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「」に対する検索結果が312件見つかりました

  • アーティスト名鑑vol.16

    (miércoles, 16 de octubre 2024)   スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。   文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze *名鑑登場アーティスト一覧は こちらから フェルナンダ・デ・ウトレーラ(カンテ) マヌエラ・バルガス(バイレ) フアン・アビチュエラ(ギター)   Fernanda Jiménez Peña “Fernanda de Utrera” Utrera, Sevilla 9-2-1923 - 24-8-2006   フェルナンダ・デ・ウトレーラ 本名フェルナンダ・ヒメネス・ペーニャ 1923年2月9日セビージャ県ウトレーラ生まれ、2006年8月24日没   1989 Calacolá de Lebrija con su hermana Barnarda y Manuel de Palma ©︎ Kyoko Shikaze   唯一無比のソレア歌い、フェルナンダは、カンティーニャにその名を残すピニーニの孫。妹ベルナルダと、日本ではウトレーラ姉妹の名でも親しまれた。子供の頃から身内の宴などでうたい、それを聴くために高名なフラメンコたちがこぞってやってきたという。1950年代後半よりプロとしてマドリードのタブラオ、“サンブラ”や“コラル・デ・ラ・モレリア”などで歌い、1964年のニューヨーク万博スペイン館出演。マヌエラ・バルガス舞踊団での伴唱は2枚のレコードに残されているが、妹とのソロアルバムの発表は1970年。ソレアの他はファンダンゴ、ブレリア、タンゴ、カンティーニャと広くはないが、そのソレアの深みはをソレを補ってあまりある。たとえ言葉が分からなくともまっすぐ飛び込んできて心震える彼女の歌はフラメンコファン必聴。 Casta  con María Soleá y María La Burra1988 ©︎ Kyoko Shikaze Casta con María Soleá, La Negra, La Tolea ©︎Kyoko Shikaze   【ビデオ】 スペイン国営放送カンテの祭儀と地理でのフェルナンダの回。ディエゴ・デル・ガストールの伴奏でブレリア。 https://www.rtve.es/play/videos/rito-y-geografia-del-cante/rito-geografia-del-cante-fernanda-utrera/5276018/   リカルド・パチョン制作のビデオシリーズ『エル・アンヘル』、エル・テリトリオ・フラメンコの回ではペドロ・バカン伴奏でのフェルナンダのソレア`(9 分ごろから)の他、パコ・バルデペーニャやラ・ネグラ、カマロンらが歌うフィエスタ風景も収録されている。カマロンの歌で踊り始めるマヌエラ・バルガスの姿も。 https://www.rtve.es/play/videos/el-angel/territorio-flamenco-07-10-1992/6770056/   1989年、カナルスールの番組でのフェルナンダのソレア。その後にインタビューも収録。ニューヨーク万博の思い出などを話しています。 https://youtu.be/kRDFPOsAcDE?si=UoYX0QdjyP_DcR6S 映画『フラメンコ』撮影現場で ©︎ Kyoko Shikaze 映画『フラメンコ』プレミア後のパーティで。