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「」に対する検索結果が312件見つかりました

  • ★フラメンコnews☆

    石井智子スペイン舞踊団公演 『スペイン舞踊の祭典』国内8都市にて上演! (sabado, 1 de julio 2023) 数々のスペイン舞踊作品を手掛け、精力的に劇場公演活動に取り組む舞踊家、石井智子さん率いる舞踊団による国内8都市を巡るツアー公演が、7月15日から福岡を皮切りにスタートします。 この公演は、文化庁文化芸術振興費補助金統括団体による文化芸術需要回復・地域活性化事業(アートキャラバン2)として一般社団法人現代舞踊協会が実施する、「劇場に行こう!ダンスをみよう!日本全国Dance キャラバン2023」の一環で開催されるもの。 スペイン各地の民族舞踊やフラメンコ、クラシコ・エスパニョールなど、それぞれの特色を石井さんが分かりやすく解説。また振付や演出、構成も手掛け、力強くかつ優美で華やかなスペイン舞踊の素晴らしさを堪能できる舞台を繰り広げます。 ぜひお近くの劇場で、ダイナミックで魅力あふれるスペイン舞踊の世界をお楽しみください! [公演名] 石井智子スペイン舞踊団公演 『スペイン舞踊の祭典―華麗なるスペイン舞踊の世界と情熱のフラメンコ―』 [日程・会場] 2023年7月15日(土) 16時開演18時終演予定「キャナルシティ劇場」(福岡県福岡市) 2023年7月23日(日) 15時開演17時終演予定「呉信用金庫ホール(呉市文化ホール)」(広島県呉市) 2023年8月15日(火) 16時開演18時終演予定「名古屋市公会堂大ホール」(愛知県名古屋市) 2023年8月17日(木) 16時開演18時終演予定「メルパルクホール大阪」(大阪府大阪市) 2023年8月19日(土) 15時開演17時終演予定「なら100年会館」(奈良県奈良市) 2023年8月22日(火) 15時開演17時終演予定「ロームシアター京都メインホール」(京都府京都市) 2023年8月27日(日) 14時開演16時終演予定「苫小牧市民会館大ホール」(北海道苫小牧市) 2023年10月8日(日) 15時開演17時終演予定「ベイシア文化ホール(群馬県民会館)」(群馬県前橋市) [出演] 石井智子、エル・フンコ(名古屋、大阪、奈良、京都の4公演のみ) 石井智子スペイン舞踊団 (特別出演)南風野 香、井上圭子、中島朋子 [ミュージシャン] ギター:鈴木淳弘、今田 央 カンテ:川島桂子、井上 泉、エル・プラテアオ、ニーニョ・カガオ、遠藤郷子、西 容子 チェロ:海野幹雄、矢口里菜子 バイオリン:三木重人、平松加奈 パーカッション:朱雀はるな、ホセ・コロン [チケット代] 全席自由:3,000円(消費税込み) 配信*:2,000円(税、システム使用料、配信手数料込み) *福岡、広島の2公演のみ [チケット購入] ・カンフェティ ・チケットぴあ ・イープラス ・各劇場窓口(大阪を除く) [主催] 有限会社グランビア(石井智子フラメンコスタジオ) [助成] 文化庁文化芸術振興費補助金(統括団体による文化芸術需要回復・地域活性化事業(アートキャラバン2)) 独立行政法人日本芸術文化振興会 [統括団体] 一般社団法人 現代舞踊協会 [後援] スペイン大使館、インスティトゥト・セルバンテス東京、一般社団法人日本フラメンコ協会、公益財団法人MARUWA財団 [URL] http://www.tomokoishii.com/event/ [メール] info@tomokoishii.com >>>>>

  • ★フラメンコnews☆

    『チームサンタプロジェクト』 フラメンコチャリティーライブ開催! (lunes, 26 de junio 2023) フラメンコダンサー野口久子さんが発起人となって活動を行っているフラメンコチャリティーライブ、『チームサンタプロジェクト』の第4弾となるライブが、8月に東京で開催されます。 このプロジェクトには2つの願いが込められていて、1つは寄付を集めて病気の治療を頑張っている子供たちを応援すること。もう1つは、フラメンコを知らないチャリティーといった分野に興味がある方々に「フラメンコ」を知ってもらい、楽しんでもらうことです。 今回のライブは、子供たちにも気軽に楽しんでもらえるようにと、ショーチャージ&お子様プレート&1ドリンク付きで小中学生は1,800円とリーズナブルな設定。実力派ダンサーのゲスト出演もあり、本格的なフラメンコライブが楽しめます。 集まった寄付は、「縁日セット」など病棟の子供たちが夏らしいイベントを楽しめるものを購入して届けるとのことです。 夏休みの思い出に、ご家族でフラメンコを楽しんでみてはいかがでしょうか? 遠方の方や当日都合がつかない方は、1週間視聴できる配信もあります。 ※配信のお申し込みはこちらから 『チームサンタプロジェクト』第4弾 フラメンコチャリティーライブ夏休み特別企画 [日時] 2023年8月5日(土) 16:30開場/17:30開演 [場所] 東京・浅草橋ラ・バリーカ [出演] バイレ(踊り)野口久子/竹内さなえ/福田聡子 ゲストバイレ 永田 健/山本 海 カンテ(歌) 永井正由美 ギター    中川浩之 [予約・問] お店に直接か、各出演者までお願いします。 浅草橋ラ・バリーカ ☎03-5809-1699 towakikaku108@gmail.com(野口) >>>>>

