujarra)地方にあるフェレイローラ村(Ferreirola)にアトリエを構え、今はフェレイローラ村と南房総館山をふたつの故郷とし、田舎暮らしを楽しんでいる。著作は「おれたちがジプシーだったとき」、「詩画集プラテーロとわたし」、「スペイン四季暦」、「南スペイン、白い村の陽だまりから」、画集「イシイタカシの世界」など。2004年「館山親善ふるさと大使」に任命、全国大学フラメンコ大会を企画。 ホームページ「イシイタカシの世界」 http://www.oliva2004.net/index.html >>>>>

  • 「2024真夏の夜のフラメンコ」日比谷野音で開催

    (sábado, 20 de julio 2024) 半世紀以上という長い歴史を持つ夏の野外フェスティバル「真夏の夜のフラメンコ」公演。会場の建替え工事により本当は昨年が最後の公演となる予定でしたが、工事が1年延期されたことを受け今年も開催されることになりました。 主催の小松原庸子スペイン舞踊団をはじめ、日本で活躍する屈指のフラメンコダンサーやミュージシャン、今年の全日本コンクールの入賞者たち、さらにはスペインからも男性舞踊手を招聘するなど素晴らしいキャストが勢ぞろいします。 今年も猛暑が予想されますが、夏の夕暮れのひとときを冷たいドリンク片手に、フラメンコ舞踊を観て楽しんでみてはいかがでしょうか。 小松原庸子スペイン舞踊団 第53回野外フェスティバル 「2024真夏の夜のフラメンコ」 [日時]    2024年7月27日(土)  開場16:30 開演17:00 [会場]    日比谷野外大音楽堂(東京) [キャスト]          小松原庸子スペイン舞踊団 中島朋子 松尾美香 北山由佳 藤川淳美 関真知子 横山さやか 伊集院久美子 髙橋麻木 林美奈子 鈴木小登子 阿部智恵 平田小織 久保智恵 柴垣 由紀 金光三枝子 高橋ひとみ 勝呂公美子 福田薫 黒澤真弓 北詰桂子 宮下香鈴 鬼頭篤子 クリスチャン・デ・ラ・フエンテ ボルハ・レブロン 奥濵春彦 鈴木敬子 入交恒子 田村陽子 松彩果 Las 4 petirrojas(篠田三枝 島崎リノ 福山奈穂美 松島かすみ) 大槻敏己 津幡友紀 鍜地陽子 中田佳代子 二村広美 幸田愛子 山本涼 入交恒子フラメンコ教室 アカデミアマルガリータ カンデーラ発ともだち列車たからもの号 第5回全日本フラメンココンクール入賞者&ファイナリスト 伊藤笑苗(バイレ部門優勝) 齋藤克己(カンテ部門優勝)  熊谷善博(カンテ部門準優勝) 南豪(小松原庸子特別賞) 松下ひろみ 福岡由理 千葉真優美 大里尚子 佐藤陽美 中村太香子 平田かつら(第4回小松原庸子特別賞) ヴァイオリン:寺島貴恵 カンテ:ミゲル・デ・バダホス チェマ ギタリスト:髙橋紀博 長谷川暖 カホン:山本将光 パーカッション:橋本容昌 [チケット](全席指定、税込) S席8,000円 A席7,000円 B席5,000円 ペア席6,000円 [チケット販売]   ローソンチケット (Lコード:32391) *取扱は7/23まで。 ソル・デ・エスパーニャ(小松原庸子スペイン舞踊団) または各出演者まで。 [後援]    スペイン大使館 インスティトゥト・セルバンテス東京 公益財団法人日本スペイン協会 [主催&問合せ]   ソル・デ・エスパーニャ(小松原庸子スペイン舞踊団) tel:03-3314-2568 E-mail: flamenco@komatubara.com >>>>>

