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- アーティスト名鑑vol.15
(miércoles, 18 de septiembre 2024) スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze *名鑑登場アーティスト一覧は こちらから パンセキート(カンテ) メルチェ・エスメラルダ(バイレ) ペペ・アビチュエラ(ギター) José Cortés Jiménez “Pansequito” La Linea de la Concepción, Cádiz 8-1-1945 – Bormujos, Sevilla 17-2-2023 パンセキート 本名ホセ・コルテス・ヒメネス 1945年1月8日カディス県 ラ・リネア・デ・ラ・コンセプシオン生、2023年2月17日セビージャ県ボルムホス没 1992年セビージャにて ©︎ Kyoko Shikaze 70年代、スペインのヒットチャートに躍り出たフラメンコ歌手はカマロンではなく、彼、パンセキート。幼くしてセビージャを経てカディス県プエルト・デ・サンタ・マリアに移りそこで育ったため、当初はパンセキート・デル・プエルトと呼ばれ、その地の名誉市民ともなった。マドリードのタブラオやガデス舞踊団などでの活躍を経て1971年、エンリケ・モレンテがプロデュースしたデビューアルバムでもその名が記載されている。1974年、ブレリア『タパメ』がヒット。これはフアン・アビチュエラ、ぺぺ・アビチュエラの伴奏だった。その後は各地のフェスティバルなどを中心に活躍し、2010年にはコンパス・デル・カンテ賞を受賞している。響きがよく、ふくみのある声、伝統を現代に息づかせる独特の歌い回し。歌い手のアウロラ・バルガスは公私とものパートナーだった。 【動画】 2000年ソレア。熱唱。絶品。 https://youtu.be/ME-umbPEOL0?si=uVXFfcHrRzTTl-JI 1995年カナルスールの番組でブレリアを歌う。伴奏はニーニョ・デ・プーラ https://youtu.be/9ukiVZnebVs?si=gkup6NVj4IoezB6T 1973年スペイン国営放送『カンテの祭儀と地理』。アレグリアスやタンゴ、ソレア、ブレリアなど、フアン・モラオ(マヌエル・モラオの弟、モライート・チーコの父)伴奏で。 https://www.rtve.es/play/videos/rito-y-geografia-del-cante/rito-geografia-del-cante-pansequito/5389207/ 2006年4月セビージャにて ©︎ Kyoko Shikaze Mercedes Rodríguez Gamero “Merche Esmeralda” 1947 Sevilla メルチェ・エスメラルダ 本名メルセデス・ロドリゲス・ガメロ 1947年セビージャ生 優雅、華麗、高い品格というだけでなく、セビージャらしい華やかな明るさといたずらっけのある愛嬌、人懐っこさも兼ね備えた踊り手。12歳で初舞台、16歳でプロに。マドリードやセビージャのタブラオで踊り、またマドリードの舞踊学院に学ぶ。21歳でコルドバのコンクールで優勝。1980年、グラン・アントニオの招きでスペイン国立バレエ団に。一時退団したものの、86年にゲストアーティストとして復帰、『メデア』などを踊り、1989年スペイン国立バレエ団初の日本公演にも参加している。後、ムルシア舞踊団、サラ・バラス、エバ・ジェルバブエナとの作品『ムヘーレス』、また自らの作品などで活躍した。カルロス・サウラ監督の映画『セビジャーナス』『フラメンコ』にも出演している。現在は表舞台からは引退している。 2014ビエナルでの作品『ウルティマ・パラーダ』。美しい手の形、首の位置。表情。完璧、Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Antonio Acedo 2018年マドリードにて©︎ Kyoko Shikaze 【ビデオ】 国立バレエ団時代のソレア。1986年 https://youtu.be/lX5Fh_8J-zA?si=q-cp1TtOclhOewTg カナルスールのフラメンコ番組でのシギリージャ。2000年。 https://youtu.be/0QozWg-BPWc?si=8oGbLQ6KwJRtwfBi José Antonio Carmona Carmona "Pepe Habichuela" Granada, 23 de octubre 1944 ぺぺ・アビチュエラ 本名ホセ・アントニオ・カルモナ・カルモナ 1944年10月23日グラナダ生 2016年 Espacio Santa Clara ©︎Oscar Romero La Bienal 父、兄、弟、息子、甥もギタリスト、妻は踊り手…というフラメンコ一家の重鎮。今年、2024年で80歳。現在、引退公演ツアー中のペペはグラナダ、サクロモンテの洞窟でキャリアをスタート。後、マドリードに移り、タブラオやフェスティバル、録音にと活躍。特にエンリケ・モレンテの伴奏で『オメナヘ・ア・ドン・アントニオ・チャコン』(1976年)や『デスペガンド』(1977年)などのアルバム多くの名伴奏を残している。1983年ソロアルバムを発表。歌伴奏だけでなく、ソリストとしてまた、デイブ・ホランドらジャズミュージシャンとの共演など、自由な精神と強いフラメンコ性が特徴。 【ビデオ】 2018年ヘレスのフェスティバルでのコンサート。 https://vimeo.com/259512924?share=copy スペイン国営放送で放映された2017年のペペへのオマージュ公演の模様。息子ホセミ・カルモナをはじめ、トマティートやホセ・メルセ、アントニオ・カナーレス、ミゲル・ポベーダらも出演。 https://www.rtve.es/play/videos/otros-programas/especial-pepe-habichuela-60-anos-guitarra-flamenca/4320758/ カナルスールでの演奏。グラナイーナ https://youtu.be/zbvL9ACaTjc?si=SpBd6wIF0q1bzgkt 1989年カナルスールでのタンゴ。第2ギターで息子ホセミ、甥フアン、カホンでアントニオ、ベースにライムンドというケタマ/パタ・ネグラがサポート。 https://youtu.be/SmNXKXdv0VU?si=YGJeBkP-JIfUSHHb おそらく同じ時のソレア。 https://youtu.be/YmmlYSETcIU?si=cPu1zyo7zpj7J8Tb 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>
- 中田佳代子フラメンコ舞踊公演《 En silencio -静寂なる祈り-》