  • アルテイソレラ舞踊団30周年記念公演

    Flamenco Caleidoscopio (martes, 27 de junio 2023) 2022年12月2日(金)・3日(土) よみうり大手町ホール(東京) 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 写真/川島浩之 Foto por Hiroyuki Kawashima フラメンコ舞踊家、鍵田真由美と佐藤浩希が率いるアルテイソレラ舞踊団の30周年を記念する舞踊公演が上演された。タイトルの「Caleidoscopio」とは、日本語に訳すと「万華鏡」。その理由について佐藤は、フラメンコは同じ歌詞やメロディーでも歌う人や弾く人により全く違う曲に聞こえたり、また同じ振付でも踊る人それぞれの個性や人生がそこに表れその人独自の芸術へと昇華させるものであり、そのような表現の豊かさと、また長年舞踊活動を共にする舞踊団員や客演として招いたダンサーひとりひとりの魅力も伝えたいという想いからだと、プログラムの序文で語っている。 未だ不安や悲しみが尽きない今の時代にできることは何か、という自問に対する答えがやはり「踊ること」であり、人間の強い生命力を宿すフラメンコを、多くの人に観てもらい少しでも元気になってもらいたいという願いから、もう一度原点に立ち返り今回の公演を企画したという。 全10曲で構成されたプログラムは、ソロに群舞にバリエーション豊かな作品が揃えられた。 1曲目のロマンセは、舞台中央に登場した鍵田のソロから始まり、その後ろに並んだ横2列の群舞、女性のみの群舞、矢野のソロ、佐藤と工藤のパレハ(デュエット)と、次々にフォーメーションが変化する。ひとりひとりがその個性にふさわしい衣装に身を包み、カラフルな光景が繰り広げられる。その様子はまさに、筒をくるくる回すと中の模様が次々に変化していく万華鏡のよう。次の展開を期待してわくわくするような演出だ。 同じく男女の群舞によるアレグリアスも、衣装や踊りにそれぞれの個性が表れ視覚的にも楽しい。紫のバタ・デ・コーラで華麗に舞ったり、赤のドレスとマントンで踊る姿はやはり大舞台でよく映える。2人や3人で踊ったり一列になったりと、テンポよく正確に変化するフォーメーションはやはり舞踊団で日々鍛えられている賜物だ。 男性5人によるソレア・ポル・ブレリアは、ゆったりしたテンポの曲を味わうようにソロやパレハを披露。一列に揃っての踊りは男性ダンサーならではの迫力があり、黒のスーツに各々違う色のチーフでアクセントを付けた衣装はさりげないセンスが光っていた。 セラーナは、アースカラーの衣装でそろえた舞踊団員らが大地の雄大さを感じさせるような迫力の群舞を展開。男性ダンサーらによる足技も力強く、カンテの張りのある歌声やラメンテ(嘆くような歌唱パート)がよかった。 ソロのプログラムも、様々な曲種が並ぶ。工藤は、踊りではほとんど演じられることが無いというファンダンゴ・ポル・ソレアを披露。スペイン各地で伝統的に歌い踊られ、後にフラメンコの重要なレパートリーとして定着したファンダンゴを、ソレアのリズムに乗せて踊る。青のドレスで踊るマルカールが美しい。そこに男女の群舞も加わり、ボリュームのある構成を演出する。 鍵田のソロは、パリージョ(カスタネット)を使ってのシギリージャ。パリージョの音色もキレが良く、しなやかな身体使いで踊る姿は何度見ても見惚れてしまう。1曲の中でシーンごとに自身の印象を自在に変えるような舞踊表現に、彼女の舞踊家としての底力と魅力が表れていた。 佐藤のソロは2曲。カンパニジェーロスは、スペインでは主にクリスマスソングとして一般に親しまれている曲で、フラメンコ舞踊として踊られることは珍しいという。ゆったりしたリズムで、定番のフラメンコとは一味違う趣きを魅せる。一方、ティエントでは風来坊のようなコケティッシュな踊りで、歌にねっとり絡みながらコンパスと戯れるようなグルーヴを醸し出す。飄々として、ショーマンのようなパフォーマンスで観客を楽しませた。 今回の公演では、特別出演した津軽三味線奏者の浅野の才能が光った。ブレリアスではスペインのヘレス特有のリズムに乗ってフラメンコギターとの熱い競演を繰り広げ、高速弾きはまさに超絶技巧の領域に達していた。 舞台のラストでは、スペインでの見聞からインスピレーションを得たというオリジナルの新曲を披露。日本語の歌詞による、和の要素とフラメンコで浅野が感じたままを表現した壮大な曲だ。民謡歌手でもある浅野は歌が上手く、発声がクリアで歌詞の意味も分かりやすい。 歌が終わるとソレア・ポル・ブレリアの音楽へ。男性ダンサーらのパルマも加わり、鍵田が着物のようなコートをマントンのように翻し、ダイナミックな舞踊を表現する。 クライマックスは桜の歌詞の歌が流れる中、紙吹雪がステージを彩った。鍵田が全身で心を込めて踊り、休憩無しの約90分に及ぶ劇場作品は、温かい雰囲気に包まれながら幕を下ろした。 フラメンコの多彩な魅力を次から次へと見せてくれ、まさに「万華鏡」のような作品となった今回の公演。活動の原点を見つめ直した、舞踊団の節目の年にふさわしい舞台であった。晴れやかな笑顔で観客に挨拶をする団員のまなざしの先には、次のステージへの期待と希望が映っていたことだろう。 【プログラム】 1. ロマンセ 2. カンパニジェーロス 3. アレグリアス 4. シギリージャ 5. ブレリアス 6. ソレア・ポル・ブレリア 7. ファンダンゴ・ポル・ソレア 8. ティエントス 9. セラーナ 10. 永遠のまにまに 【出演】 [主演] 鍵田真由美 [演出・振付・構成・主演] 佐藤浩希 [カンテ] マヌエル・デ・ラ・マレーナ、関 祐三子 [パーカッション・パルマ] アレ・デ・ヒタネリア [ギター] マレーナ・イーホ、斎藤 誠 [津軽三味線](特別出演)浅野 祥 [出演](ARTE Y SOLERA舞踊団)柏 麻美子、東陽子、工藤朋子、小西みと、中里眞央、小野寺麻佑、山﨑嬉星、清水梨々花、渡辺由香理、三四郎、中根信由 [客演] 矢野吉峰、権 弓美、松田知也 >>>>>