カルメン・リナーレス、ぺぺ・デ・ルシアと ©︎ Kyoko Shikaze 1988 Alcalá de Guadaira con Paco del Gastor  ©︎ Kyoko Shikaze   Manuela Hermoso Vargas “Manuela Vargas” Sevilla1941- Madrid 12-10-2007   マヌエラ・バルガス 本名マヌエラ・エルモソ・バルガス 1941年セビージャ生まれ、2007年10月12日マドリード没   1963年1月5日付け日刊紙ABC の日曜版表紙   セビージャの舞踊教授エンリケ・エル・コホ門下。12歳でセビージャのタブラオで踊り始め、後、マドリードに移る。60年代中頃から自らの舞踊団で、65年のニューヨーク万博、66年ロンドンの劇場で4週間公演するなど世界各地で公演。その舞踊団には師エンリケをはじめ、グイトやフェルナンダ、レブリハーノら歴史に残るアーティストたちが在籍、代表作にはスペイン国立バレエ団での『メデア』がある。1995年にはペドロ・アルモドバル監督の映画『私の秘密の花』で共演したホアキン・コルテスの舞台にゲスト出演している。2006年芸術功労金章受章。 フェルナンダ(とベルナルダら)が歌、フアン・アビチュエラ( とフアン・マジャ“マローテ”)がギターで参加しているアルバム。1967年。   【ビデオ】 カナルスールの番組の中で、エンリケ・モレンテの歌、ぺぺ・アビチュエラのギターでペテネラを踊る。 https://youtu.be/n_wH54OTnww?si=09NPT90FyuQ0ehFF   1982年スペイン国立バレエ団バジャドリード公演でカーニャを踊る。 https://youtu.be/87hQaTIH-LM?si=3C13GToXz4hw-mXj   スペイン国立バレエ団『メデア』初演時の映像。画質は悪いのですが、相手役を務めたアントニオ・アロンソさんのチャンネルから。初演でこれだけ完成されていたのですね。 https://youtu.be/vWq_6XFkUJU?si=7ZO2RbFENKw34i2I JuanCarmona Carmona "Juan Habichuela" Granada, 12-8-1933 – Madrid, 30-6-2016   フアン・アビチュエラ 本名フアン・カルモナ・カルモナ 1933年8月12日グラナダ生まれ、2016年6月30日マドリード没   CDプロモーション写真   祖父、父、弟ペペ、ルイス、カルロス、長男フアン、甥ホセ・ミゲルなどがギタリストの他、次男アントニオは歌手、そのほかにも甥や孫など歌い手や踊り手、パーカッション奏者などもいるアルティスタ一家。子供の頃はマリオ・マジャとともにグラナダ、サクロモンテの洞窟で踊り手としてスタート。後、ギタリストに転向。地元グラナダの経験を経て50年代半ばにマドリードへ。タブラオ“エル・ドゥエンデ”“トーレス・ベルメハス”などで活躍。歌伴奏に定評があり、マノロ・カラコールやエンリケ・モレンテ、フォスフォリート、カルメン・リナーレスなど数多くの録音がある。1999年に息子のプロデュースによるオマージュアルバムが発表された。 1999年発表のアルバム。スペインきっての人気歌手アレハンドロ・サンスやパコ・デ・ルシアも参加している。   【ビデオ】 カナルスールのフラメンコ番組『カビラシオネス』(1995年)でチョコラーテへの伴奏。 https://youtu.be/4cpei0yTOPc?si=ecE0pWbNCjU8DlZ7   カナルスールでのフアン・アビチュエラ引退に際してのインタビュー。1996年。 https://youtu.be/T5Vdlug9Nu4?si=0Wcju9Is19zoF14q   ホセ・メルセへのファンダンゴ伴奏 https://youtu.be/E0JeWodL5a0?si=1qjoDL1fuGXCYF61 ホセ・メルセへのシギリージャ伴奏 https://youtu.be/eSUC7MDFjhI?si=1kNQMJC_2EcuHKVl 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。   =======