  • アーティスト名鑑vol.13

    (miércoles, 17 de julio 2024)   スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。   文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze パケーラ・デ・ヘレス(カンテ) ファルーコ(バイレ) マヌエル・モラオ(ギター)   Francisca Méndez Garrido “Paquera de Jerez” Jerez 20-5-1934 a 26-04-2004   パケーラ・デ・へレス 本名フランシスカ・メンデス・ガリード 1934年5月20日カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ生、2004年4月26日ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ没 1995年マドリードのビジャロサで行われた映画『フラメンコ』打ち上げで歌う。うっとり聴いているマリオ・マジャの顔も見える ©︎ Kyoko Shikaze   圧倒的な声量と熱血鉄火肌なフラメンコ性で唯一無比な存在、パケーラ・デ・ヘレス。カルロス・サウラ監督映画『フラメンコ』のオープニングを飾ったあのブレリアは見た人全てに強い印象を残したことだろう。子供時代、内戦後の貧しい時期から歌って稼ぎ、50年代初めにSPレコードで初録音。マドリードのタブラオだけでなく歌謡曲風ブレリアで人気を博し、59年には自らの一座で全国公演するなど活躍。71年にコルドバのコンクールで優勝。2002年小松原庸子の招きで来日、その様子はドキュメンタリー映画『ポル・オリエンテ・サレ・エル・ソル』として記録されている。   【動画】 国営放送のフラメンコ番組でのパケーラ回。伴奏は日本公演にも同行したパリージャ・デ・ヘレス。 https://www.rtve.es/play/videos/rito-y-geografia-del-cante/rito-geografia-del-cante-paquera-jerez/1786640/   これはすごい。ベルナルダ、フェルナンダ、パケーラと三巨匠が揃い踏み。トリをとったパケーラの迫力。嬉しそうなフェルナンダの表情にも注目。1990年カナルスールのスペイン歌謡番組での一コマ。フェルナンダを含め、必見。 https://youtu.be/qKbpjBW3h1c?si=cPTkD9irVEz2pBbT 1995年映画『フラメンコ』プレミアのためマドリードに向かう電車の中でフィエスタとなり歌う ©︎ Kyoko Shikaze Antonio Montoya Flores “Farruco” Pozuelo de Alarcón18-4-1935 Sevilla 17-12-1997   ファルーコ 1935年4月18日マドリード県ポスエロ・デ・アラルコン生まれ 1997年12月17日セビージャ没   瞬発力名ギタリスト、ラモン・モントージャの血筋。早逝した息子ファルキート、娘たちファルーカとピラール、孫たち、ファルーカの息子ファルキート、ファルー、カルペータら、そしてその子供達へと、その舞踊のDNAは今に続く。マノロ・カラコールらの一座を経てピラール・ロペスやホセ・グレコ舞踊団へ。フラメンコだけでなく民族舞踊も踊ったという。後、マティルデ・コラル、ラファエル・エル・ネグロとロス・ボレーコスとして活躍。息子を亡くし一時舞台から退いていたが、復帰後は最愛の孫ファルキートと映画『フラメンコ』や各地のフェスティバルなどで共演するなどしていた。 1992年セビージャ万博アンダルシア館のタブラオに家族で出演。©︎ Kyoko Shikaze   【動画】 おそらく80年代のビエナルの録画と思われる映像。抑えて抑えて瞬時に爆発するエネルギー。観客の絶妙なオレのタイミングにも唸らせられる。 https://youtu.be/1RzFvA_fTa0?si=Ima1IDhOcLrH7bAi ©︎ Kyoko Shikaze Manuel Moreno Jímenez “Manuel Morao” 22-7-1929 Jerez de la Frontera   マヌエル・モラオ 本名マヌエル・モレーノ・ヒメネス 1929年7月22日ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ生まれ   ハビエル・モリーナ門下。ニーニャ・デ・ロス・ペイネス、アントニオ・マイレーナをはじめ錚々たる歴史的名歌手たちに寄り添ってきた伴奏の名手。1953年からグラン・アントニオ舞踊団でも活躍。来日公演にも参加している。66年からヘレスで公演シリーズ、フエベス・フラメンコスを初め、多くの若手を世に送り出すなどプロデューサーとしての腕も確か。87年からはマヌエル・モラオとヒターノス・デ・ヘレスというカンパニーを結成し、『エサ・フォルマ・デ・ビビール』などの作品で世界各地を公演して回った。 ©︎ Kyoko Shikaze   【動画】 『リト・イ・へオグラフィア・デル・カンテ』のテレモート回。フェルナンドの熱唱に熱いギターで伴奏しています。このほかにもペルラ・デ・カディスやティア・アニカなどの回でも伴奏しています。  https://www.rtve.es/play/videos/rito-y-geografia-del-cante/rito-geografia-del-cante-fernando-terremoto/5058568/   2019年のインタビュー。しっかりとフラメンコとヒターノについての自論を語るところはとても90歳とは思えないほど。 https://youtu.be/ruuywKRNOaU?si=IrFC2i21zFZ13Hc9 2003年ヘレスのフェスティバル記者会見会場にて、甥のモライート・チーコと。©︎ Kyoko Shikaze 1988年ヘレスにて『エサ・フォルマ・デ・ビビール』公演のフィン・デ・フィエスタでひと踊り。ギターはニーニョ・ヘロとモライート。歌っているのはマヌエル・モネオ。子供はメルセデス・ルイス。©︎ Kyoko Shikaze   【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。   >>>>>