  • ★フラメンコnews☆

    カニサレス来日公演ツアー2023 (sabado, 10 de junio 2023) かつてパコ・デ・ルシアのセカンド・ギタリストを10年間務め、その真の後継者として世界から注目されるギタリスト、カニサレスの約5年ぶりとなる待望の来日公演ツアーが行われます。 その美しい演奏と超絶テクニックはもちろん、作曲家としても名曲のギターアレンジやオリジナル曲など数々の素晴らしい作品を発表。さらには2011年に世界最高峰のオーケストラであるベルリン・フィルとの共演でクラシック界からも絶賛され、今やフラメンコやクラシックなどのジャンルを超越する、世界最高峰ギタリストとして高い評価を受けています。 今回の来日公演は初のギター・デュオ公演として、「アランフェス協奏曲」アダージョのギターアレンジ曲をはじめ、オリジナル曲「魂のストリング」や日本初演となる「地中海組曲」などを披露します。 世界が酔いしれるカニサレスの演奏を、ぜひ劇場でお楽しみください! [日程・会場] 7/09(日)埼玉・所沢市民文化センター ミューズ キューブホール 16時開演 7/12(水)兵庫・兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院 小ホール 19時開演(完売) 7/13(木)大阪・フェニーチェ堺 小ホール 19時開演 7/15(土)愛知・東海市芸術劇場 多目的ホール 15時開演 7/16(日)東京・浜離宮朝日ホール 15時開演 7/18(火)千葉・船橋市民文化ホール 18時開演 ※スペシャルゲスト:佐藤浩希(フラメンコ舞踊) 7/20(木)神奈川・フィリアホール(横浜市青葉区民文化センター)19時開演 出演:カニサレス(ギター) フアン・カルロス・ゴメス(ギター) [演奏予定曲] ロドリーゴ:アランフェス協奏曲より第2楽章アダージョ「アランフェス・マ・パンセ」(ギターアレンジ) グラナドス:12のスペイン舞曲より「アンダルーサ」 ファリャ:三角帽子より「粉屋の踊り」 カニサレス:地中海組曲/アル・アンダルス組曲/深淵/魂のストリング/彗星の雨 ほか 【カニサレス来日公演2023総合サイト】 https://www.plankton.co.jp/canizares/index.html ---------------------------------------------------- ●名古屋フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会に出演します。こちらもチェック! 7/7(金)18時45分・7/8(土)16時 愛知県芸術劇場コンサートホール https://www.nagoya-phil.or.jp/2023/0120120752.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 来日公演プロモーション映像 https://youtu.be/gU9odZ8aE1E 【プロフィール】 フアン・マヌエル・カニサレス、1966年スペイン東部カタルーニャ生まれ。16歳のとき、権威あるナショナル・ギター・コンクールで優勝。プロの道を歩みはじめる。88年から巨匠パコ・デ・ルシアのバンドに参加し、セカンド・ギタリストとして10年間活動。1990年にパコのバンドのメンバーとして初来日。当時まだ無名だったにも拘らず、カニサレスは超絶な速弾き演奏を披露し強烈印象の残し、話題となった。1997年に『イマンとルナの夜』でアルバム・デビュー。ジャズ、クラシック、ロックなど、あらゆる要素を吸収した演奏と華やかなアレンジでフラメンコ界に新風を吹き込み、絶賛を浴びた。 ギタリストとしてだけでなく、作曲家としても才能を発揮。スペイン国立バレエの作品や映画音楽の作曲を手掛け、近年はアルベニス、グラナドス、ファリャやスカルラッティの楽曲をギターに編曲したクラシック音楽のソロ・アルバムを立て続けに発表。フラメンコに多大な影響を受けている楽曲の中に眠っているフラメンコの要素を抽出したような内容で、フラメンコ・シーンとクラシック音楽シーンの両方で支持された。 2011年、世界最高峰のオーケストラのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術監督、サー・サイモン・ラトルの招待を受け、マドリードの王立劇場でロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を演奏。クラシック界でも大きな注目を浴びた。以来、ヨーロッパ中のオーケストラに招待され、超売れっ子ソリストとしても活躍。 2013年、『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2013』でフィーチャーされ、全11公演に出演。同年12月には新宿文化センター大ホールにて単独公演を成功させた。 2015年9月に新日本フィルハーモニー交響楽団、2017年1月にNHK交響楽団と共演。2016年5月にパコ・デ・ルシアに捧げる、ギターとオーケストラのための協奏曲「アル・アンダルス協奏曲」を作曲し、スペイン国立管弦楽団とスペイン国立音楽堂にて世界初演を果たした。 フラメンコのルーツのひとつと言われるスペインの民俗舞踊「ホタ」を取り上げたカルロス・サウラ監督の映画『J:ビヨンド・フラメンコ』(2017年日本公開)に出演、カニサレスの演奏がフィーチャーされた。2018年2月に8年ぶりのカニサレスの全曲オリジナルによるフラメンコの新作ソロ・アルバム『洞窟の神話』を発表。同年9月にクインテット編成の来日ツアーを成功させた。 2019年、待望の新作『カニサレスのロドリーゴ』を制作、同作はかの有名なアランフェス協奏曲の第2楽章のアダージョ「アランフェス・マ・パンセ」や、ロドリーゴ氏の未発表作「夕暮れのプレリュード」が初収録されたことで、スペインで大きな話題となっている。 2023年5月、カニサレスが作曲したギターとオーケストラとの協奏曲を収録した新作アルバム『アル・アンダルス協奏曲』をリリース。 >>>>>

  • Recuerdo/追憶 ep.3 Elena la More

    (lunes, 19 de junio 2023) 写真家・大森有起が綴るフォト&メモリー ©Yuki Omori 「意気投合」 繋がるのは一瞬だった。 余韻に心が動いた。 あの日、あの時、あの場所で あの瞬間は、宝物。 >>>>>