  • 中里眞央フラメンコリサイタル Vol.1

    HACIA ADELANTE アシア アデランテ -私の中の私- *公益財団法人スペイン舞踊振興MARUWA財団 令和6年度助成事業 (martes, 15 de octubre 2024)   2024年9月20日(金) 新宿伊勢丹会館ガルロチ(東京) 写真/川島浩之 Fotos por Hiroyuki Kawashima 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko    日本のみならずスペインでも精力的な活動を展開するアルテイソレラ舞踊団に所属し、主宰の鍵田真由美・佐藤浩希両氏の指導の下でフラメンコの舞踊と歌の技術や表現力を磨いてきた中里眞央の、自身初となるソロリサイタル公演が行われた。会場は舞踊団の仲間をはじめ業界関係者や大勢の愛好家でにぎわい、満席の観客に迎えられた。  初舞台の1曲目を飾ったのはアレグリアス。海辺の穏やかな波が目に浮かぶような心地よいギターデュオのサリーダが流れ、大海原への船出をイメージさせる。白地に赤い花柄のフリルで飾った赤いドレス姿の中里が、堂々と舞台の中央に立つ。はつらつとした笑顔で、躍動感溢れる美しい踊り。新しい舞姫の誕生だ。  踊り終え、独白の音声が流れる。自分自身が幼少の頃から感じていたという、自分が自分でない感覚。中里家の娘ではなくマンガの主人公やテレビの中の大スターで、空想の世界の中では自由で、無敵な自分。でもフラメンコは自分を自分としてしか認めてくれなかったという。そんな世界に向き合うと決めた、彼女の決意がそこに表れていた。  次の曲はキューバの歌手Olga Guillotの「Me Muero, Me Muero」という歌をブレリアのリズムで披露。ミディアムテンポで奏でるマレーナ・イーホのギターに包まれ、気負うことなく素直に歌い上げる。曲がドラマティックに展開していくにつれ、その激しい思いを歌声に託していく。  哀愁を帯びた太く柔らかい音色のギターから始まるタラント。2023年に日本フラメンコ協会主催の新人公演で奨励賞を受賞した時もタラントを踊ったが、その時よりも踊りにペソ(重さ)が増し骨太になった印象。ディエゴの包容力あふれる歌声もまた、彼女の良さを引き出していた。  黒と金のマントンを半身に纏い、マレーナ・イーホのギターで歌い上げる渾身のシギリージャ。声の張りが一層充実して太くなり、響きもより強くなった。嘆きの表現にも深みと濃さが増し、大きな会場で聴いているような迫力があった。  その一方、今度は半身に掛けていたマントンを広げて全身を包み、「Soy Rebelde(私はあまのじゃく)」というスペインの歌手Jeanetteのポップバラード曲を披露。こちらはしっとりとメロディアスな曲で、ジェーン・バーキンのような儚げな声でも会場の奥まで届くように歌い、フラメンコのカンテとはまったく違う世界観を見事に表現した。  最後の曲は、力強さを秘めたソレア・ポル・ブレリア。黒のツーピースドレス姿で踊る中里は凛々しく、足技ではしっかりと安定した音色を奏でる。ファルダを大きく両手で広げて回る姿には、彼女の舞踊へのこだわりの美学を感じた。  フィン・デ・フィエスタではディエゴが歌で盛り上げ、この公演をパルマで支えてきた佐藤も一振り踊って舞台に華を添えた。  踊り3曲、歌3曲、そしてアンコールは有名な「Un clavel(カーネーション)」をフェステーラのように歌い踊り、彼女に相応しい締めくくりとなった。客席からの拍手やハレオもあたたかく、みんなが彼女の晴れ舞台を見守り祝福しているかのようだ。  Hacia Adelante 、前の方へ――。ありのままの自分でフラメンコと向き合い、真っ直ぐな眼差しで前を見つめて進み続ける彼女の未来は、きっと希望に満ちた眩しいものになるだろう。 【プログラム】 1. Alegrías 2. Me Muero 3. Tarantos 4. Seguiriyas 5. Soy Rebelde 6. Soleá por Bulerías 【出演】 歌・踊り 中里眞央 ギター マレーナ・イーホ 斎藤誠 カンテ ディエゴ・ゴメス パーカッション 岩月香央梨 パルマ 佐藤浩希 関祐三子 小西みと ======

  • カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.41

    (lunes, 14 de octubre 2024) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai Joaquín el de la Paulaのソレアー③、別の例  例によって前回取り上げたホアキンのソレアー③の別の例を紹介します。理由は前に書いたように、例が多い方が細部の変化を踏まえてひとつのスタイルというものを見極める耳と知識、経験を持つ事ができるからで、更にそれが、自分が歌う事にさまざまな意味で役に立ってくるのです。  今回はマノリートのPor dinero no lo hagas (金のためにそんな事をしないでくれ)と同じスタイルで、アントニオ・マイレーナが歌ったソレアーを取り上げます。原曲は1958年のLP「カンテス・デ・アントニオ・マイレーナ」、CDだとアントニオ・マイレーナ全集のCD3-10曲目。  このソレアーの題名は Promesa de ti(お前の誓い)となっていますが、普通ソレアーのタイトルというのは歌い始めの1行をそのまま付ける事がほとんどなのに、このソレアーの中にこの言葉を使った歌詞は無く、どうしてこのタイトルが付いたのかは謎です。 (Letra) Quisiera ser como el aire, pa yo tenerte a mi vera sin que lo notara nadie ; (compañerita mi alma, sin que lo notara nadie.)   (訳) 空気のようになって お前のそばにいたい、 誰にも気付かれないで。   ※pa ⇒ para ※notara ⇒ notar(~に気付く)    8音節から成る3行詩で、1行目は「風のようになって~」と訳すと自由にお前のそばに行きたい、という恋の情熱の表現に より 近くなるかも…。  (  )は繰り返しで、マイレーナは歌の形にこだわり、カンテをエッセンスだけでなく形としてもより大きく完成させるという意図を持っていた人ですから、こうして最後の行を繰り返す事が多いのです。   前回のマノリートと比べると出だしのメロディーはほとんど同じですが、その後のメロディーでは細部がかなり異なっている。  更にマノリートは繰り返し無しでもおよそ6コンパスの長さをかけてゆったり歌うが、マイレーナは繰り返しありで全体では同じコンパス。  この場合コンパスの数は重要ではないのですが、要するに歌い進め方にはかなりの個人差があるにもかかわらず、前回のものと今回のものは同じスタイルと見なされるのです。    大体において歌い始めは原型をあまり変えず、歌い進めていくに従って次第に自分の歌う癖や個性がはっきり出てくるが、やはり原型はいつも意識の中にありますから、型から大きく外れる事なく収まるのです。  こうしたことは歌ってみると、実感として感じられる事でしょう。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~35(以下続刊)。   ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、アクースティカ( https://acustica-shop.jp/ )へお問い合わせください。(編集部)   >>>>>