  • ArtistaЯ ~表現者☆~ ep.7

    ep.7 二村広美  Hiromi Futamura (lunes, 15 de julio 2024) 写真家・大森有起が、今を輝くフラメンコ・アーティストたちの真の姿を写す 何事も”好き”だけでは越えられないことばかり。 どれだけ努力し学んでも終わりなき路が延びていく。 試練も一つの魅力なんだな、といつも思う。 本当に”好き”でなければ続けられない。 オリジナリティ満載の広美ちゃん。 一見すると変容遊戯に見える彼女だが、 一本気な努力家で、表裏のない正直者。 いつも様々なことにチャレンジしている、そこがまた良い。 では何故フラメンコを踊るのか? ストレートに聞いてみたが...返答は如何に。 「なぜ踊るのか」 踊る度にどんどん好きになって、 悩みも痛みも幸せに感じるから...かな。 フラメンコは本当に奥深く、難しく、尊い。 振付をしながら歌やギターのことも考えると、 踊る以前の段階で自分には足りないことばかり。 生き様がバレるからとても怖かったりする。 でも、好きだからもっと知りたくて、近づきたくて、 ずっと頭から離れなくて...。 イメージ通り踊る為には 身体がギリギリになる時もあるけれど、 踊り続けたら痛みが幸せの一部になることも知りました。 フラメンコに失礼がないように踊り続けたら、 踊らなくても幸せになれると信じて。 誰かに幸せを届けられると信じて。 今は一生懸命踊るのみです。 >>>>>