  • リレー連載:私の新人公演 -2022年の挑戦- 8

    第8回 中里眞央 【カンテ部門/奨励賞】 (viernes, 9 de junio 2023) フラメンコを志し、さらに高みを目指すために目標として掲げられる大舞台、新人公演。 昨年の入賞者に、挑戦へのきっかけや本番までの道のり、自身の経験や思い、これから挑戦する人に伝えたいことなどを語ってもらいました。 第8回目は、カンテ部門で奨励賞を受賞した中里眞央さんです。 編集/金子功子 Edición por Noriko Kaneko 2019年以来、コロナ禍で中止となった2020年を除き、毎年バイレソロとカンテソロの2部門でエントリーしていた。そして2022年夏、私にとって3度目の新人公演! さまざまな感情渦巻くなかのZEROホール。毎年プレッシャーと緊張のせいで、出なければよかったと思いながらも、いつもここに戻ってきてしまうなぁ。プラスやマイナス、ポジティブやネガティブ、そんなふうに容易に分類できないものばかりを抱え込んでいる。ただ一つその携えた塊を、容易く弾けて拡散しそうな熱を、うまく自分のものにしなければならない舞台であることは確かだった。 私の所属舞踊団ARTE Y SOLERAの公演のために来日していたへレスのギタリスト、アントニオことマレーナ・イーホ。多忙を極める彼と運よく予定を合わせることができ、2部門とも伴奏を依頼することになった。自分のソロ演目でアントニオを独占できるなんて、なかなか無い機会だ。何が楽しみかって、アントニオと過ごせる公演当日までの時間が楽しみだったのだ! とにかくヘレスの空気を感じたくて、アントニオが来日してから毎日一緒にいた。毎日ご飯を一緒に食べた。夜、師匠や舞踊団の先輩方と食卓を囲みお酒が進んでくると、歌ってみよう!という時間がやってくる。おもむろにギターを弾きだすアントニオ。歌う私。日々を共にしながら、食事だけでなく様々なものを皆で味わってきた。そして味わったものを身体中に、表現の全てに巡らせたのだ。 それ以外でアントニオとカンテのいわゆるギター合わせをした時間は無かった。果たしてあれがエンサージョと呼べるものだったのかは、わからない。それでもあの空気を、あの時間を味わわなければ、受賞という結果はなかったと確信できる。1人だけで作り上げる舞台ではない。あの場に満たした空気、そのほんの一部でも異なっていたら同じパフォーマンスはできなかった。そしてそれを私と共に構築してくれたのは、間違いなく彼らだ。ただ、それは彼らと一緒にいただけで叶ったことではない。あの場の私には責任があった。舞台を作り上げるため、先頭に立つ責任だ。 一つの目標に向かって邁進すること。そこで得られる過程や結果はもちろんだが何より重要なのは、自分が舞台の主体となる責任感や、当事者意識を学べることだと感じている。月並みな表現かもしれないが、あの場は貴重な経験を与えてくれる。先生がついていてくださる発表会とはまた違うのだ。自分自身がミュージシャンを率いる代表者なのだという自覚。周りに支えられながら、一人では叶わないと知りながら、それでもこの体そのものを突き動かすのは私自身に他ならない。お客様からお金をいただいてパフォーマンスするということ。楽屋の使い方。本番までの過ごし方。その学びは踊り手、歌い手としての舞台上での在り方にも現れると私は思う。学びの全てを生かし切ってこそ振り絞れる力があり、自身の成長にも意識を向けていられる。だからこそ受賞という結果が届いた時の、救われたという感覚は、私にとって忘れがたいものになったのだ。 普段タブラオに出演することの少ない私にとって、新人公演は様々なご縁を繋いでくれた機会だった。感謝してもしきれない。これからも私は様々な経験を積んでいくことになるだろう。その日々の中で仲間たちと同じ釜の飯を食らい、心技体ともに自らを磨き、舞台に上がる。嫌になることも不安に煽られることもたくさんあるが、あの場でだけは仁王立ちして立ち向かっていけたらと思う。ともすれば弱そうに見える立ち姿から、迸る(ほとばしる)ほどの圧を放てるようになりたい。その未来に一歩ずつ近づけていけたら、と思うのだ。 (写真)Ⓒ大森有起 【プロフィール】 中里眞央(Mao Nakazato)/東京都出身。12歳より鍵田真由美・佐藤浩希に師事。2015年より同フラメンコ舞踊団ARTE Y SOLERA団員として、スペイン3都市を巡る『カスティーリャ・ラ・マンチャツアー』、平成天皇皇后陛下の御臨席を賜った『Ay曽根崎心中(新国立劇場)』などの主要公演に出演。その他、歌い手、踊り手として歌舞伎やミュージカルまで活動の幅を広げている。2020年度河上鈴子スペイン舞踊新人賞。2022年度ANIF新人公演カンテ部門奨励賞。2023年全日本フラメンココンクールカンテ部門優勝。 【新人公演とは】 一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)が主催する、日本フラメンコ界の発展向上のため、次代を担うフラメンコ・アーティストの発掘および育成の場として、1991年から毎年夏に開催されている舞台公演。 プロフェッショナルへの登龍門として社会的に認知される一方、「新人公演は優劣順位をつけるためのものではなく、新人へのエールを送るために存在する」という当初からの理念に基づき、すべての出演者が主役であるとの考えから順位付けは行われません。 バイレソロ、ギター、カンテ、群舞の各部門に分かれ、若干名の出場者に奨励賞、またはその他の賞が与えられます。 (*一部、ANIF公式サイトより引用) >>>>>

  • リレー連載:私の新人公演 -2022年の挑戦- 9

    第9回 三枝雄輔 【カンテ部門/奨励賞】 (viernes, 16 de junio 2023) フラメンコを志し、さらに高みを目指すために目標として掲げられる大舞台、新人公演。 昨年の入賞者に、挑戦へのきっかけや本番でのエピソード、自身の経験や思いなどを語ってもらいました。 最終回となる第9回目は、カンテ部門で奨励賞を受賞した三枝雄輔さんです。 編集/金子功子 Edición por Noriko Kaneko フラメンコをやる上で、カンテの勉強は必須なので、ずっと勉強してきました。新人公演のカンテ部門には過去にも出演したことがあるのですが、そこから何年かたって、今勉強している自分はどんな感じなのかなと思って、今回エントリーしました。あと、何かに向けて勉強するのも、モチベーションが上がりますし。また、エミリオ(マジャ)との勉強がすごく自分の為にもなったので、そういう時間を作りたいと思っていました。実際にこれまでも、彼からはたくさん勉強させてもらいました。 エントリーするにあたっては、出演するからにはそこに賞があるので、もちろん頂けた方がうれしいから受賞は考えました。でもそのために何か対策を取るとか、計画を立てるとか、受賞を意識して何かをやったとかは、特に無いです。ただ、今まで積み重ねたものを舞台で披露したらどうなのか、ということに関心がありました。 本番当日やリハの事は、あまり覚えてないですね…。もう1年近く前だし、時間が経ち過ぎて、全然覚えてないです。ただ、普通にできることしかできないですから、出来ることをやろうと思って臨んだと思います。 あと、これはいつもと変わらない事でもありますが、僕は今回エミリオに伴奏してもらって二人でステージに立ったんですけど、彼に楽しんでもらうことを何より一番優先して考えて、ステージに挑みました。僕がどうとか、お客様や選考委員の方たちがどうとかではなく、隣にいるエミリオが一番喜んでくれることを心掛けて歌いました。だって、フラメンコは彼のものですから。彼らスペイン人のものであり、彼らの生き方を歌っているものですから。だからレトラの歌詞を選ぶのも、エミリオと話し合って決めました。いつも、そういうスタンスでいます。 奨励賞を受賞しての変化は、特に無いです。これまでと何も変わりません。 受賞はもちろんうれしいですし、これまでにもいくつか賞を頂きましたが、むしろ頂いた後の方が大変だな、とは思っています。内面的にも調子に乗ることなく、謙虚であり続けるべきだと思いますので。受賞は単なる過程であって、通過点に過ぎませんから、より気を引き締めていかないとならないと思っています。 僕たちは日本で、日本人としてフラメンコをやっていますけど、ちょっと勝手に創作してというか…ジャパニーズ・フラメンコというか…、本場のフラメンコに目を向けていないように感じられることが時々あります。僕自身、本来のフラメンコの形を大事に勉強したいですし、みんなともしていきたいと思っています。 これは別にカンテに限らず、バイレもギターもあり方も、すべてに言えると思います。ただ、僕も何ができるわけではないですが…。 日本にもスペイン人はたくさん住んでいるし、最近では毎月のようにスペインのアーティスト達が来日していますから、そういう勉強をもっとしていかないといけないと思っています。そういうのは敷居が高い、と思っている人もいるようですけど、異国の文化だから敷居が高いのは当たり前ですし、難しい所に目を背けないでやってほしいと思います。別に習わなくても、一緒にいるだけでもいい。勉強しようとか思わなくていいから、本当のフラメンコの勉強とは何なのか、みんなと一緒に考えていきたいと思っています。 (写真)自身(一番左)も新人公演に出演する傍ら、和泉冴英香さん(左から2人目)のパルマ伴奏も務めた 【プロフィール】 三枝雄輔(Yusuke Saegusa)/バイラオール・パルメーロ、1980年4月12日東京生まれ。 21歳の時、ベニート・ガルシアの踊りに感動しフラメンコを習いはじめる。2006年文化庁海外留学派遣制度の研修員として2年間渡西。国内外の多くの賞を受賞。スペインの一流アーティスト達も彼を認めるのは、12歳からスペインに住み現地の習慣や文化を理解しているからである。現在はアーティスト業に加え、創業50年を誇るタブラオ「エスペランサ」を経営する。 【新人公演とは】 一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)が主催する、日本フラメンコ界の発展向上のため、次代を担うフラメンコ・アーティストの発掘および育成の場として、1991年から毎年夏に開催されている舞台公演。 プロフェッショナルへの登龍門として社会的に認知される一方、「新人公演は優劣順位をつけるためのものではなく、新人へのエールを送るために存在する」という当初からの理念に基づき、すべての出演者が主役であるとの考えから順位付けは行われません。 バイレソロ、ギター、カンテ、群舞の各部門に分かれ、若干名の出場者に奨励賞、またはその他の賞が与えられます。 (*一部、ANIF公式サイトより引用) >>>>>