(martes, 17 de septiembre 2024) スペイン・バルセロナを拠点に日本でも精力的に舞踊・教授活動を続ける中田佳代子さんが、自身4回目となる日本ツアー公演を行います。 共演には、ヘレスのフラメンコ一家出身のダビ・ラゴス、アルフレッド・ラゴス兄弟、日本フラメンコ界を牽引する三枝雄輔さん、胡弓・三味線の名手本條秀慈郎さん、平和伝道師アイヌ歌手の床絵美さんが出演。 各ジャンルで活躍するアーティスト達を迎え、伝統的なフラメンコとともに新しい世界を表現します。 中田佳代子フラメンコ舞踊公演 《 En silencio -静寂なる祈り-》 <出演者> 中田佳代子 (主演・バイレ踊り) ダビ・ラゴス(カンテ) アルフレッド・ラゴス(ギター) 三枝雄輔(パルマ・踊り) 床 絵美(歌) 本條秀慈郎(胡弓・三味線) <開催日> ● 岩手公演 2024年12月15日(日) 開場15:30/開演16:00 盛岡劇場メインホール 〒020-0873岩手県盛岡市松尾町3-1 ● 大阪公演 2024年12月18日(水) 開場18:30/開演19:00 心斎橋PARCOSPACE14 〒542-0085大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-8-3 ● 東京公演 2024年12月19日(木) 開場19:00/開演19:30 なかのZERO小ホール 〒164-0001東京都中野区中野2-9-7 <チケットお問合せ> ・Tel:090-2365-2103 ・Mail: info@kayokoflamenco.com ・Livepocket(オンライン販売) [岩手公演] https://t.livepocket.jp/e/en_silencio_iwate [大阪公演] https://t.livepocket.jp/e/en_silencio_osaka [東京公演] https://t.livepocket.jp/e/en_silencio_tokyo ※ Livepocketは販売手数料がかかります。 【中田佳代子さんコメント】 今回、共演が夢だったダビとアルフレッドのラゴス兄弟をスペインから招聘し、素晴らしい共演者の方々と舞台公演を盛岡、大阪、東京で行う運びとなりました。 フラメンコを踊る事に、自分の伝えたいことの意思を乗せて表現する事は非常に難しいですが、素晴らしい共演者の皆様の力を借りて、その思いを舞台の上で紡いでゆきたいと思います。 命の尊さ、今は当たり前である平和、踊ることの喜び、何かを感じていただけたら幸いです。 ぜひたくさんの人に見ていただきたいです。 どうぞよろしくお願いいたします。 中田佳代子 【 En silencio ー静寂なる祈りー 】 人間は皆、大きな静寂の海から生まれる。 色や形が違えども、私たちは同じ生命体なのだ。 この作品は、スペインマドリッドにある「Centro Coreográfico María Pagés」マリア・パヘス財団のアーティスト・レジデンスに選出され制作が始まった。 人間愛・反骨精神・平和などをテーマにし、多様性の現代に生きる名もなき私達の人生讃歌を、伝統的なフラメンコを軸に表現していく。 出演者には、フラメンコの聖地アンダルシア、カンテフラメンコのゆりかご、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラから現在最も旬なフラメンコの歌い手、ダビ・ラゴスとギタリストのアルフレッド・ラゴスというフラメンコの巨匠たちをスペインから招聘。伝統的フラメンコはもちろんのこと、創作の分野でもトップレベルで、フラメンコ舞踊コンテンポラリーの巨匠イスラエル・ガルバン(Netfilixダンスドキュメンタリー作品「MOVE」の主役)とも共演し、世界を駆け回る唯一無二のフラメンコアーティスト兄弟である。 パルマ(手拍子)や踊りの三枝雄輔は、フラメンコ愛溢れる素晴らしい踊り手でもあり、日本フラメンコの守護神でもある。彼が持つフラメンコへの愛、リスペクトが日本いや、もはや世界のフラメンコ界を支えていると言っても過言ではない、真のフラメンコ界のリーダーだ。 坂本龍一とのコラボレーションや国際的ミュージシャンやコンテンポラリーダンスとの共演など、多分野で幅広く活躍している胡弓・三味線の本條秀慈郎。 ジャンルに囚われずに沢山の世界の芸術や音楽との交流し、アイデンティティを守りながら国際的に大活躍しているアイヌ歌手、床絵美。 これらの国際的に活躍している素晴らしい出演者達のもと、フラメンコの原点であるカンテとギターに寄り添いながら、中田自身の新たな人生を創作していく。 静寂なる祈りの時、私たちは研ぎ澄まされ、すべてを受け入れ、そして平和へと導かれていくーーーーー。 主催 カヨコフラメンコスタジオ 後援 スペイン大使館、インスティトゥト・セルバンテス東京、(一社)現代舞踊協会、(一社)日本フラメンコ協会、Centro Coreográfico María Pagés 協賛 KFH(みんなで京都にフラメンコを広める会) ◎中田佳代子公式サイト https://kayokonakata.com/ja/ >>>>>
- ArtistaЯ ~表現者☆~ ep.9
ep.9 ヴォダルツ・クララ Clara Wodarz (lunes, 16 de septiembre 2024) 写真家・大森有起が、今を輝くフラメンコ・アーティストたちの真の姿を写す 5年前、そして現在のクララちゃんの言葉を並べる。 真面目で男前な彼女の心根は変わらない。 全ては”神の声”なのかもしれない。 「いつも客席で見守ってくれていた母の面影を探していました。 今の自分を誇りに思ってくれているか、 一瞬一瞬を大切に、無我夢中で舞台に立ってました。 多くを与えてくれたフラメンコに、 少しでも恩返しができるような踊り手、 アフィシオナーダになりたいと願ってます」 「これからして往きたいこと」 フラメンコというものは、 良くも悪くも「自分」が出るもの。 同時に、人間の本質的なものに 深く切り込んでいくものでもあると思っています。 フラメンコを通して「どう生きるか」を常に模索していきたい。 そしてそれを周りの人達と共有し、 一緒に考え続けていきたいです。 >>>>>
- 沖仁 フラメンコギター独奏 SOLITO+[PLUS]
ゲスト 鈴木大介 (domingo, 15 de septiembre 2024) 2024年 3月9日(土) 東京オペラシティ リサイタルホール(初台) 写真提供/株式会社ジンズアクション 文/金子功子 Texto por Noriko Kanek o 幅広いジャンルのミュージシャンとの共演経験が豊富な、フラメンコギタリスト沖仁が毎回素晴らしいゲストを迎え、極上の演奏を楽しんでほしいとのコンセプトで開催するコンサートシリーズ『フラメンコギター独奏 SOLITO+[PLUS]』公演が行われた。 今回の会場は、自身初となる東京オペラシティのリサイタルホール。素晴らしい音響を備えたコンパクトな空間は、満席の観客に埋め尽くされた。 今回のゲストは、日本を代表するクラシックギタリストの鈴木大介を迎え、フラメンコギターとクラシックギターそれぞれのソロ演奏に加え、円熟の域に達したスペシャルなギター二重奏も披露するという。 第1部のステージは沖のギターソロを中心に構成。マエストロ・セラニートに捧げるソレアや、セビージャに住んでいた時に作ったというタンゴ、そしてアストゥリアスと、様々な曲調が楽しめる選曲。細やかな指使いで粒ぞろいの音色を奏でる。重厚感がありつつも柔らかいギターの響きが心地よい。 MCでは、最近ワークショップをこのオペラシティのリハ室でやっていることや、かつてこの近くに住んでいた頃の思い出話などを披露。また使用ギターについても、2022年の秋に完成したという本間廣明氏の作で、歯切れの良い音が魅力で一心同体になれる一本だと紹介した。 次の曲は春なので、と日本人にはお馴染みの「さくらさくら」。ドラマティックなブレリア・アレンジが何とも新鮮な一曲。またグラナイーナでは、秘めた思いがほとばしるような情熱的な演奏を聴かせてくれた。 第2部のステージでは、今回のゲスト鈴木大介が登場。