(martes, 12 de noviembre 2024)
一般財団法人エルスール財団主催による第13回エルスール財団新人賞(フラメンコ部門)に、フラメンコダンサー松田知也さんの受賞が決定しました。
松田さんは10歳からフラメンコを始め、現在は小島章司フラメンコ舞踊団の主要メンバーとして活動。劇場公演からタブラオ・ライブまで幅広く活躍し、素晴らしい舞踊技術と洗練された表現力で高い人気を集めています。
なお、授賞式は12月15日(日)にエルスール財団記念館にて開催される予定です。
<贈賞理由>
私が、松田知也さんの踊りを拝見するようになって16年が経った。最初は、私が日本フラメンコ協会主催の「新人公演」の選考委員をつとめさせていただくようになった初年の2008年だった。その時、松田さんは最高賞である奨励賞を受賞された。また2013年には、河上鈴子スペイン舞踊新人賞も受賞されている。こうしたことから、松田さんはもう「新人」の枠には入らないという見方もできるかもしれない。でも、コロナ禍を経て松田さんは大きく変わられた。まったく新しいフェーズに入ったと言っても過言ではないだろう。とりわけ、評判の『棘の多い薔薇たち』シリーズにvol.6再演(2021年9月、於:アルハムブラ)から参加し、宣言通り「大輪の薔薇」を咲かせ、フラメンコ界から驚きの声が上がったのは記憶に新しい。
コロナ禍で、多くの踊り手が自分と向き合う時間が増えた。松田さんもそうした中で、自分の踊りの方向性を模索し、一つの答えを見出したように思われる。すなわち、手具(パリージョ、アバニコ、マントン)とバタ・デ・コーラ(裾を長くひきずるフラメンコ衣装)をきわめること。男性舞踊手のバタ・デ・コーラはスペインでは近年珍しくなくなった。でも、日本ではまだ使う人がそれほど多いわけではない。それに、一つ間違えば「女装」というレッテルを貼られかねない。だが、松田さんのバタ・デ・コーラ姿は、本当に美しい。長身の松田さんの操るバタ・デ・コーラは、迫力と繊細さの両方が備わっていて、彼の表現の幅を大きく広げたと言える。さらに、こうした新たな方向性に加え、フラメンコの大きな魅力である「ペジスコ」(スペイン語で「つねり」を意味する。フラメンコでは見ている者の心をきゅっとつかむ瞬間を指す)を感じさせる踊り手に成長されたことは、素晴らしい。「ペジスコ」のある踊り手は、残念ながら日本ではきわめて少ないのだ。
私はずっと見続けてきた一人の踊り手のこうした変化に感動を覚えた。そして、今後日本のフラメンコ界を背負っていくことになるであろう「シン知也」に、ぜひともエルスール財団新人賞を贈賞したいと思う。
(選考委員:野村眞里子)
<松田知也プロフィール>
山形県出身。幼少期にはダンス全般、10歳でフラメンコを始める。 98年より本格的に小島章司氏のもとでフラメンコを始め、2001年「黒い音」以降、小島章司フラメンコ舞踊団の全定期公演に出演。08年日本フラメンコ協会新人公演バイレ・ソロ部門奨励賞受賞。11年フェスティバル・デ・ヘレス招聘公演「ラ・セレスティーナ~3人のパブロ~」に舞踊団員として出演 。12年ビエナル・デ・セビーリャ招聘公演「ラ・セレスティーナ~3人のパブロ~」に舞踊団員として出演し高評を受ける(ABC紙マルタ・カラスコ記者)。
13年河上鈴子スペイン舞踊新人賞受賞。17年小澤征爾音楽塾オペラ「カルメン」東京・京都・名古屋公演に出演。 17年・19年のCAFフラメンコ・コンクールにおいてファイナリストとなる。21年駐日スペイン大使館主催公演「ロルカ藝術大全 文学と音楽と舞踊を巡る」に出演。22年スタジオジュリナ主催「FLAMENCO Carmen」にてエスカミーリョ役を好演。これまでに、クリスティーナ・オヨス、ハビエル・ラトーレ、ドミンゴ・オルテガ、エルフンコ他数多くのスペイン人舞踊家から指導を受ける。現在はタブラオ、劇場公演に精力的に出演しながら小島章司フラメンコ舞踊団主要メンバーとして活動している。
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