  • カンテフラメンコ 奥の細道 on WEB No.25

    (lunes, 12 de junio 2023) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai 前回取り上げたグローリアのアレグリアスは、すでに述べたが、アレグリアス・デ・カディスのスタイルではなくホティージャ・デ・カディスと呼ばれるカンティーニャスのひとつ。 カディスのアレグリアスの名人というのはカディスとその周辺ロス・プエルトス出身の歌い手が殆どで、それはこのカンテがカディスの文化的背景や伝統を色濃く持っているからだろう。 CD「グラン・クロニカ・デル・カンテ」vol.32より ㉕ Antonio Mairena(アントニオ・マイレーナ)の Alegrías(アレグリアス) というわけで今回も引き続きアレグリアスを取り上げよう。カンティーニャスというのは12拍子系の長調の歌をまとめてカンティーニャ属(または族)という形式名にしているのだが、その中で中心を成すのはアレグリアス・デ・カディスだ。しかしそれは、数の上ではカンティーニャスの中ではほんの一部分にすぎない。LPレコードの時代まではアレグリアスと題が付いていても、実はカディスのアレグリアスは一つか二つで、あとはカンティーニャスということが多い。つまりアレグリアスは、以前はカンティーニャと同じ意味で、いろいろなカンティーニャスを含めた形式名として使っていたわけだ。 形式名としてちゃんと分ける傾向になってきたのはマイレーナ以来カンテの研究・分類が進み、それをCDの時代になって形式名としてより詳しく書くようになったからで、そんな古い話ではない。 グランクロニカvol.32の19曲目のアレグリアスの1曲目は、アレグリアス・デ・カディスの低音型。ただし後半のメロディーを少し変えているので、マイレーナのバージョンとも言える。 2曲目はカディスのカンティーニャ(アレグリアスとは異なる)の一つだが、踊り歌としてもよく歌われるので何かの機会に耳にした人も多いと思う。以下にその歌詞を紹介する。 (letra) (que te la da un marinero...) Toma, niña, esta esmeralda que te la da un marinero, si no la quieres la cambia por un barquito velero. (船乗りからの贈り物…) 娘さん、このエメラルドを取りなよ 船乗りの男の贈り物さ、 もしも気に入らなきゃ 帆かけ船と換えてもいいさ。 コレティージョは最も一般的な「Cuando te vengas conmigo dónde te voy a llevar ~」の歌詞とメロディーなので、スペースの関係もありここでは割愛させてもらう。 あらためてCDを聴いてほしいが、この歌はアレグリアスのように1行を1コンパスで歌っていくタイプであり、カンティーニャと言っても詩型(8音節から成る4行詩)や歌い進め方(2行目から始まり1行目→2行目→3行目→4行目へと歌う)、リズムの乗り方はほとんどアレグリアスと変わらない。 このようにカンティーニャにもいろいろな歌い方や乗り方があり、この歌はアレグリアスの踊りの伴唱に使えるような、アレグリアスに非常に近いタイプだと言う事ができる。 ピニーニのスタイルを歌うベルナルダや母親(パペーラ)のスタイルを歌うペルラ・デ・カディスを聴いた人は、これは乗り方が違うと感じられた事だろう。その乗りとは?と質問されたので、次回は少し横道に逸れるがその事について書いてみよう。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~32(以下続刊)。 ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、アクースティカ(https://acustica-shop.jp/)へお問い合わせください。(編集部) >>>>>