  • SHOJI KOJIMA FLAMENCO 2024 蒼茫

    (domingo, 13 de octubre 2024)   長年にわたり日本フラメンコ界を牽引し続ける代表的な舞踊家のひとりでもある小島章司さんが、11月に新作の舞踊公演を上演します。今作品は句集『蒼茫』を著した俳人、森澄雄氏の言葉にインスピレーションを受けて創作したというもの。広く深い海、そびえ立つ山々、蒼々と広がる大地といった蒼茫へのイマジネーションを、フラメンコの宿す大きな宇宙観を通して表現し、舞台芸術へと昇華させた作品が期待されます。音楽監督にギタリストのチクエロ、カンテにはエル・ロンドロとダビ・ラゴス、客演として実力派ダンサーらによるユニット、アルモニアの出演も見どころです。 (*蒼茫は、際限なく広く蒼蒼として深いの意) SHOJI KOJIMA FLAMENCO 2024 蒼茫(さうばう) [日時]2024年 11月20日(水)18:30開場 19時開演 11月21日(木)14:30開場 15時開演 [会場]銀座ブロッサム中央会館 (東京都中央区銀座2-15-6) [出演] 小島章司(作・構成・演出・主演) チクエロ(音楽監督・ギター) エル・ロンドロ(カンテ) ダビ・ラゴス(カンテ) ディエゴ・デル・チクエロ(ギター) カルロス・カーロ(バイオリン) マルタ・ロマ(チェロ) ハコボ・サンチェス(パーカッション) ARMONÍA(アルモニア、バイレ)  知念響・漆畑志乃ぶ・石川慶子 *客演 柳谷歩美(バイレ) 松田知也(バイレ) [料金]全席指定 S席15,000円 A席10,000円 [チケット申込/問] 小島章司公演事務局 Tel.03-3498-0923 Fax.03-3498-5442 Email  kojima@shojikojima.com ======

  • 宮野ひろみ舞踊40周年記念公演/発表会『絆 -Los Lazos-』

    (miércoles, 9 de octubre 2024)   フラメンコ舞踊家、宮野ひろみさんの舞踊活動40周年を記念する劇場公演が東京・内幸町で開催されます。 30年の教授活動を含め40年に渡りフラメンコ舞踊を続ける中で、最も大きな支えになったという「絆」を公演のテーマとし、フラメンコを通して学んだ生きることや愛することと向き合い舞踊作品として舞台で表現します。共演には4名のギタリストを迎え、長年尊敬してきたアーティストらと共に、自身の舞踊活動の節目という記念にふさわしい公演が期待されます。 なお、公演は発表会形式と舞踊作品という2部構成になっています。 【宮野ひろみ舞踊40周年記念公演/発表会『絆 -Los Lazos-』】 [日時]2024年11月2日(土)  開場17:30/開演18時 [場所]千代田区立内幸町ホール  (JR新橋駅から徒歩5分) [出演] 宮野ひろみ 柴田杏里(ギター) 鈴木英夫(ギター) 斎藤誠(ギター) 稲津清一(ギター) 有田圭輔(カンテ) ダニエル・リコ(カンテ) 天辰直彦(フルート) [チケット] 4,500円(全席自由) [申込/問] info_lalucero@yahoo.co.jp ======