1曲目は鈴木のソロで、バッハの曲をしっかりとした張りと艶のある音色で響かせる。 MCで沖はフラメンコギターの前にクラシックギターを弾いていたことに触れ、今でもその良さに魅かれていると話す。そして鈴木をクラシックギターのマエストロと紹介し、旧知の仲でもある事から打ち解けたトークで会場を楽しませる。 続いて、映画音楽から2曲をデュオ演奏で披露。映画「黒いオルフェ」の「オルフェの歌」では、互いに音を重ね呼吸を感じ合いながら音を重ねていく。この曲は鈴木が8弦ギターで演奏、豊かな低音域を聴かせた。そして女優ペネロペ・クルスが出演した映画「ボルベール(帰郷)」からは、フラメンコアレンジのタンゴの曲。心地よいメロディーに優しい陽気さが伝わり、瑞々しさが感じられる一曲だ。 またファリャの名作、歌劇「はかなき人生」から「スペイン舞曲第1番」や、アランフェス協奏曲アダージョのブレリア・バージョンなど、みんながよく知るお馴染みの曲も披露。互いの素晴らしい音色が溶け合い、二人の演奏スタイルの魅力がそれぞれ楽しめる選曲だった。 最後は沖がマイク無しの生音で、歩きながら「Tremolo[トレモロ]~お別れの歌~」を演奏。音を慈しむように丁寧に奏でられた、珠玉のアンコールとなった。 【出演】 沖仁(フラメンコギター) ゲスト:鈴木大介(クラシックギター) >>>>>
- 内田好美フラメンコソロ公演『孤独生』Vol.2/10
〜対価 Valor 〜 (sábado, 14 de septiembre 2024) 【東京公演】 2024年3月10日(日) 四谷シアターウィング 写真/大森有起 Fotos por Yuki Omori (*写真はすべて名古屋公演のもの) 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko フラメンコダンサー内田好美のソロ公演シリーズ『孤独生』は、彼女がひとりのフラメンコ表現者として何を伝え残していけるのかを試してみたいという思いで2022年から始まり、その先10年間を見据えて自身の軌跡を表現していくという意欲的な作品だ。 今回はその第2作目で、テーマは「対価」。何かを得るために失ったもの、そして何かを失った代わりに得たもの。それら全てがその人の人生を築き上げ、その人生の価値となるということを、作品を通して表現するという。 東京公演の会場となった四谷シアターウィングは、席数60と小ぢんまりしたミニシアターのような空間だ。初演の名古屋公演が行われた千種文化小劇場と比べるとかなりコンパクトだが、その分舞台と客席の距離感も近くなり、上演される作品の世界がより濃密に感じられた。 舞台は、あるひとりの女性の人生を軸に進行していく。戦時下を生きる、音楽と踊りが好きな彼女。「戦争で疲れた人々を癒すのは音楽」と語り、指にはめたチンチネス(フィンガー・シンバル)を鳴らしながらタンゴを踊る。 暗く重苦しい時代を生きる彼女にとって大切だったものは、恋人への愛だった。その愛情を、大輪の薔薇の映像と、森川の幻想的なピアノ演奏、川島の慈愛に満ちたカンテソロで表現する。 やがて戦争は終わったが、全てが失われてしまった。何か物体が割れる音が場内に響く。街は破壊され、その喪失感や失意を表すソレア。瀧本の歌と徳永のギターが観客の心を揺さぶる。そして内田は「愛を信じて」という自作の歌をギター伴奏のみで披露する。 幸せだったころを回想する場面では、赤の羽衣のようなショールとバタデコーラでアレグリアスを踊り、華やかな舞いと確かな足技で生きる喜びを全身で表現。 戦争により廃墟となった荒野の映像がスクリーンに映し出されると、内田は床を這い、足を引きずりながら、深い悲しみを踊る。 穏やかな平和まで程遠い激動の時代。その不穏な空気をバイオリン、ギター、パーカッション、川島のカンテで表現するカーニャ。 クライマックスは黒の衣装をまとった内田が、瀧本のカンテで渾身のシギリージャを披露。女性にとっての対価とは何か。その答えを考えながら、舞台の中の彼女の人生にしばし思いを馳せた。 芝居の要素も取り入れながら、独創性が高い作品となった今回の舞台。演じながら踊るというのも、簡単そうに見えても実は難しいのではないだろうか。だからなかなか器用だと思う。 作品のテーマを決めてから、自分の踊りや台詞、音楽に加えて演出や照明、映像、構成に至るまで全てをプランニングするには相当の労力がかかったことだろう。内田の底力はなかなかのものだ。 斬新で自由なアイデアがたくさん盛り込まれ、フラメンコの枠に縛られずエンターテイメント的な要素も多く取り入れられていた。客席にはフラメンコ関係者が多かったが、フラメンコを見たことが無い人でもひとつの舞踊作品として十分楽しめる内容だったと思う。もちろんフラメンコの魅力も伝わったことだろう。 10年にわたるシリーズ公演の、今回はまだ2作目。これから年を重ね時間を経て、内田や共演者たちがどのように変化し進化していくのか、期待して追ってみたいと思う。 【プログラム】 1.プロローグ 2.宴 3.愛 4.崩落 5.静寂 6.兆し 7.回想 8.鎮魂 9.激動 10.対価 11.エピローグ 【出演】 内田好美(踊り/構成・演出・振付) 瀧本正信(カンテ) 川島桂子(カンテ) 徳永健太郎(ギター) 容昌(パーカッション) 森川拓哉(バイオリン・ピアノ) >>>>>
- カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.40
(lunes, 9 de septiembre 2024) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai Joaquín el de la Paulaのソレアー③ 今回はホアキンのソレアー、その③を取り上げます。②に続き3行詩のソレアーで、このスタイルを録音したマイレーナ、エル・グローリア、マノリートなどといった人達の中で、歌として最もよく知られているのはマノリートとマイレーナのものでしょう。 マイレーナはアルカラーのヒターノ達と交流する中でそのソレアーを我が物としたのですが、このアルカラーの名門ファミリーを知るために簡単な図を書いてみます。 今回もマノリートのソレアーで、出典は例によってベルガラ社のカンテ全集「赤箱」から、まずはその歌詞を。 (Letra) Por dinero no lo hagas, (bis) llévame a la 〈jerrería〉 y échame un hierro en la cara. (訳) 金のためにそんな事をしないでくれ、 俺を鍛冶屋に連れて行って そして俺の顔に鉄(仮面)を付けてくれ。 ◎〈jerrería〉⇒ herrería(鍛冶屋、その仕事場) 3行目のhierroは鉄ですが、鍛冶屋に行って鉄(で作ったもの)を私の顔に付けてくれ、というのですからこの鉄はおそらく仮面でしょう。velo(ベール、かぶりもの)と歌う人もいます。さてその心は? いろいろな解釈が可能ですが、金のために人の道を外れる事をする相手に対し、もう君の顔も見たくない、話しかけないでほしい、自分も家族や世間に顔向けできない、という意味で顔に仮面を付けて誰だか分からないようにする…という事ではないかと思います。 それぞれ歌う人が自分なりの解釈で納得して歌う事が大切なのです。 1行目を繰り返しますが最初のPorはわざと抜き、繰り返しの時に付けるのはよくある粋な歌い方で、あとは2、3行目を歌って終わり。例によってマノリートはこれを繰り返しませんが、繰り返す事も自由です。 ほんの少しコンパスに合わせましたが、あとは殆どマノリートが歌ったように書きました。ギタリストはこのような歌の場合、歌の構造を理解して伴奏をする必要があります。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~34(以下続刊)。 ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、 アクースティカ(https://acustica-shop.jp/) へお問い合わせください。(編集部) >>>>>