  • 大沼由紀 舞踊公演『音の旅人2』

    (jueves, 18 de mayo 2023) 2022年11月2日(水) マチネ/ソワレ 東京 座・高円寺2 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 写真/川島浩之 Foto por Hiroyuki Kawashima 一昨年前の初演で大きな好評を博した、フラメンコ舞踊家大沼由紀による舞踊公演「音の旅人」が再び上演されることになった。前回はまだコロナ禍による感染防止対策のため厳しい人数制限が設けられていたこともあり、その再演を望む声が多く寄せられたことを受け、この度再演を決めたという。 また、前作では彼女の内から湧き上がる思いのままを踊り、語り、歌うことで舞台を構成したが、今回は新たに歌い手を加えることで、その声がまた違う風景をもたらすことへの期待を込めている。 旅の始まりの曲はヘレスのカンタオール、エル・チョサのロマンセ。一人のキリスト教徒(クリスティアーノ)の男が、イスラム教徒であるモーロ人の街でさらってきた娘が、実は幼い頃にモーロ人にさらわれた実の妹だったという物語り歌だ。歌の世界がより伝わるように、歌詞を登場人物の台詞による一人芝居仕立てにし、ストーリーを日本語で伝えながら、フラメンコのリズムを損なわないようスペイン語で語り歌い、そのロマンセの情景を表現した、と大沼は言う。さらった娘とともに馬で旅する途中で、二人はウリアという山に着き、そこで男は娘が実の妹だと気づく。そして音楽はロマンセから、山の唄であるセラーナへと引き継がれていく。“Me voy llorando...”と歌い出す小松の歌声が、音の風景に新たな色を添える。 次のシーンは、チェロと踊りの完全即興、インプロビサード。山の唄を全身に取り入れて、音楽家と舞踊家は何を表現するのか。実験的であり、挑戦的な趣向。「セラーナを受けて、チェロが奏でる最初の一音はどんなだろう?リハーサルでも、2回の本番でも、いつもワクワクしていました」と大沼は振り返る。下島のチェロの息遣いに耳を澄ませ、その旋律に反応し、自身の四肢とその足音でチェロと対話する。小刻みな音にも伸びやかな音にも全身で寄り添い、それはフラメンコという枠から溢れ出る、純粋で自由な舞い。 音の旅は、パリージャ・デ・ヘレス作曲のファンタシィア・ポル・ブレリアへ。ファンタシィアとは幻想・空想という意味。西井、小谷野、三四郎が奏でる、3拍子の幻想的なギターのメロディーとパルマのリズムを楽しむように、たっぷりのボランテを縫い付けた大きな布を翻しながら踊る姿は、森の中を駆け抜ける風になって戯れているかのようだ。 旅は詩の朗読によって、トゥリアナ、アルカラ、ウトレラというソレアを抱く街へ。かつての英雄、闘牛士クーロ・ロメーロを讃え、セビージャの闘牛場へと誘われる。 そしてセビージャから、ヘレスの街へ。これは大沼自身の旅だという。ヘレスにたどり着くと、そこでボデガ(シェリー酒の酒蔵)の事や、アグヘータ、モネオ、ルビチといった名門の歌い手の事、そして大沼が愛してやまないエル・チョサの歌について語りだす。上手側の切り株に座り、心を込めて彼のソレアを歌う。その歌を全身に湛えると、自身の内側から溢れてくるソレアを無音の中で踊り始める。正確なコンパスを内面に刻みながら、一心に踊るその姿はまさに音楽であった。 音の旅はそこからフラメンコの深い所へと進んでいき、シギリージャへ。チェロの重低音の音色に合わせて大沼が歌い、ギターやパルマの伴奏になるとファルセータを踊りエスコビージャを奏でる。そこにチェロが重なり、カンテも重なり、重層的な音の世界が広がる。曲の最後はマチョではなく、カバーレスが歌われたが、それについて大沼は「私にはカバルの音は、暗闇から光、というように感じる」のだと語った。最後に舞台は明るくなり、満ち足りた時間に包まれていた。 そして、鳥のさえずりとともに、舞台は赤らみ夜明けを迎える。素朴な白のワンピース姿の大沼が、片手に麦穂を抱えて現れる。トゥリージャを歌いながら、ゆったりと歩いていく。ラストの曲にトゥリージャを選んだ理由について、大沼は「それまでの旅はまるで幻だったのか?と言うようなシーンにしたかったから」と語った。パリージャのファンタシィア・ポル・ブレリアで誘われたファンタジーの森ではなく、土の匂いや風の音が感じられる現実の大地。これまでの旅はすべて夢の中の出来事であり、目が覚めたらいつもの麦畑でロバが鳴いている―――そんなイメージだと教えてくれた。 前作よりもさらに深められ、また新たな音を加えて様々な景色を見せてくれた大沼の音の旅。彼女の内なる旅は、自身が描く地図を道標に、これからも続いていくだろう。そしてまたいつの日か、音の旅人は私たちに新たな風景を見せに来てくれるかもしれない。 【出演】 [踊り] 大沼由紀 [ギター] 西井つよし [パルマ] 三四郎/小谷野宏司 [歌] 小松美保 [チェロ] 下島万乃 [振付・構成] 大沼由紀 [演出] 佐藤浩希 【大沼由紀公式サイト】 https://www.yuki-onuma.com/ >>>>>

  • 沖仁デビュー20周年アルバムリリース記念ツアー「20 VEINTE」東京公演

    (sabado, 10 de junio 2023) 2022年11月23日(水祝) 第一生命ホール(東京) 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 写真提供/株式会社ジンズアクション Foto por jinsaction co. Ltd. 昨年フラメンコギタリストとしての活動20周年を迎え、その集大成として発表されたオリジナルアルバム『20 VEINTE(ベインテ)』リリース記念ツアーの東京公演が行われた。会場となった由緒あるクラシックホールは男女問わずあらゆる年齢層の観客で満席となり、幅広い層のファンに支持されているのが伝わる。 オープニングを飾るのは、今回のアルバムからギターソロ曲「ススペ」。サイパン島の街の名前を冠したこの曲は、戦争の爪痕が残る現地を訪れたときの印象をソレアで表現したという曲。そのメロディーを正確で繊細なタッチで奏で、曲の世界観を表現する。 1曲目を弾き終え、沖は満面の笑顔で観客を迎えた。最初のMCから表情は喜びに満ちていて、「(今日のステージは)お祭り騒ぎをしつつ、心に残るステージになったらいいなと思います」と語った。 次の曲も同アルバムから、「サパト・ビエホ」というサパテアードの曲。伊集院の踊りが加わり、パーカッションには長年のパートナーである大儀見が参加。パルマやステップが刻むリズムも軽快で、息の合った3人のアンサンブルが楽しい。 次のMCで沖はこの20年間の活動を振り返り、「フラメンコギターの可能性を開拓したいと思ってきました。そしてもう一つ、みなさんに聴くだけでなく弾いてほしいとも思っていました。でもフラメンコギターは習得に時間がかかるので、それでは合奏ならいいのでは、と思いワークショップを行ってきました」と語る。そして今回の公演で、その参加メンバーでアンサンブルを結成。その名も『沖仁フラメンコギターアンサンブル』として、晴れて共演の機会となった。演奏は、合奏によるブレリア。沖と一緒に4人で、それぞれのフレーズでギターソロを披露する。メンバーらは初々しさが残りながらもプロのギタリストに見劣りしない腕前を見せ、憧れの師匠との共演に楽しそうで満足そうだった。彼らの活動は、今年から本格的に始めるという。 ここでスペシャルゲストとして、今注目のバイオリニストNAOTOが登場、公演に花を添えた。3歳からバイオリンを始め、東京藝術大学を卒業しメジャーデビューして17年(当時)という彼は、沖とは10年来の付き合いだと言う。「Respeto y orgullo ~誇りと敬意~」というファルーカを、かっこいいデュオで披露。さらに人気曲の「チャールダーシュ」ではバイオリンの本領を発揮する素晴らしい演奏を聴かせ、フラメンコギターとの相性も良く極上のハーモニーを楽しませてくれた。 ゲストステージの後は、ファーストアルバムからグアヒーラ「La lluvia limpia el aire」を演奏。太陽と海をイメージした照明がステージの雰囲気を演出する。山本がキレの良い踊りを魅せ、躍動感ある足技が光る。眩しい景色が目に浮かび、20年前の瑞々しさがそのまま感じられるようだった。 そして、新曲の「ランドセル」からライブでの定番曲、そして活動中期のお気に入りの曲へと続くメドレーを披露。また、ライブ恒例という観客との掛け合いのコーナーも行われ、沖が奏でるリズムを真似して手拍子で応え、会場は和やかな一体感に包まれた。 アンコールは、活動初期から演奏し続け進化を重ねてきたというブレリアを披露。フラメンコギタリストとしての20年間の様々な足跡を見せ、磨き抜かれた1曲を聴かせてくれた。ゲストのNAOTOも再び登場し、全メンバーによるアンサンブルに多くの客が立ち上がり盛大な拍手を送った。 舞台のラストは、沖のギターソロ。弾き始める前に、この20年間のキャリアについて「目の前にあることにいつも必死に取り組み続けて、ここまで来ました」と振り返る。また、高校時代には自作の音楽カセットテープを3作くらい制作したことや、20歳頃にはそれらを横浜などで手売りもしていたというエピソードも聞かせてくれた。そして2002年7月に発表したファーストアルバム『ボリビアの朝』は手作り感あふれる作品で、これがフラメンコギタリストとしての出発点だったと語る。 演奏は、2011年の東日本大震災後に見上げた満月をもとに作ったという曲「スーパームーン」。ステージの前方まで出てマイクを通さず、真摯でいて渾身の演奏をギターの生音で観客に届けた。 全ての曲を演奏し終えて、客席に向かって心からの感謝を伝える沖の笑顔は、清々しくまっすぐだった。その姿は、きっと10代の頃からそうだったように、ただ純粋にギターが好きでたまらない少年のままであった。 【出演】 沖 仁 フラメンコギター 大儀見 元 パーカッション 藤谷一郎 ベース 須藤信一郎 ピアノ 伊集院史朗 パルマ/踊り 山本 玲 パルマ/踊り 沖仁フラメンコギターアンサンブルより 青木 優 高松宏至 吉良 剛 (スペシャルゲスト)NAOTO バイオリン 【沖仁公式サイト】 https://jinoki.info/ >>>>>