  • 新・フラメンコのあした vol.20

    (lunes, 7 de octubre 2024)   20年以上にわたりスペインで活動するジャーナリスト東敬子が、今気になるスペインフラメンコのあれこれを毎月お届けします。今月は、この春マドリードで上演されたメルセデス・ルイスの劇場公演についてのリポートです。   メルセデス・ルイス 『ロマンセロ・デル・バイレ・フラメンコ』 カナル劇場、赤の間、マドリード、スペイン 2024年4月27日   Mercedes Ruiz, "Romancero del baile flamenco” Teatros del Canal - sala roja, Madrid. 27 de abril 2024   文:東 敬子 画像:宣伝素材    Texto: Keiko Higashi Fotos: Promoción  現代のフラメンコには色んなスタイルがあります。伝統的なものもあれば、他ジャンルを取り入れた斬新なものもあります。もちろん、どれも興味深いし、色んな発見で楽しませてくれます。しかしあまりにバラエティに富んでいると、練習生にとっては時に、厄介な場合もありますね。    練習生が習得しようと日々頑張っているのは大抵、基本形、いわゆる伝統的なスタイルでしょう。しかし、スペイン人アーティストの来日公演を観に行っても、アーティスティックすぎて自分が練習しているものとはかけ離れている気がする人も多いはず。曲種にしても、一つ一つ別れていれば分かりやすいけれど、ずっと何十分も途切れがなく、色々な曲種が繋がっていると、もう分からなくなってしまう。タブラオはまだしも、劇場で上演される作品にはそれが顕著に現れますね。そういう理由で、超モダンなイスラエル・ガルバンやロシオ・モリーナを敬遠する人は沢山います。    でもそれでプロのアーティストの公演を観ないというのは残念すぎる。良い作品を見ることは、練習生にとっては特に、必要なことですよね。ですから、目標やお手本にできる自分好みのアーティストを探すのはとても大事なことだと思います。そこでもし、あなたがバイレの練習生で、伝統的なバイレを目指しているのなら、私のおすすめはメルセデス・ルイスです。    1980年、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラに生まれ育った彼女は、マヌエル・モラオのカンパニーで7歳よりステージに立ち、同郷のアントニオ・エル・ピパほか、エバ・ジェルバブエナやアドリアン・ガリアらのカンパニーで研修を積んだのち、2002年、22歳の時にソリストとして自身のカンパニーを旗揚げ。若手のホープとして頭角を表します。今では、高いテクニックと共に、伝統的なスタイルを継承して数々の賞に輝いた、現代バイレの代表の一人と称されています。    そして今回の作品『ロマンセロ・デル・バイレ・フラメンコ』は、バイレ練習生必見の一作と言えるでしょう。セビジャーナスに始まり、ファンダンゴ、セギリージャ、カンティーニャスなど、まさに誰しもがスタジオで習っているであろう曲種の数々が勢揃い。  彼女のバイレはとにかく上手い。そして上品なんですよね。マントンやバタ・デ・コーラなどの扱いも美しいし、振付も、伝統的でありながらも自分の個性を打ち出したもの。他より抜きん出た光る「何か」がある人です。正統派のフラメンコ舞踊はこれだという、安心感と満足感がありますね。    練習生だったら、観ていて、曲種の動きの流れや雰囲気がよく理解でき、かつ、彼女の振付の難しさもよく伝わるでしょう。つまりは、自分がやっていることとリンクできる踊りなんですね。今の自分には難しいけど、いつかこんな風に踊れたら良いなと憧れを抱かせる、ワンランク上のお手本にしたい踊りなのです。衣装もエレガントで、これも真似したいポイントの一つです。    メルセデス・ルイスも40代に突入しましたが、以前にもまして、今回は心身共に非常に充実している印象でした。バイラオール、ホセ・マルドナドとのパレハもしっくりきました。彼も正統派で、キレのある清々しい踊りで観客を沸かせました。ギターにはサンティアゴ・ララ、カンテにダビス・ラゴス、そしてパルマにロス・メジスと、ヘレスの音楽陣も冴えていました。やっぱりヘレスの味は沁みますね。    ヘレスと言えば皆さんは、地元の人たちが土着のノリのブレリアを陽気に踊る姿を想像されるでしょう。日本では、そういう素人の人たちのフィエスタのノリがヘレスの真骨頂というような風潮もありますね。もちろん、それは素晴らしい文化ですが、カンテはもとより、バイレやギターでも、プロとして現代フラメンコを代表するヘレス出身アーティストは沢山います。彼らのことも、もっと知ってもらえれば良いなと思います。     【筆者プロフィール】 東 敬子 (ひがし けいこ) /フラメンコ及びスペインカルチャーのジャーナリストとして、1999年よりマドリード(スペイン)に在住し執筆活動を続ける。スペインに特化したサイト   thespanishwhiskers.com を主宰。   ======