- 内田好美フラメンコソロ公演 vol.3/10 孤独生
《蒼叫 Gritar》 (sábado, 7 de septiembre 2024) 10年間にわたり毎年異なるテーマを掲げて舞台作品を創作する、フラメンコダンサー内田好美さんのソロ公演「孤独生」が9月に名古屋で上演されます。 第3弾となる今作品は龍と鬼をモチーフとして、破壊と誕生の環(リンク)をテーマにして創作したとのこと。 素晴らしい共演アーティストらとともに、フラメンコの表現者として意欲的に創作活動に取り組む彼女の世界観が溢れる舞台を、ぜひ劇場でお楽しみください。 内田好美フラメンコソロ公演 vol.3/10 孤独生 《蒼叫 Gritar》 [日時]2024年9月22日(日) 15:30開場/16時開演 [会場]中電ホール(愛知/名古屋) [出演] 内田好美(バイレ) 川島桂子(カンテ) 徳永健太郎(ギター) 森川拓哉(バイオリン) 容昌(パーカッション) [料金]全席指定 前売5,000円/当日5,500円 [チケット購入] 下記問合せ先のメールアドレス宛て、またはフライヤー画像のQRコードよりお問い合わせください。 [問合せ] 内田好美ソロ公演運営係 yoshimista39@gmail.com >>>>>
- 今枝友加カンテソロライブ
《Flamenco fan LIVE》 (viernes, 6 de septiembre 2024) 2024年8月2日(金) 高円寺タブラオ・エスペランサ 文・写真/金子功子 Texto y fotos por Noriko Kaneko 長年のフラメンコ愛好家から、まだフラメンコを観たことがない人まで。 多くの人に生の舞台の迫力を楽しんでもらいたいと思い企画した《Flamenco fan LIVE》。 今回は昨年に続いて2回目の出演となる、踊り手としても歌い手としても全国各地で活躍し、熱い魂が込められたカンテ(歌)で聴く人を魅了する今枝友加さんのカンテソロライブです。 共演には昨年同様、今枝さんがカンテの師と仰ぎ、若い頃から本場スペインに渡りフラメンコギターの修業をし、長年にわたり一途にその音楽を追求し続けるエンリケ坂井さんが出演しました。 1曲目は「ブレリア・デ・ロルケーニャ」。スペインの詩人ガルシア・ロルカの詩を当時の名カンタオーラ、ニーニャ・デ・ロス・ペイネスがロルカへのオマージュとしてブレリアのメロディーで歌ったもので、軽快なテンポに場内の空気が一気に高揚します。MCでは曲の由来に触れ、その当時の歴史が感じられました。 次に歌ったグアヒーラは、実は今回が初披露。前月に行われたタマビーズの公演で踊ったことがきっかけで、その準備でグアヒーラの歌をいろいろと聴いていたら、ペペ・マルチェーナとファン・バルデラマの歌が素晴らしかったので挑戦してみたくなったとのこと。美しいメロディーを抑揚豊かに、時には物語を語るように歌うなど、雰囲気豊かな味わいが楽しめました。 MCで今枝さんはカンテについて、自分の何かを出して表現するというものではなく、自分にとってその曲や歌手へのオマージュという気持ちで歌っている、と語りました。彼らの歌や響きを捉えながら寄り添って歌う、それが彼女のスタイルだと言います。 3曲目はニーニャ・デ・ロス・ペイネスのペテネーラ。当時の時代に戻るような味わいや空気感の中、たぎる思いを吐き出すように歌う渾身の一曲。 そしてアントニオ・マイレーナのソレア。ぐっと凝縮された嘆きが込められ、急流のようにほとばしる力強さで歌い上げました。 休憩明けの後半は、エンリケさんのギターソロでブレリアを披露。ディエゴ・デル・ガストールの有名なファルセータのフレーズや、軽やかで古い良き時代の味わいある音色を響かせます。シンプルなフレーズでも溜めやうねりが楽しく、その演奏に酔いしれました。 衣装を替えて再び今枝さんが登場。曲は盲目のカンタオーラ、ニーニャ・デ・ラ・プエブラのミロンガ。しっとりと切ないような、哀愁漂う歌を聴かせます。 続いては小気味良いテンポのタンゴ。有名なレトラも多く楽しめ、ギターとカンテの応酬が代わる代わる交わされるキャッチボールのよう。 次の曲はファンダンゴ。ニーニョ・グロリアのチコとグランデをともに披露。気合を込めて立ち上がって歌い、堂々と胸に迫るフラメンコの魂を聴かせ、それをどっしりと受け止めるエンリケさんのギターが豊かな響きを奏でました。 全身全霊を込めて歌うフラメンコのカンテ。一曲歌うだけでも、その消耗するエネルギーは相当なものだと言います。歌い切って少し呼吸を落ち着かせ、MCで「カンテはスポーツですね」と笑う今枝さん。客席から「アルテですね」と返ってくると、「ではスポーツとアルテですね」とまとめて会場の笑いを誘いました。 最後の曲となるブレリアはリラックスした自由な雰囲気の中で、次々に繰り出されるギターのファルセータとともに生き生きと多彩な歌を披露しました。 そしてフィン・デ・フィエスタでは踊り手の福山奈穂美さん、荻野リサさん、三枝雄輔さんと、来日したばかりのファン・ホセ・ビジャールさんがそれぞれひと振り。華やかなフィエスタで締めくくりました。 当日は満席のお客様が集まり、常連の愛好家からプロのアーティストまで、たくさんのカンテファンの方々が集まってくれたのはとてもうれしいこと。ライブの余韻を仲間同士で語り合う人たちや、満足そうな表情でお店を後にするお客様を見送りながら、こちらまで幸せな気分になりました。フラメンコのカンテの楽しさを知る人が、これからも増えていってくれたらいいな、とそんな期待も膨らむライブでありました。 【出演】 カンテ 今枝友加 ギター エンリケ坂井 >>>>>
- スペインNews 9月号・2024
(miércoles, 4 de septiembre 2024) 文・写真/志風恭子 Texto y fotos por Kyoko Shikaze フラメンコの熱い夏。というと、小説のタイトルのようですが、本当に小説が書けそうなくらい、大きな出来事やいろんな感情が交差した8月だったように思います。 【追悼ベティ先生】 8月は悲しみの中で始まりました。7月31日、ベティ先生の愛称で親しまれた、ビクトリア・エウヘニア、本名ベニータ・ハバト・ムニョスが亡くなったのです。91歳だったので天寿をまっとうしたということなのかもしれません。それでもやはり哀しいです。 1933年マドリード生まれで音楽舞踊学校に学び、グラン・アントニオの舞踊団で活躍。結婚で表舞台からは降りたものの、舞踊教授としてたくさんの後進たちを指導、また多くの振付を残しています。1993年から97年にかけては、アウロラ・ポンス、ナナ・ロルカと共に、女性初のスペイン国立バレエ団芸術監督をも務めています。現在活躍しているほぼ全てのスペイン舞踊家が彼女の門下だと言っても過言ではないくらい、たくさんの門下生が育っています。 日本人でも、小松原庸子や小島章司をはじめ、たくさんの舞踊家が彼女のもとで学び、彼女の助言によって、プロとしての仕事を得ることができました。小松原が招聘し、舞踊団への教授活動も行なっていたことを懐かしく思い出す人もいるかもしれません。