  • 徳永兄弟コンサートホールツアー2022

    フラメンコギター・コンサート NEO FLAMENCO (domingo, 11 de junio 2023) 2022年12月2日(金) 浜離宮朝日ホール(東京) 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 写真/ ⒸMariko Tagashira 昨年結成10周年を迎え、フラメンコはもちろん様々な音楽シーンでも活躍中のフラメンコギターデュオ、徳永兄弟のコンサートホールツアーが行われた。その東京公演の会場となったのは、クラシック・コンサートで有名な浜離宮朝日ホール。天井が高く、音響を重視した構造のコンサートホールだ。チケットは完売し会場は満席。カメラ席を一部開放して追加販売するほどだった。 プログラムは、前半は新作アルバムからカバー曲を中心に、後半は新作と合わせてこれまでのオリジナル曲を中心に構成される。 開演、二人が入場する。1曲目は「ブレリア・デ・パドレ」。最新アルバムの1曲目でもあるこの曲は、兄弟の実父でフラメンコギタリスト徳永武昭の作品を自分たちのテイストでリメイクしたというもの。のびのびと自然体で演奏する二人。気負いもなければ力みもない。それでいて、大編成の楽団に引けを取らないエネルギーと熱量を放ち、会場の空間をすべて自分たちの音楽で染め上げた。 演奏が終わり、MCで自己紹介と曲の紹介をすると、パーカッションのKANを舞台に招いて次の曲へ。2曲目も同アルバムから、ピアソラの有名な楽曲「リベルタンゴ」のフラメンコアレンジ曲。アルバムバージョンとはやや変化をつけ、イントロで二人が各々オリジナルのメロディーを奏でる。その会場でしか聴くことのできないアレンジを楽しめるのも、ライブ演奏ならではの魅力だ。 続いて3曲目は、彼らの4枚目のCDとなるベストアルバムから「赤とんぼ」。日本の憧憬を感じさせながらもフラメンコのグルーヴも楽しませてくれる曲だ。 今回のホールツアーに先立ち、NHKの人気の朝番組に出演してTVで生演奏を披露したことをきっかけに、これまでフラメンコを全く知らなかった人々から多くのファンを獲得した。そうした新しいファン層にとっても親しみやすい曲だっただろう。 次の曲は再び最新アルバムから「トリステーザ」。ブラジルのサンバの名曲を、フラメンコのルンバという曲種でアレンジした色彩豊かな曲。陽光にまどろむようなやさしい曲調に、ブラジル音楽にも精通するKANがパンデイロというブラジル・タンバリンでスパイスを効かせる。またソロ・パートでも、パーカッションの魅力が詰まったフレーズを楽しませてくれた。 前半最後の演奏は、チック・コリアの名曲「スペイン」。これまでに数々のフラメンコアーティストがアレンジ曲を発表しているが、徳永兄弟はさらなるオリジナリティを追求。ティエントとシギリージャという挑戦的なアレンジを行い、しっかり自分たちの音楽として手の内に収めた演奏を披露した。 休憩をはさんで後半は、アルバム曲「カルメンフラメンコファンタジー」からスタート。スペインを舞台とした世界的に有名なオペラ「カルメン」の人気曲で、通常はオーケストラで演奏される曲をフラメンコギターの演奏で聴けるのはとてもうれしい。「アラゴネーズ」から「ハバネラ」「闘牛士の歌」へと高揚感を掻き立てるような構成。アレンジではさまざまな曲種を取り入れ、MCで弟・康次郎は「(各アレンジの)リズムが変わるポイントを、ぜひCDを聴いて探してみてください」と観客に語った。 次の曲はベストアルバムから「マリアーナ」。昔からのフラメンコの曲種で、歌として歌われることが多いそうだが、ギター演奏でしっとりと味わい深い美しい旋律を聴かせてくれた。 ここでスペシャルゲストとして、NHK出演時にも共演したフラメンコダンサーの中原潤と鈴木時丹がパルマ(手拍子)として登場。演奏はセカンドアルバムにも収録される人気のオリジナル曲「魂の旅人」。パルマとハレオ(掛け声)が加わることで、音楽の響きと舞台の熱量にさらなる厚みが増す。TVで演奏した時はショート版だったが今回はフルサイズで披露し、観客からひときわ大きな拍手が上がった。 演奏後のMCではアルバムのレコ―ディングについての話題に。夢だったスペイン人のプロのパルマでの録音が叶ったことなどを話してくれた。 ラストの曲は、3枚目のアルバムに収録される「アスカル・モレーノ」。ライブならではのインプロのパフォーマンスで観客を楽しませ、盛り上がりの中で演奏を締めくくった。 アンコールは、スペイン版ゴット・タレントに出演した際に演奏したショート版の「ブレリア・デ・パドレ」。そしてダブル・アンコールは新作アルバムから「シェイプ・オブ・マイ・ハート」と「コーヒールンバ」のメドレー。最後に兄・健太郎は「これからも、他のフラメンコライブにも行ってみて楽しんでほしい」と語った。 音響の素晴らしい会場で最高の演奏を堪能した、至福の2時間はあっという間だった。そして次の公演は来る6月23日、東京の紀尾井ホールにて信頼のおける凄腕の素晴らしいメンバーが顔を揃える。 今後の徳永兄弟の活躍に注目だ。 【出演】 徳永兄弟 フラメンコギター KAN パーカッション 中原 潤 パルマ 鈴木時丹 パルマ 【徳永兄弟公式サイト】 https://www.tokunagaduo.com/ >>>>>