  • CAMINO DE ANDALUCIA vol.2 ~遥かなる旅路~

    第7回関口京子フラメンコリサイタル (sábado, 13 de julio 2024) 2024年1月27日(土) Showレストラン・ガルロチ(東京・新宿) 写真/近藤佳奈 Fotos por Kana Kondo 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko     フラメンコ舞踊家の関口京子が、7回目となるリサイタル公演を8年ぶりに開催した。今回の作品は、フラメンコの故郷であるアンダルシア地方へ至る音楽の道をテーマとした「CAMINO DE ANDALUCIA」の2作目。今作ではジプシー(ロマ、ヒターノ)が辿ったと言われるインド、シルクロード、東欧などアンダルシアへと続く地域の音楽に焦点を当てた。  中でも関口が注目したのは、東欧に伝わるジプシー音楽の中で重要な役割を果たしているジプシーバイオリン。それをフィーチャーした舞台にしたいと思い、1年前から平松と曲選びから始め、一緒に作り上げていったという。 (写真1)ジプシーのルーツと言われるインド北部民族の民謡 を音楽と踊りで表現  公演は2部制で、前半はジプシーが辿った国々の音楽と舞踊によるステージ。  プロローグでは、ステージ正面のスクリーンに砂漠の風景が映し出される。真っ暗な客席の合間を、黒装束の3人がゆっくりと歩いて回る。フィンガーシンバルを鳴らし、ランタンを手に提げさすらう放浪者たち。場内には海沼が音源を制作したという砂漠を吹く風の音が聞こえ、ドキュメンタリーを観ているかのような臨場感だ。  スクリーンが上がると、ジプシーのルーツと言われるインド北部の民族舞踊が始まる。踊り手たちはインド舞踊で見られるようなラメやスパンコールで彩られたオリエンタルな衣装で登場。ミュージシャンらはナチュラルな白系の衣装で、ラバーバというアラブ遊牧民の民族楽器なども取り入れ、音楽と踊りで賑やかな宴を繰り広げる。  アゼルバイジャンの音楽では、海沼がカヌーンという日本の琴の先祖と言われる楽器でソロを披露。ハープのような音色の中にオリエンタルな響きを醸し出す。 (写真2)ジプシーバイオリンの名曲Ninaのワンシーン  ハンガリーの音楽はジプシーバイオリンの作品が多く、その中から3曲を披露。舞踊曲、歌唱曲、バイオリン曲とそれぞれの曲を、奥濱のマントンやパリージョを使った踊り、川島の素朴で温かみのある歌、そして平松の雰囲気溢れる演奏でハンガリー音楽の豊かな魅力を表現した。  フランスでは当時流行していたジャズをジプシーたちが取り入れて誕生したマヌーシュ(ジプシー)ジャズというジャンルが生まれ、その中から有名な2曲を披露。旅の始まりを連想させる演技シーンや、それぞれの楽器がフリージャズ形式でソロを演奏するなどで当時の雰囲気を表現。また椅子を演出に使っての群舞は独創的で、それぞれの個性も光り統一感があった。  最後のルーマニアの音楽では、海沼がダウルというトルコの大太鼓を抱えてのダイナミックなプレイ。客席も盛り上がり、そのリズムに合わせて手拍子も上がった。 (写真3)海沼がダウルというトルコの大太鼓でステージを盛り上げる  後半の第二部は、旅の終着点アンダルシアを舞台とした本格的なフラメンコステージ。  高野はレバンテ地方の代表曲タラント。自身の得意とするレパートリーでもあり、情感あふれる踊りと女性らしい身のこなしは思わず見とれるほど。  奥濱のシギリージャは力強さとキレの良さが際立ち、独自の美学が細部にまで貫かれていた。終盤はタンゴにスイッチするという構成もユニークで、それがあまりにも自然だったのには目を見張った。  関口はカディスのアレグリアスをバタ・デ・コーラとマントンで披露。笑顔で踊る姿に喜びやうれしさが自然と表れていて、自身の想いにふさわしい一曲であった。  終演の挨拶で、関口は今回の公演を2022年12月に亡くなった恩師の岡田昌巳に捧げたいと語った。  長い時間を掛けて、出演者ひとりひとりが丁寧に作り上げてきた今回の作品。舞踊も音楽もそれぞれにこだわりが光り、あまり聴く機会の無いジプシー音楽の魅力を存分に堪能し、フラメンコという文化の豊かな側面に触れることができた。 【出演】 踊り 関口京子 奥濱春彦 髙野美智子 ギター 今田央 歌 川島桂子 バイオリン 平松加奈 パーカッション 海沼正利 【プログラム】 [第1部] 1. プロローグ ~砂漠の放浪者~ 2. インド ~宴・出奔~ Banna Maharo Kesariyo 3. アゼルバイジャン ~郷愁~ Qanun Taqsim Ay Qiz 4. ハンガリー ~流浪~ Nina   Nora luca   Maneana lui kemal 5. フランス ~融合~ Tchavolo swing Made in France 6. ルーマニア ~熱狂・旅は続く~ Gypsy sahara [第2部] 1. タラント 髙野美智子 2. シギリージャ・ポル・タンゴ 奥濱春彦 3. アレグリアス 関口京子 4. フィン・デ・フィエスタ 全員 >>>>>

  • カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.38

    (lunes, 8 de julio 2024) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai Joaquín el de la Paulaのソレアー②  アルカラーのソレアーを代表する創唱者であるホアキンの二つ目(便宜上の番号で、正式に番号が付いているわけではない)のエスティーロ(estilo, 型)を取り上げます。  前回の①はアルカラーの顔とも言うべき最も知られたスタイルですが、今回のはもう少しマイナー。  もちろんカンテとしてはアルカラーの重要なレパートリーであり、多くの歌い手達によって古くから録音されてきました。  今回②の例として取り上げるのは、Juan Talega(ファン・タレーガ、本名Juan Agustín Fernández Vargas, ドス・エルマーナス町出身で1891~1971年)の録音から。  ファン・タレーガはホアキンの兄、アグスティンの息子でホアキンのソブリーノ(甥)にあたる直系のヒターノ。  馬の仲買人を生業としており身内のフエルガでしか歌わなかったが、その純粋な味わいは次第に評判を呼び、アントニオ・マイレーナを始め多くの歌い手達が彼を聴くためにやって来たという。  そのマイレーナの後押しもあって、50年代中頃から舞台に登場。59年にはコルドバの全国カンテコンクールでトナー、ソレアー、シギリージャ部門で優勝。以後、各地のフェスティバルにカンテ界の長老として登場するようになり、60年代の初めにスペイン・コロンビアから4曲入りのEPを、その後アリオラにも数曲録音したが彼自身のLPレコードは残さなかった。  しかし幸いな事に、アンダルシアでのフェスティバルやプライベートなフエルガの録音を集めた単独LPが、彼の亡くなった後アンダルシア州政府から「フラメンコの黄金シリーズ」として制作されたのは我々アフィシオナードスにとって実に嬉しい出来事だったし、フランスのシャン・ドゥ・ムンドからもCDとして発売された。 (Letra) Quise mucho a una mujer tuve un momento de loco y esa mi ruina fue.   (訳) ある女に惚れた末に ある時俺は狂ってしまった、 それが身の破滅のもとさ。   ※Quise ⇒ quererの直過1単(愛した) ※tuve ⇒ tenerの直過1単 ※ruina ⇒崩壊、破産、破滅    詞の内容は、恋の病が高じて事件を起こしそれが身の破滅の元となったという事。  ヒターノの社会は男女の付き合いとか結婚には厳格ですから、破ったら彼らの社会から爪弾き(つまはじき)される例を私も見た事があります。  これは3行詞ですが1,2,3行目と繰り返しも無く実にシンプルに歌い、エキスやエッセンスなど純粋な本質を取り出して濃縮したソレアーです。  誰にでも出来る事ではなく、ファン・タレーガのようにこのソレアーを知り尽くし、その声の響きを持ち、その時代の環境を生きた人ならではの表現なのでしょう。  最初のQuiseを頭の一音節を抜いて(Qui)se~と始める事はよくある事で、続く歌詞の意味からこれがQuiseかDiceか、あるいはDicenか、などと推理すれば良いのです。この場合は1人称、つまり主語は私ですからQuiseでいいわけですね。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~34(以下続刊)。   ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、 アクースティカ ( https://acustica-shop.jp/ )へお問い合わせください。(編集部)   >>>>>

