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沖仁 フラメンコギター独奏 SOLITO+[PLUS]

ゲスト 鈴木大介


(domingo, 15 de septiembre 2024)

 

2024年 3月9日(土)

東京オペラシティ リサイタルホール(初台)


写真提供/株式会社ジンズアクション

文/金子功子

Texto por Noriko Kaneko


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 幅広いジャンルのミュージシャンとの共演経験が豊富な、フラメンコギタリスト沖仁が毎回素晴らしいゲストを迎え、極上の演奏を楽しんでほしいとのコンセプトで開催するコンサートシリーズ『フラメンコギター独奏 SOLITO+[PLUS]』公演が行われた。

 今回の会場は、自身初となる東京オペラシティのリサイタルホール。素晴らしい音響を備えたコンパクトな空間は、満席の観客に埋め尽くされた。


 今回のゲストは、日本を代表するクラシックギタリストの鈴木大介を迎え、フラメンコギターとクラシックギターそれぞれのソロ演奏に加え、円熟の域に達したスペシャルなギター二重奏も披露するという。


 第1部のステージは沖のギターソロを中心に構成。マエストロ・セラニートに捧げるソレアや、セビージャに住んでいた時に作ったというタンゴ、そしてアストゥリアスと、様々な曲調が楽しめる選曲。細やかな指使いで粒ぞろいの音色を奏でる。重厚感がありつつも柔らかいギターの響きが心地よい。


 MCでは、最近ワークショップをこのオペラシティのリハ室でやっていることや、かつてこの近くに住んでいた頃の思い出話などを披露。また使用ギターについても、2022年の秋に完成したという本間廣明氏の作で、歯切れの良い音が魅力で一心同体になれる一本だと紹介した。


 次の曲は春なので、と日本人にはお馴染みの「さくらさくら」。ドラマティックなブレリア・アレンジが何とも新鮮な一曲。またグラナイーナでは、秘めた思いがほとばしるような情熱的な演奏を聴かせてくれた。


 第2部のステージでは、今回のゲスト鈴木大介が登場。1曲目は鈴木のソロで、バッハの曲をしっかりとした張りと艶のある音色で響かせる。


 MCで沖はフラメンコギターの前にクラシックギターを弾いていたことに触れ、今でもその良さに魅かれていると話す。そして鈴木をクラシックギターのマエストロと紹介し、旧知の仲でもある事から打ち解けたトークで会場を楽しませる。


 続いて、映画音楽から2曲をデュオ演奏で披露。映画「黒いオルフェ」の「オルフェの歌」では、互いに音を重ね呼吸を感じ合いながら音を重ねていく。この曲は鈴木が8弦ギターで演奏、豊かな低音域を聴かせた。そして女優ペネロペ・クルスが出演した映画「ボルベール(帰郷)」からは、フラメンコアレンジのタンゴの曲。心地よいメロディーに優しい陽気さが伝わり、瑞々しさが感じられる一曲だ。


 またファリャの名作、歌劇「はかなき人生」から「スペイン舞曲第1番」や、アランフェス協奏曲アダージョのブレリア・バージョンなど、みんながよく知るお馴染みの曲も披露。互いの素晴らしい音色が溶け合い、二人の演奏スタイルの魅力がそれぞれ楽しめる選曲だった。


 最後は沖がマイク無しの生音で、歩きながら「Tremolo[トレモロ]~お別れの歌~」を演奏。音を慈しむように丁寧に奏でられた、珠玉のアンコールとなった。


【出演】

沖仁(フラメンコギター)

ゲスト:鈴木大介(クラシックギター)

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