  • スペイン発☆志風恭子のフラメンコ・ホットライン

    (miércoles,7 de junio 2023) 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze 聖週間、セビージャのフェリアに続いてへレスやコルドバなど各地でもフェリアが開催、そしてロシオ巡礼とアンダルシアではお祭りが続きます。それらが一段落したかと思うと、あれよあれよと夏休みに突入。他の地方の人から「アンダルシア人は怠け者で遊んでばかり」などと言われてしまうのも理解できるような気がします。でももちろんしっかり仕事や勉強もしていますよ。聖週間もフェリアも巡礼も、楽しむためにはお金がかかるんです。聖週間の行列に出るための装束、フェリアのカセータと呼ばれるテント小屋、セビージャでは会員制のところがほとんどですがその費用や飲食代、衣装代、子供がいれば遊園地にも連れて行かなくちゃ、と出費がかさみます。巡礼も飲食、宿泊、衣装、なにかとお金がかかります。大金持ちなら問題ありませんが、セビージャの庶民の中にはお祭りに命をかける勢いの人も多く、お祭りを楽しむためにも稼がなきゃ、なのです。 【マノロ・サンルーカルに捧げる】 4月25日、ヘレスのビジャマルタ劇場で、2022年8月27日に亡くなったギターの巨匠、マノロ・サンルーカルへのオマージュ公演が上演されました。通常の歌や踊りの伴奏、ソロでのリサイタルなどだけではなく、ギター奏者、作曲家として、交響楽団とフラメンコギターの共演を実現させ、毎年7月に行われるコルドバのギター祭で長年後進の指導にあたるなど、多方面にわたり、フラメンコの地平を開き未来へとつなげていったその功績を讃えてのこの公演には、タブラオ時代にも共演し、曲を捧げた踊り手メルチェ・エスメラルダ、かつてマノロのグループで第二ギタリストを務めたフアン・カルロス・ロメロやダビ・カルモナ、ライブでも録音でも共演した歌い手カルメン・リナーレス、パーカッション奏者ティノ・ディ・ジラルド、名作『タウロマヒア』に参加した地元へレスのマカニータとディエゴ・カラスコをはじめ、名だたるアーティストたちが出演。マノロの名作を次々と演奏しました。スペイン国立バレエの公演で日本でもお馴染みとなった名作『メデア』の音楽で、ファルキートとパストーラ・ガルバンが国立バレエのホセ・グラネーロ版ではなく、新しい振り付けで踊るなど、亡くなってなお、フラメンコのクリエイティビティに貢献、というのが、フラメンコを愛し、フラメンコの未来を憂えたマノロならではのようにも思えます。 【ホセ・デ・ラ・トマサにセビージャ市のメダル】 セビージャでは毎年5月30日、市の守護聖人、サン・フェルナンドの日に市のメダルを功労者に贈っていますが、今年度、歌い手ホセ・デ・ラ・トマサが受賞者の一人となることが5月8日、発表されました。 ホセ・デ・ラ・トマサ、本名ホセ・ジオルジオ・ソトは、1951年セビージャはマカレーナ地区、アラメーダの生まれ。父はピエ・デ・プロモ、母はトマサ・ソトと、ともに歌い手。母方の祖父がペペ・トーレ、大伯父が歴史に名を残す巨匠マヌエル・トーレというフラメンコの名門出身。1976年にはコルドバのコンクールでマヌエル・トーレ賞を受賞するなどしました。その後はペーニャやフェスティバルを主な舞台として活躍。またクリスティーナ・ヘーレン財団フラメンコ芸術学校では創立当初より、カンテ科の教授を長らく務め、多くのアーティストの規範となりました。なお現在、スペイン国立バレエ団などで活躍している歌い手ガブリエル・デ・ラ・トマサは息子、若手のホープとして期待が高いマヌエル・デ・ラ・トマサは孫、とその伝統は次世代へと受け継がれています。 生まれ故郷のセビージャで、その功績が公に認められたことは嬉しい限りです。 ©Bienal de Sevilla Antonio Acedo 【新譜】 カディス県アルヘシラス出身のギタリスト、ホセ・カルロス・ゴメスの新譜『ラス・ウエジャス・デ・ディオス(神の足跡)』は、郷里の先輩パコ・デ・ルシアの足跡を追いつつ作曲した曲で綴るオマージュ・アルバム。ソングライターとしても活躍する彼はパコその人を直接知っているだけに、強い思いが感じられる1枚となっています。 クラウドファンディングで実現したアルバムで、本人の公式ウエブ(https://www.josecarlosgomez.es)から購入が可能*です。 *現在はスペイン国内のみの販売ですが、近いうちに国外への販売にも対応予定、とのことです(編集部注/5月23日現在) へレス出身で、現在は主にマリナ・エレディアやアルヘンティーナらの伴奏のほか、プロデューサーとしても活躍しているホセ・ケベド“ボリータ”のソロ・アルバム『フェルティル』。グループ、U.H.Fの仲間でパーカッションのパキート・ゴンサレスや、同郷の歌い手ロンドロが参加しています。YouTubeやSpotifyなどで聴くことができます。 https://www.youtube.com/watch?v=Gea4_GqHZFw&list=OLAK5uy_mDQzMUt7FjoV4GEmd3REhVmRiA1Kd5Gv 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>

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