  • 新・フラメンコのあした vol.17

    (lunes, 1 de julio 2024)   20年以上にわたりスペインで活動するジャーナリスト東敬子が、今気になるスペインフラメンコのあれこれを毎月お届けします。 今月も、昨年秋にマドリードで行われた 第18回「スマ・フラメンカ」フェスティバル で上演された作品から、エバ・ジェルバブエナの舞台についてのリポート です。   エバ・ジェルバブエナ 『ジェルバグエナ』 「スマ・フラメンカ」フェスティバル カナル劇場・赤の間、マドリード、スペイン 2023年11月5日 Eva Yerbabuena “Yerbagüena” Festival Suma Flamenca, Teatros del Canal - Sala Roja, Madrid. 5 de noviembre 2023   文:東 敬子 画像:宣伝素材/東 敬子 Texto: Keiko Higashi Fotos: Promoción / Keiko Higashi  フラメンコ舞踊を習っている女性なら、憧れてやまないのが彼女、エバ・ジェルバブエナでしょう。    その一挙手一投足を、ああ、あんな風に踊ってみたいと、一心不乱に追ってしまう。私はエバの、グラナダ出身らしい、重く力強い足音を聞くたびに、心が湧き立ちます。フラメンコの想いを爆発させる身体の動きに、見惚れてしまいます。私は彼女の魂から湧き上がるソレアが、全然はしゃがない、むしろ苦しげなタンゴが、大好きです。    でも、世代によっては、エバの印象は異なるかも知れません。私が初めて触れたエバは、そんな伝統的なバイレを踊る踊り手でした。でも、2000年以降に彼女に触れた人にとっては、エバは前衛的なタッチでバイレの時代を変えた革命児であることでしょう。    今回、 「スマ・フラメンカ 2023」フェスティバル で世界初演された作品『ジェルバグエナ』は、彼女の舞踊人生の変換を、そしてその集大成としての今を、存分に表現した意欲作でした。出だしの伝統的なそれ、中盤の前衛的な流れと、どこを取っても完璧に表現され、非常に見応えがありました。    今回はホセ・マヌエル・オルーコの、ワイルドなフラメンコらしいバイレとの絡みもあり、時折味わえるその違った食感が面白かったです。もちろん、憂いを帯びたギターのパコ・ハラーナと、ミゲル・オルテガ、アルフレド・テハーダ、セグンド・ファルコンらの燻銀のカンテはいつもの通り流石の一言。今更ながら、エバ・ジェルバブエナは観客を裏切らないと再確認しました。  エバのファンはもちろんのこと、彼女をまだ見たことがない人にも彼女がどんな踊り手なのかが一発で分かる素晴らしい作品ですので、機会があったらぜひ足を運んでいただきたいと思います。   エバの軌跡    1970年、ドイツのフランクフルトで生まれたエバは、生後間も無くスペイン人の両親の故郷・グラナダに移住し、フラメンコに囲まれて育ちました。セビージャでプロとして頭角を表し、1997年、27歳で自身の舞踊団を旗揚げします。そして2000年に発表した作品『5・ムへーレス・5』で新境地を開拓し、現代バイレの旗手として一時代を築き上げました。    『5・ムへーレス・5』は衝撃的でした。80年代以降はアントニオ・ガデス作品のように物語性を重視した作品が増え、違った曲種を組み合わせて踊るというシンプルな構成の舞台以外にもバラエティが生まれていた時代でした。しかし『5・ムへーレス・5』は根本的に違ったんです。彼らはあくまで、物語を、心の爆発をフラメンコで表現していたのに対し、エバは、情感という甚だ抽象的なものを表現しようと試みたのです。    何かピンポイントで説明できない、言葉にできないその感覚を、私たちは舞台の上に見ました。パンフレットにある説明文も、すごく抽象的な彼女の心の動きが書いてあるだけで、全然役に立ちません。時にはフラメンコ以外の音楽や動きも出てきます。照明もすごく暗くて、まさに真っ暗な彼女の悩める心の内をひっそりと立ち止まって覗いているかのよう。    けれど私たちは理解しました。こんなに分かりにくい、掴みどころのない何かを、観客はエバと共有し、自身の心の中に同じものを見つけ、共感したんです。まさに奇跡。まさに彼女の表現力の賜物。    そうしてエバは現代バイレにビフォー・アフターを作りました。後進が憧れ、真似をし、彼女の作品は新しいスタンダードの一つとなりました。彼女が行った前衛的な演出も、今ではすっかり当たり前になった感があります。観客が会場に入り始めた時にすでにステージ上には踊り手がいて観客を観察している…なんて、いろんな人のステージで見たことありますよね。パンフレットにある抽象的な文言も、暗い照明も、ぜーんぶエバのせいです(笑)。    そして50代半ばとなった彼女は、今もなお世界の観客を魅了し続けています。彼女のフラメンコには伝統的な、そして規格外の動きが交差しますが、その二つがお互いを殺し合うことはない。これからも益々その世界を広げていってほしいと願って止みません。     【筆者プロフィール】 東 敬子 (ひがし けいこ) /フラメンコ及びスペインカルチャーのジャーナリストとして、1999年よりマドリード(スペイン)に在住し執筆活動を続ける。スペインに特化したサイト thespanishwhiskers.com を主宰。   >>>>>

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