フラメンコ/スペイン舞踊の基本の基本、姿勢やカスタネットを使った振付などでお世話になった人もいることでしょう。ヘレスのフェスティバルでも初期にクルシージョを行っていました。 振付では国立バレエ団に残した、アイーダ・ゴメスに振り付けたグラナドス作曲の『スペイン舞曲集第九番』や、マリベル・ガジャルドに振り付けた『チャコーナ』を代表作にあげてもいいかと思います。他にも、アントニオ・マルケスに振り付けた『闘牛士の祈り』、アイーダへの『ア・ミ・アイレ』など、いずれの作品も上品で美しく、格調高いものでした。 偏見がなく、お茶目で可愛いところがあって、誰からも愛されたベティ先生。彼女が残した穴は大きすぎて埋まることはなさそうです。 若き日のベティ先生 Ballet Nacional de España また同じ日、エル・プエルト・デ・サンタ・マリアの歌い手、アントニオ・プエルトも亡くなったそうです。本名アントニオ・グティエレス・ナバロ。1958年11月8日生まれというから、まだ65歳。私も彼を知ったのは今年のヘレスのフェスティバルでのことだったので、残念でなりません。その時のビデオがこちらです。まだまだ知らない実力者がいるんだな、と思ったことを覚えています。ご冥福を祈ります。 https://youtu.be/8lmZLytrRN0 【カンテ・デ・ラス・ミーナス】 スペインで最も有名なフラメンコ・コンクール、カンテ・デ・ラス・ミーナス国際フェスティバルでのコンクールの舞踊部門で萩原淳子が優勝したことはすでにご存知だと思います。このコンクールでのスペイン以外の国籍を持つ人の優勝は、楽器部門のララ・ウォンに次いで二人目。舞踊部門では初めてです。全ての受賞者は以下のとおりです。 決勝でのカンティーニャス ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas ◎大賞/ランパラ・ミネーラ ヘスース・コルバチョ ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas ◎楽器部門 優勝 ホセ・エル・マルケス/チェロ 準優勝 ロレンソ・モジャ/ピアノ ◎舞踊部門 優勝 萩原淳子 ◎ギター部門優勝 ジョニ・ヒメネス 準優勝 マルコス・デ・シルビア ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas ◎カンテ部門III ・低アンダルシアのカンテ トナ、シギリージャ。ソレアレス、カーニャ、ポロ、リビアーナ、セラーナス。 イバン・カルピオ(シギリージャ) ・低アンダルシアのカンテ ブレリア、カンティーニャス、タンゴス、ティエントス、ペテネーラ、ファルーカ、ファンダンゴ・ペルソナレスなど ヘスース・コルバチョ(グアヒーラ) ◎カンテ部門II マラガ、グラナダ、コルドバ、ウエルバの歌、アンダルシアのファンダンゴ由来の他の歌。 ・マラゲーニャ、グラナイーナ・イ・メディア・グラナイーナ、グラナダ、ウエルバ、ルセーナのファンダンゴ、ベルディアーレス、ロンデーニャス、ハベーラ、ハベゴーテ、そのほかのフラメンコの要素のある、地方ファンダンゴ。 イバン・カルピオ(マラゲーニャ) ◎カンテ部門I ・ムルシアーナとその他のカンテス・ミネーロス(タラント、レバンティーカ、ファンダンゴ・ミネーロ、カンテス・デ・マドゥルガーなど アンドレス・エレディア“アンドレーレ” ・タランタス イスコ・エレディア ・カルタヘネーラス アナベル・デ・ビコ ・ミネーラス ヘスース・コルバチョ ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas 受賞者のみなさん、おめでとうございます。 またコンクールに先立ち、7月31日は地元ウニオンのアーティストによる公演、 ガロティンが絶品だったエンカルナシオン・フェルナンデス、伴奏はアントニオ・ムニョス ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas ミゲル・ポベーダによる開会宣言と昨年の覇者による公演、 ポベーダと彼が優勝した時のギタリスト、フアン・ラモン・カロ ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas ミゲル・ポベーダ ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas スペイン国立バレエ団 日本公演とは違う演目だけど素晴らしいフラメンコを見せてくれた ©︎ Kyoko Shikaze カルロス・ピニャーナ 交響楽団と言っていたものの弦楽だけ ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas エドゥアルド・ゲレーロ 彼ならではの舞踊言語がすごい。ダビ・パロマーレスら選りすぐりの共演アーティストたちとフラメンコの醍醐味を味わわせてくれた ©︎ Kyoko Shikaze ピティンゴ 純フラメンコからヒット曲まで多彩なプログラムで楽しませてくれました ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas とガラ公演も行われました。他にも講演やクルシージョなどイベントもたくさん。 来年はぜひ、あなたも。 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>
- 新・フラメンコのあした vol.19
(lunes, 2 de septiembre 2024) 20年以上にわたりスペインで活動するジャーナリスト東敬子が、今気になるスペインフラメンコのあれこれを毎月お届けします。今月は、この夏マドリード郊外の町で行われた夏祭りイベントから2つの公演についてのリポートです。 ダビス・ルイス・セプテット 『ジャズ・コン・ライセス』 2024年7月20日 アレハンドラ・カステル・カンパニー 2024年7月27日 「ノーチェス・デ・ベラーノ」フェスティバル チンチョン、マドリード、スペイン David Ruiz Septeto, “Jazz con raíces” Festival “Noches de verano 2024”, Calle Canteras 3, Chinchón Madrid. 20 de julio 2024 Cía de Alejandra Castel, Festival “Noches de verano 2024”, Calle Canteras 3, Chinchón Madrid. 27 de julio 2024 文:東 敬子 画像:宣伝素材 / 東 敬子 Texto: Keiko Higashi Fotos: Promoción/ Keiko Higashi 夏と言えば夏祭り。それはスペインも例外ではありません。灼熱の太陽を逃れ、涼む夜に見るフラメンコの、なんと楽しいこと。プラスチックのカップに注いだ冷えたビールやティント・デ・ベラーノの程よい酔いが、室内では感じることのできない、心地よい風を届けてくれます。 都市部でも夏のイベントは沢山催されますが、夏祭りを体験したかったら、やっぱり郊外の町。小さければ小さいほど良い。そんな所で出会うフラメンコは、大きなステージでは見れない特別な魅力に包まれています。 そんな夏祭りのイベントから今回は、マドリードからバスで1時間、人口5千人ほどの小さい町、チンチョンで行われた2つの公演をレポートします。これらの公演では、才能あふれる若手に出会えて、大きな刺激を受けました。 * * * * * 15世紀に創られたマヨール広場は世界遺産に認定され、また同時代に建てられた城跡も残るこの町は、マドリード市民が週末を過ごす憩いの場でもあります。今年7-8月の毎週土曜日に行われた「ノーチェス・デ・ベラーノ」シリーズでは、様々なジャンルの音楽が演奏されました。 まずは7月20日に行われたジャズベーシスト、ダビス・ルイスによる「ジャズ・コン・ライセス」公演をご紹介。この公演では、キーボード、ドラム、ホーンセクションの他、フラメンコのバイラオール、ダニエル・カバジェーロも含むセプテット(7人編成)の構成で演奏されました。 フラメンコギターの神様パコ・デ・ルシアがジャズとセッションしてからこちら、フラメンコとジャズの交流は今も続いています。今回はバイラオール、ダニエル・カバジェーロが、ジャズの味付けたっぷりのブレリアで見事な足捌きを見せてくれました。 年齢は資料に出ていないので分かりませんが、20代後半ぐらいでしょうか。マドリードのフラメンコ地区カラバンチェルの出身で、その一挙一動がフラメンコの匂いを放つ彼は、最初は若干緊張気味ではありましたが、徐々に落ち着きを取り戻し、段々と熱を帯びていく様は、観客の目を釘付けにするのに十分でした。 ジャズの演奏自体も、非常にタイトな音で本格派。公演のタイトルから、ホルヘ・パルドらの様に、もっとフラメンコの曲種を使ったものが多いのではと想像していましたが、そこの発展は余りなくて、若干物足りなかったのは正直なところです。しかしジャズとしては、色々な冒険を試みた楽曲が多く飽きさせません。自分で作ったと言うギターの音色も披露されて、中々興味深かったです。 * * * * * そして翌週の7月27日には踊り手アレハンドラ・カステルのグループが公演。彼女も、私は初めてでしたが、端正な踊りで好感が持てました。 ステージにぱっと花が咲くような、いかにもスペイン女性らしい華やかな笑顔の美人で、カルロス・エレディアとのパレハでセビジャーナスなどを踊った後は、パンタロン姿でアレグリアス。扇風機が回るだけの小さな野外特設ステージは暑くて大変そうでしたが、十分楽しませてくれました。お客さんとの掛け合いも楽しかった。 今回相棒を務めたカルロス・エレディアもソロでカーニャなどを披露。変わったことはしませんが、正統派で力強く、その真摯な踊りがとても良かった。若いけれど、ブレない芯があって、心に残りました。 アレハンドラ、カルロスの両者とも、調べても経歴が全く出てこないので年齢なども分かりませんが、20代半ばから後半でしょうか。ともあれ二人とも伝統的な踊りで、これぞフラメンコの満足感がありました。 また、ハビエル・ロマノスのちょっと枯れた味わいのギターに乗って繰り出されるサウル・キロスの、いかにもマドリードのそのノリが、とても心地よかった。彼は私が昔から好きな歌い手で、久々に遭遇して「変わらないなあ」と聞き惚れてしまいました。 小さなステージで観る、大きな可能性に心弾ませた夏でした。 【筆者プロフィール】 東 敬子 (ひがし けいこ) /フラメンコ及びスペインカルチャーのジャーナリストとして、1999年よりマドリード(スペイン)に在住し執筆活動を続ける。スペインに特化したサイト thespanishwhiskers.com を主宰。 >>>>>
- フラメンコ芸術家育成プロジェクト"ANIFUTURO 2024"始動
(domingo, 1 de septiembre 2024) 一般社団法人日本フラメンコ協会が、次代を担い世界に通用する創造性豊かなフラメンコ芸術家の育成を目的とした、新進フラメンコ芸術家等人材育成プロジェクト"ANIFUTURO 2024"をスタートします。 このたび第一弾として、技術や感性を磨く実践的な研修機会である「作品制作」と、その発表の場となる「劇場公演」に参画・出演するメンバーを募集します。 第一次エントリー締切は9月10日(火)13時。 詳しくは「募集要項」のリンクをご確認ください。 新進フラメンコ芸術家等人材育成プロジェクト "ANIFUTURO 2024" 「作品制作上演シリーズ」 ◇募集要項 https://www.anif.jp/information/important/anifuturo1.html *ANIFホームページにて公開中です。 *このプロジェクトは、文化庁文化芸術振興費補助金の支援を受け実施されます。 ◇概要 *詳細は必ず募集要項をご確認ください 1. 舞踊作品部門 (1)作品出演型: ◎作品A「星の王子さま ~孤高の薔薇~」(石井智子振付演出) 出演者24名を募集 ◎作品B「フラメンコのちから」(佐藤浩希振付演出) 出演者6名を募集 (2)作品振付・演出型: ◎新進フラメンコ芸術家による振付・演出・上演作品 4作品程度を募集 ☆舞踊作品部門の応募フォーム https://forms.gle/afxXE7onunhgW8dU8 第一次締切:9月10日(火)13時 2. 音楽作品部門 (1)作品出演型: ジャズ、ラテン音楽、クラシック音楽等の分野の一流音楽家を講師に招くレクチャーコンサートに出演する、新進フラメンコ演奏家(ギター、カンテ、パーカッション、ベース、舞踊家のsolo de pieその他も可)6名程度を募集 (2)作品鑑賞課題提出型: 上記の作品上演を劇場にて鑑賞し、自身の作品構想についてレポートや動画を提出する50名程度を募集 ☆音楽作品部門の応募フォーム https://forms.gle/8yTGU5vLFTbeGQk38 第一次締切:9月10日(火)13時 *2-(2)を除き、オーディション(書類審査、必要に応じて映像・音源審査/費用4,000円)を実施します。 *規定の出演料をお支払いします *成果発表公演への観客動員のため、若干数チケット販売の協力を依頼します ◇作品発表のための劇場公演情報 [日程]2025年3月19日(水)夜公演 20日(木祝)昼公演、夜公演 21日(金)夜公演 *いずれかの上演 [会場]なかのZERO小ホール (中野駅南口/キャパ500名) [チケット]ANIF会員4,000円 一般5,000円(別途学割設定予定) [問]一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)育成事業事務局 https://www.anif.jp/information/important/anifuturo1.html >>>>>
- 萩原淳子 受賞インタビュー
第63回カンテ・デ・ラス・ミーナス国際フェスティバル コンクール 舞踊部門 優勝(デスプランテ賞 受賞) (sábado, 31 de agosto 2024) 聞き手/志風恭子 Entrevista por Kyoko Shikaze ムルシア州ラ・ウニオンで開催された第63回カンテ・デ・ラス・ミーナス国際フェスティバルのコンクール。 1961年にカンテのコンクールとして始まったこのコンクールはスペインで最も有名なコンクールで格式も高く、これまでにマイテ・マルティンやミゲル・ポベーダら多くの才能を世に送り出してきました。 1981年にギターソロ部門が始まり、舞踊部門が始まったのは1994年。ハビエル・ラトーレ、イスラエル・ガルバン、ラファエル・カンパージョ、ラ・モネータ、パトリシア・ゲレーロ、エドゥアルド・ゲレーロなど錚々たるメンバーが受賞者として名を連ねるデスプランテ賞を今年勝ち取ったのは萩原淳子、La Yunko。 舞踊部門初のスペイン以外の国出身者の優勝で(*同コンクールで2009年に始まった楽器部門では2021年にカナダ出身のララ・ウォンが優勝している)、1995年に鎌田厚子AMIがコルドバのコンクールでグアヒーラを踊ってラ・アルヘンティニータ賞を受賞して以来の快挙です。 