  • アントニオ・ナハーロ舞踊団 日本公演

    【東京公演】 (domingo, 6 de octubre 2024) 2024年7月5日(金)~ 7日(日)  渋谷区総合文化センター大和田 さくらホール 主催/MIYAZAWA&Co. CIC 写真/大森有起 Fotos por Yuki Omori 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko  2019年までスペイン国立バレエ団の芸術監督を務め、ダンサーとしても振付家としても世界的に有名なアントニオ・ナハーロが、自身の舞踊団を率いては初となる来日公演を行った。  今回のプログラムは2作品。かつてスペイン国立バレエ団として2015年に来日した時にも上演した「アレント」と、この度日本初演となる「ケレンシア」だ。  「アレント」は、スペイン舞踊に新たな音楽的要素やコンテンポラリーなどの要素を融合して作り上げた作品。「ケレンシア」は新生ナハーロ舞踊団としての最初のオリジナル作品で、様々な新しい要素を取り入れつつも伝統的なスペイン舞踊の魅力も堪能できるよう作品を構成したという。    群舞については、とにかくどの場面も美しい。  ダンサー一人ひとりの技量の高さはもちろんだが、フォーメーションの変化が素早い上にほとんど乱れない。男女別のグループになったりペアになったり、ポジション移動の動線もスムーズで芸術的。曲が変わる時もただダンサーが入れ替わるだけでなく、そのつなぎの場面すら一つの舞踊シーンとなり、観客側も気持ちが削がれない。大人数によるダイナミックな舞踊は迫力があり、少人数のグループでの均整の取れたフォーメーションは目を奪われるほどの美しさで、実に完成度が高い。  ソリストのシーンも、珠玉の場面の数々が披露された。男性ソリストのダニエル・ラモスは、身体のしなやかさとキレの良さでダンサーとしての充実ぶりを存分に見せつけ観客を魅了。女性ソリストのセリア・ニャクレは女性らしい柔らかさと艶っぽい魅力を、リディア・ゴメスは優雅な雰囲気の中にも芯の通った力強さを見せ、それぞれ際立った存在感を示した。  「アレント」と「ケレンシア」、どちらのプログラムも終演後はスタンディングオベーションで大きな拍手に包まれた。 ナハーロがスペイン舞踊のみならずフィギュアスケートなどの振付家としても有名なことから、来場者にはフラメンコやスペイン舞踊とは関係のない層の方も多かったようだ。  バリエーションに富んだ構成や演出で、スペイン舞踊の古典的な魅力と新しい表現の融合を楽しませてくれた今回の来日公演。また次の機会には、さらなる進化を重ねて素晴らしい魅力が詰まった舞台作品が披露されるのを楽しみに待ちたい。 [上演演目] 【Aプログラム】 ALENTO(アレント)  振付:アントニオ・ナハーロ 【Bプログラム】 QUERENCIA(ケレンシア)  振付:アントニオ・ナハーロ [出演] ミュージシャン: フェルナンド・エゴスクエ(ギター) ラウラ・ペドレイラ(ピアノ) トマス・ポティロン(バイオリン) ミゲル・ロドリガニェス(コントラバス) ピエル・ブルエラ(ドラム) ソリスト: セリア・ニャクレ リディア・ゴメス ダニエル・ラモス アルバロ・マドリード エタン・ソリアーノ ダンサー: アレハンドラ・デ・カストロ エバ・ヒメネス クリスティーナ・カルネロ マリア・フェルナンデス アレハンドロ・ララ ハビエル・モレノ アルバロ・ブリト ======

  • 『TRANSFORMACIÓN』ライブツアー開催

    (viernes, 27 de septiembre 2024)   2020年10月から活動する新しいフラメンコのスタイルを追求する革新的ピアノフラメンコユニット『TRANSFORMACIÓN』が今秋、愛知・中国・東京とライブ活動を展開します。   《愛知公演》 来たる10月18日、愛知県長久手市にある『長久手文化の家 森のホール』という客席から舞台が見やすい馬蹄形の劇場を舞台に、MCも交えたフラメンコライブを開催。 この公演では、全国各地で活躍中の名古屋出身のカンタオーラ今枝友加さんが数年ぶりに共演します。   2024年10月18日(金) 開催時間/15:00開演(14:30開場) 会場/長久手文化の家 森のホール https://bunkanoie.jp/archives/6608 主催/長久手市   【料金】 全席自由:未就学児入場不可 前売・当日 フレンズ会員:1,500円(前売りのみ) 一般:2,000円 学生:1,000円 https://p-ticket.jp/nagakute   【出演】 トランスフォルマシオン ピアノ 杏梨 ギター 徳永康次郎 バイレ(踊り) 伊藤笑苗 カンテ(歌) 今枝友加 パーカッション 容昌 ====== 《中国公演》 10月26日・27日は海外公演として中国に渡り、上海と广州の2拠点でツアーを展開します。 会場は、海外のミュージシャンや日本のメジャーアーティストのライブイベントなども行われる1000人規模の大きなライブハウスで開催。中国に行く予定のある方は必見です!   【スケジュール】 10.26 MAO LIVEHOUSE 上海 10.27 MAO LIVEHOUSE 广州-永庆坊店   【PRサイト】(中国語) https://mp.weixin.qq.com/s/sEX2Q8-QQ4A7xj3ld7sVUQ   ====== 《東京公演》 11月には六本木にある老舗のレストランライブハウス、六本木バードランドで開店50周年のアニバーサリーライブとして、中国ライブツアーメンバーでフラメンコライブを行います。 トランスフォルマシオンとしては今年最初で最後の東京公演となります。   2024年11月26日(火) 18:30開場/19:30開演 チャージ5,000円(別途2オーダー) 【出演】 トランスフォルマシオン ピアノ 杏梨 ギター 徳永康次郎 バイレ(踊り) 伊藤笑苗 ベース 遠藤定 パーカッション KAN 【予約サイト】 https://www.bird-land.co.jp/schedule/post-13838.html   ◎『TRANSFORMACIÓN』情報 https://lit.link/transformacion   >>>>>