2002年からセビージャを本拠地として活躍している彼女にセビージャで話を聞きました。 ――今回のエントリーを決めた動機や理由、きっかけなどありましたら教えてください。 「10年くらい前、一度このコンクールで予選落ちしたんですよ。その後、夏はずっと日本でクルシージョなどしていてラ・ウニオンとはご縁がなかったんです。でも今年は、夫の親が体調を崩してしまって、スペインに残ることになりました。それで夏をどう過ごそうかと思っていたのですが、ラ・ウニオンがある、今年出られるかな、とか思い始めて。逆に今年出ないとこれから先出られるか分からないし、と。それに申し込んでも年齢も行っているのでそれで足切りされるかも、などすごく悩みました。毎日夫に、出ようかな、やめようかな、と言っているくらい。でも最終的に今年を逃したら二度と出られないかも、ということで、とりあえず申込書を出すのは誰でもできるから出そうと。最終日か、期日の最終日の前日かに、すごくギリギリに出したんですよ」 ――申込書を出した、と。でその後、主催者からの連絡は? 「1回あったんですよ。この日に予選に来られますか、と。でもその日がダメで。あ、そうですか、と電話を切られそうになったんで、要項に予選の期日は候補に出された2日から選ぶことができるとあったので、そう言ったら。ああ、じゃあ、ということで、ひょっとしたら、と言われたものの、うやむやなままで、それがずっと続いて。ずーっと、伸ばされたんで、もうこれはだめかな、と思ったんですが最終的に、7月20日サグントで、と決まって、そこからアーティストを探しました。決まってから1ヶ月もなかったと思います」 ――コンクールのための練習はいつから? 「前からなんとなく、応募するかどうか迷っていた時期から、なんとなく構想はしていたというか、時間制限があるので、それにあわせて、予選に通ることも想定して、こんな感じかな、と頭の中にはありました。申し込む前から頭の隅にはあったんですね。制限分数の中にまとめる作業ですかね、踊りはもともとあるので、タラントだけでなく、予選でもう一曲踊らなくてはいけなかったので、マントンでカンティーニャを踊りました」 ――予選、バタで踊らなかったのには理由がありますか? 「それも、おこがましいんですけど、準決勝に行くことを想定していたんですよ」 ――でも予選と準決勝は同じ曲でも大丈夫ですよね。 「変えるものだと思っていたんです。というか、私自身、変えたいなと思っていて。ルールでは変えなくていいとしても、私の予想として、もし僅差だった場合、レパートリーが多い方がプラスになるかと思ったんです」 ――それは今年から、予選から決勝まで同じ審査員が審査するというのが要項に書いてあるのを読んでいたからですか? 「いや、それは知りませんでした。ただ、自分がもし審査員だったら、同じくらいの人でどっちを通すかという場合、印象点じゃないけど、この人はこの曲も踊ったよね、マントンもバタも見せたよね、という方が、評価されるのかな、って。自分が審査員だったら、僅差の時にそういう評価の仕方もあるのかな、と思ったんですよ。実際よく聞くのが、本当かどうか分からないですけど、バタ・デ・コーラで踊った人の方がそうじゃない人よりも評価されると聞いたこともあって、それでバタは準決勝にと思っていたんです。 準決勝はバタで踊りたいとずっと思っていたんですよ。だから予選ではカンティーニャをマントンで踊ったんです。ギタリストのニョニョからもなぜカンティーニャをもう一回踊らないんだ、とすごい言われたんですけど、準決勝で曲を変えたい、と強情に言って、それで変えたんですね。 決勝は、決勝に進んだ3人ともタラントを踊ると思い込んでいたんです」 ――それは要項の記載が明確じゃなかったからですね。 「誰も他の曲を準備していなかったんですよ。皆タラントを12分以内で作ってそれを踊ろうと思っていたんです」 決勝でのカンティーニャス©︎ Paco Manzano ――コンクールで結果を出すために、意識した事や心掛けた事はありますか。 「カンテを聴く、カンテ・デ・ラス・ミーナスのコンクールだから、そのグループのカンテを聴きまくる。コンクールに限らず、自分がフラメンコを踊る上で、カンテを聴くとか、カンテに答えるとか、それぞれの曲種で雰囲気も成り立ちも違うから踊りが変わって当然じゃないですか」 ――普段から意識してそうしているけど、このコンクールに出る、結果を出すということで今回はミネーラ、タランタ、タラント、カルタヘネーラなどカンテ・デ・ラス・ミーナスをいっぱい聴いた、ということですね。 「全部。いや全部じゃないかもしれないけれど、聴ける範囲のものは色々、特に昔の歌い手を聴いて。最近の歌い手のものはあまり聴いていないですね。昔のカンテをとにかくよく聴きました。またこの種のカンテの成り立ち、歴史、どういう風に生まれて、どういうふうに伝わってきたのか、とか、背景とかも知ることが必要だと思うんですよ。カディスのアレグリアスのコンクールに出るならカディスのアレグリアスを聞き込む、ピニーニのカンティーニャスのコンクールならピニーニのカンティーニャを聞き込む。そういったことが必要だと思うんです。土台を知らずに踊るのは、それはちょっとおかしいと私は思うんです。今は探そうと思えばいくらでも音源はあるし。でもこれはコンクールに出ようと思ってやり始めたというのではなく、もうライフワークみたいなもので、ずっと昔からやっていました」 ――それが審査につながると思ってやっていたのでしょうか。 「いやライフワークなので、コンクール以前に、たとえばタブラオでタラントを踊りますよね、そういう時、私はカンテを知らずに踊るのはおかしいと思うんですよ。聴くのも好きだし、聴いたり、勉強したりするのは、もう何年も前からライフワークみたいな感じで続けていることで、それがあって、コンクールに出るから、というのでガーっと集中的にやったというのはありますね。まだ聴き足りないと思うけど」 ――コンクールのために普段の生活を変えた、ということもありました? 「あまり変わりません。ただ、予選に出ると決まってからは、集中するために、オンラインの個人レッスンをお休みさせてもらいました」 予選でのカンティーニャ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas ――予選や決勝で、特に印象に残っていることはありますか。 「予選はとにかく暑くて、サウナみたいで、湿気で床が濡れていたんですよ。そのくらい暑くて、ギタリストも手が滑って弾けない、っていうくらいの、そんな状態で。思ったのは、予選の会場が別れているのはまあ、いいと思うんですが、条件があまりに違うのはどうなんだろう、と。空調が効いた劇場と汗ダラダラの屋外、床が滑るようなとことでは…」 準決勝でのタラント©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas 「準決勝では、ラ・ウニオンの会場が、あんなに客席が丸見えだとは知らなかったのですよ。劇場みたいなところだと思っていて。前は予選落ちだったし、行ったことなかったんです。遠いから行かないですよ。舞台から客席が丸見えで、それでガーっと上がっちゃったというか。場当たりの時は客席が暗かったので、最前列くらいしか見えなかったのが、本番は丸見えで、一番後ろまで全部見えました」 準決勝、決勝を支えてくれた、ペペ・デ・プーラ、モイ・デ・モロン、エンリケ・エル・エストレメーニョ、ニョニョ。(本人提供) 「今回ラッキーだったことはエンリケ・エル・エストレメーニョとぺぺ・デ・プーラ、モイ・デ・モロンと3人の歌い手が揃ったということですね。私にとっては幸運の女神様!って感じで。予選の時は準決勝、決勝のメンバーの中ではモイとニョニョ、だけだったんです。あとタラゴナのフアンホ・デ・ナジェリという歌い手にも来てもらいました。準決勝は、歌い手3人がいいな、と思った時に、ギターがニョニョだからエンリケに頼んでみようかな、と。で、モイがよくぺぺと仕事しているし、と。その二人も大丈夫で、しかもぺぺは私の準決勝の日しか空いてなかったんですよ。モイもそうで、二人は一度セビージャに帰って、決勝の日にもう一度来てくれたんですよ。そんな素晴らしいアーティストが見つかったというのもラッキーだったし、決勝に来てくれたというのもありがたかったです。遠いので。1回帰って夜中仕事して、ほとんど寝ないでまた車を7時間運転して帰ってきてくれて、離れ業ですよ。それをやって下さったからで、感謝しています」 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas ――優勝が発表されたときの率直な感想を教えてください。 「もう信じられなかったです。もう本当に信じられなくて、なんかね、体とかがブロックされちゃって、頭も真っ白になっちゃって。楽屋から階段を登って舞台に出て行くんですけど、階段も登れなくて、歩くのもやっとというくらい」 ――受賞のビデオ( https://fb.watch/u9rzOgQhEB/ ) も舞台に上がってからしかないですよね。 「舞踊が呼ばれるってまだ知らなくて、一瞬楽屋に入って、出てきた瞬間に呼ばれたから、みんながいるところにはいなくて、そのせいでカメラもあれ、どこ?みたいな感じで。 決勝での踊りは、自分の中ではもう最悪、という気持ちでした。まあ、これはいつものことなんですけど、楽屋でガーンみたいな感じで。もうホテル帰ろうよ、とか言っていて。自分ではあんな踊りじゃなあ、と思っていたし。でも自分の感覚と外から見たのと違うことってあるじゃないですか。だからモイなんかは、それはお前の感覚だから、外の人は他の見方をしていることもあるし、結果が出るまでわからないし、と言ってくれて。でもとにかく自分の感覚ではガーンだったので、賞とか、もう。決勝に出ることが出来ただけで私にとってはもう賞をもらったみたいなものだったので。アントニオにも釘を刺されていて、日本人だし準決勝に行っただけでもう受賞同然、と言っていて。準決勝から決勝までがほとんど時間もなかったしジェットコースターに乗っているみたいで、感覚がついてこなかったというか」 ――客席からは他の踊り手を応援していた人たちからの審査員へのブーイングが起こりました。それは聞こえましたか? 「なんか言っているな、とは思いました。あとパッと見て、拍手していない人もいるな、と思って。でもそれよりもデスプランテ賞のトロフィーがすごく重くて、こんなに重いんだ、とびっくりしたのと、その重さが、賞の重さと自分がキャリアを続けて行く上での責任の重さなんだ、と、また頭がわーっとなって。だからブーイングはそんなに気になりませんでした」 ――スペイン人の踊りと日本人(またはスペイン以外の国の人)の踊りにもし違いがあるとすれば、それはどんな点だとお考えになりますか。 「一括りにするのは危険だと思います。スペイン人だから良いとか、外国人だから悪いとか、もないと思うし、人によるんじゃないでしょうか。言葉とか、最初に学ばなくてはいけないとか、生まれた土地の自分の文化ではないから、そういうのとか、ハンディキャップもありますけど。また、外国人だから、日本人だから、という偏見はあるじゃないですか。でもそれもアンダルシア人はいいけどそれ以外は、とかいう人もいるし、ヒターノがいいとか悪いとか、声の質での偏見もありますしね」 ――今後の活動予定は。 「ベンタ・デ・バルガスやタリファのタブラオなどコンクール以前に決まっていた仕事もあるし、コンクール優勝したことでフェスティバルから派遣されて9月28日にスウェーデンで踊ることになったし、10月から11月中旬まで日本に行ってクルシージョをしたりします。まだ、コンクールがきっかけでの仕事というのはきていませんが、待っています(笑)」 ――バイラオーラとして目指す「在り方」などありましたら教えてください。 「アフィシオナーダでい続ける、ことでしょうか」 決勝でのカンティーニャス©︎ Paco Manzano アフィシオナード、アフィシオナーダという言葉はアマチュアという意味でも使われることもありますが、もともと「熱中している人、愛好家」という意味。フラメンコで、たとえば、プロの歌い手のことを彼はいいアフィシオナードだね、というのは、本物のフラメンコ好きでよく勉強しているね、という褒め言葉になります。 いつまでも純粋にフラメンコを愛し続ける踊り手でいたいという萩原。その、本物の愛と敬意が伝わってこその優勝だったのでしょう。 おめでとうございます。そしてこれからもさらなる飛躍を! 優勝者たち、左からギター部門ジョニ・ヒメネス、萩原淳子、大賞ヘスス・コルバチョ、楽器部門ホセ“エル・マルケス” ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas 2024年8月21日セビージャにて。 【動画】 準決勝二日目全編 https://www.youtube.com/live/OmRTUzGtqzw?si=zBsAm70bhbWI7OxQ 萩原淳子 タラント https://www.youtube.com/live/OmRTUzGtqzw?si=oj6ioyTy3Iy5O70M&t=4554 萩原淳子 ソレア https://www.youtube.com/live/OmRTUzGtqzw?si=XJ62JODUfrwflrJT&t=7019 決勝全編 https://www.youtube.com/live/DV9154DBgys?si=JKLJsnU1p8FHuH91 萩原淳子 カンティーニャス https://www.youtube.com/live/DV9154DBgys?si=KvI3JC_sTrg5qojk&t=4353 授賞式 https://www.youtube.com/live/DV9154DBgys?si=R9Q8auB0jNJPzgxf&t=16092 【萩原淳子 情報】 ◎オンラインクラス インタビューの中で“ライフワーク”だと言っている、曲の研究によるクラス。タラントを踊る人だけでなく、歌う人や見る人にも勉強になるはず。 カンテ・デ・ラス・ミナスコンクール優勝記念 萩原淳子オンライン講義「タラント研究」 📝クラス内容: ①カンテ音源を使用し、タラントを含む鉱山の歌グループの歌の背景や歌の内容への理解を深める ②バイレ動画を使用し、歌と踊りの絡みや、歌にどう呼応して踊るのかを研究する 📌全7回分アーカイブ(Youtubeリンク)9月末までご視聴OK 📌全7回分資料メール送付 📌9/23(月祝)20:00より特別補講(zoom、アーカイブあり) ⭐️受講料:19,500円 ⭐️お申込先: onlinelayunko@gmail.com (ハギワラ) ◎日本でのクルシージョ 第32回少人数制クルシージョ(東京) 10/5~11/16開講 第23回大阪クルシージョ 11/2(土)開講 第23回福岡クルシージョ 11/3(日)・4(月)開講 お問い合わせ:layunko@gmail.com 【聞き手プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>