  • 第33回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」受賞者決定

    (jueves, 26 de septiembre 2024)   9月25日、一般社団法人日本フラメンコ協会主催『第33回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」』について、選考委員による投票の開票、集計、討議が行われ、「奨励賞」およびそれに準ずる賞の受賞者が決定しました。 なお今年度より、会場での選考に加えて映像を通じた選考が導入されました。 https://www.anif.jp/.../shinjin/new_shinjin/33rd_result.html 【第33回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」選考結果】 ※氏名記載の順番は、出演番号順の表記となります。 <奨励賞> カンテ部門  該当者なし ギター・ソロ部門  該当者なし バイレ・群舞部門  該当者なし バイレ・ソロ部門 B-18 諸藤 ふみ(もろふじ ふみ) B-33 脇川 愛(わきかわ あい) B-44 吉田 芽生(よしだ めい) - <準奨励賞> カンテ部門 C-6 近藤 リナ(こんどう りな) ギター・ソロ部門 G-3 吉良 剛(きら たけし) バイレ・群舞部門 群-3 Hermanas del Arbol(えるまなす でる あるぼる) バイレ・ソロ部門 B-10 小林 由佳(こばやし ゆか) B-15 常盤 直生(ときわ なお) B-57 岡田 麻里(おかだ まり) 以上 <選考委員> (○:会場選考 ●:映像選考) カンテ部門: ○石塚隆充(理事) ●エンリケ坂井(理事) ○川島桂子(理事) ○有田圭輔(理事) ●佐藤浩希(理事) ●マヌエル・デ・ラ・マレーナ(有識者) ギター・ソロ部門: ○沖仁(理事) ○今田央(理事) ○三澤勝弘(理事) ○鈴木英夫(理事) ●加部洋(顧問) バイレ・群舞部門: ●石井智子(理事) ○森田志保(理事) ○曽我辺靖子(理事) ●佐藤浩希(理事) ○鈴木敬子(理事) バイレ・ソロ部門: ○森田志保(理事) ○佐藤浩希(理事) ○石井智子(理事) ●伊集院史朗(理事) ○堀江朋子(理事) ●稲田進(理事) ○鈴木敬子(理事) ●三枝雄輔(理事) ○高橋英子(理事) ○渡邊薫(理事) ◎本公演の映像は、9月30日(月)まで配信中 https://twitcasting.tv/c:oreodacci/shop/ ◎WEBパンフレット https://www.anif.jp/pdf/20240900_new_program.pdf ◎第33回フラメンコ・ルネサンス 21「新人公演」検証委員会 2024 最終報告 https://www.anif.jp/.../announce/shinjin2024reportfinal.html >>>>>

  • 名鑑登場アーティスト一覧/あいうえお順

    文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze     アントニオ・ガデス(1936-2004)舞踊家/vol.1 アントニオ・カナーレス(1961-)舞踊家/vol.10 アントニオ・ナハーロ(1975-)舞踊家/vol.11   アントニオ・マイレーナ(1909-1983)歌い手/vol.2   エル・グイト(1942-)舞踊家/vol.9 エル・レブリハーノ(1941-2016)歌い手/vol.12   エンリケ・モレンテ(1942-2010)歌い手/vol.4   カマロン・デ・ラ・イスラ(1950−1992)歌い手/vol.1   カルメン・アマジャ(1918−1963)舞踊家/vol.2 カルメン・リナーレス(1951-)歌い手/vol.7   カルロス・モントージャ(1903-1993)ギタリスト/vol.14   グラン・アントニオ(1921-1996)舞踊家/vol.6   サビーカス(1912-1990)ギタリスト/vol.2   サラ・バラス(1971-)舞踊家/vol.8   セラニート(1942-)ギタリスト/vol.9   トマティート(1958-)ギタリスト/vol.7   ニーニャ・デ・ロス・ペイネス(1890-1969)歌い手/vol.3   ニーニョ・リカルド(1904−1972)ギタリスト/vol.6   パケーラ・デ・ヘレス(1934-2004)歌い手/vol.13   パコ・セペーロ(1942-)ギタリスト/vol.12   パコ・デ・ルシア(1947-2014)ギタリスト/vol.1 パンセキート(1945-2023)歌い手/vol.15 ビセンテ・アミーゴ(1967-)ギタリスト/vol.8 ピラール・ロペス(1912-2008)舞踊家/vol.14   ファルーコ(1935-1997)舞踊家/vol.13 ペペ・アビチュエラ(1944-)ギタリスト/vol.15 マイテ・マルティン(1965-)歌い手/vol.10   マティルデ・コラル(1935-)舞踊家/vol.12 マヌエラ・カラスコ(1954-)舞踊家/vol.7   マヌエル・モラオ(1929-)ギタリスト/vol.13   マノロ・カラコール(1909-1973)歌い手/vol.6   マノロ・サンルーカル(1943-2022)ギタリスト/vol.4   マリオ・マジャ(1937-2008)舞踊家/vol.4   ミゲル・ポベーダ(1973-)歌い手/vol.8 メルチェ・エスメラルダ(1947-)舞踊家/vol.15 ラ・アルヘンティーナ(1890-1936)舞踊家/vol.3   ラファエル・リケーニ(1962-)ギタリスト/vol.10   ラファエル・ロメーロ(1910-1991)歌い手/vol.14   ラモン・モントージャ(1879−1949)ギタリスト/vol.3 ランカピーノ(1945-)歌い手/vol.9   ロシオ・モリーナ(1984-)舞踊家/vol.5 >>>>>

  • わが心のスペイン vol.9

    (lunes, 26 de agosto 2024) 南房総と南スペインで田舎暮らしを楽しむ、石井崇が描くスペインの情景。 『アラブ時代の街』 太陽海岸の内陸、ロンダの街から更に進むと麦畑が現れ、そのなかに 小高い山にへばりつくように白い村が現れます。 シエラデサハラ、一番高いところにはアラブ時代の見張り台が今でもそびえ立ちます。 今ではダム湖が眼前に出来て、更に観光地に。 見晴らしがとても良い村です。 【プロフィール】 石井崇(Takashi Ishii) /画家。1942年東京・京橋生まれ。東京芸術大学卒業後、1975年単身スペインに渡り、村祭りを回るテキヤ業などでしのぐ。セビリア郊外アルカラ・デ・グアダイラに居住。1989年よりグラナダ・アルプハーラ(Alpujarra)地方にあるフェレイローラ村(Ferreirola)にアトリエを構え、今はフェレイローラ村と南房総館山をふたつの故郷とし、田舎暮らしを楽しんでいる。著作は「おれたちがジプシーだったとき」、「詩画集プラテーロとわたし」、「スペイン四季暦」、「南スペイン、白い村の陽だまりから」、画集「イシイタカシの世界」など。2004年「館山親善ふるさと大使」に任命、全国大学フラメンコ大会を企画。 ホームページ「イシイタカシの世界」 http://www.oliva2004.net/index.html >>>>>

  • わが心のスペイン vol.10

    (lunes, 23 de septiembre 2024) 南房総と南スペインで田舎暮らしを楽しむ、石井崇が描くスペインの情景。 『満月』 旧都トレドはレコンキスタの後もしばらくキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒が一緒に暮らしていました。 そしてギリシャ人エルグレコが沢山の作品を残したことでも有名です。 友人宅に泊まりながら絵を描いていました。 この絵はパラドールの下あたりから描きました。 【プロフィール】 石井崇(Takashi Ishii) /画家。1942年東京・京橋生まれ。東京芸術大学卒業後、1975年単身スペインに渡り、村祭りを回るテキヤ業などでしのぐ。セビリア郊外アルカラ・デ・グアダイラに居住。1989年よりグラナダ・アルプハーラ(Alpujarra)地方にあるフェレイローラ村(Ferreirola)にアトリエを構え、今はフェレイローラ村と南房総館山をふたつの故郷とし、田舎暮らしを楽しんでいる。著作は「おれたちがジプシーだったとき」、「詩画集プラテーロとわたし」、「スペイン四季暦」、「南スペイン、白い村の陽だまりから」、画集「イシイタカシの世界」など。2004年「館山親善ふるさと大使」に任命、全国大学フラメンコ大会を企画。 ホームページ「イシイタカシの世界」 http://www.oliva2004.net/index.html >>>>>

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