(miércoles, 1 de mayo 2024)
文・写真/志風恭子
Texto y fotos por Kyoko Shikaze
4月といえば日本では桜や、年度はじめの入学式や入社式というイメージかと思いますが、セビージャではなんといってもフェリア、です。セビージャの春祭り、という呼び名で日本では知られていますが正式名称はフェリア・デ・アブリル、4月のお祭りです。通常、聖週間の2週間後に行われますが、毎年時期が変わる聖週間に合わせ、5月の開催となる場合は4月中にはじめられるよう、1週間後に行われることもあります。かつては月曜の夜に始まりましたが、2017年からは土曜に点灯式が行われ、次の土曜に花火で閉幕となっています。
フェリアといえばセビジャーナス。老いも若きも歌い踊って楽しむのがセビージャ。そのセビジャーナスも変わってきています。今年、最もよく聞かれたのはオマル・モンテスの『ラ・セビジャーナ』。マドリード出身のヒップホップ系の歌手が歌ったこの曲はリリースされるとすぐに、Spotifyでの最もよく聴かれたセビジャーナス1位に躍り出ました。セビジャーナスはフラメンコの歌い手も歌うことはありますが、基本、セビジャーナス専門の歌手やグループが歌うもの、という常識が覆された形です。保守的なセビジャーナス好きは否定的にみているようですが、裾野が広がるという意味では良いことのようにも思います。
プロモーションビデオはセビージャのトレスミルという、フラメンコ映画の舞台にもなった地区で撮影されています。なお、彼には他にもイスラエル・フェルナンデスやファルキートらと共演している曲やビデオもあります。
なお、フェリアと呼ばれる、仮設小屋が立ち並ぶ会場で歌ったり踊ったりというお祭りはセビージャだけでなく、5月にはヘレスやコルドバ、6月にはグラナダ, 8月にはマラガといった具合に、アンダルシア各地で楽しまれています。
【ビエナル、プログラム発表】
アントニオ・マイレーナ胸像の前での発表。話しているのはセビージャ市長 ©︎ La Bienal
4月9日、世界最大のフラメンコ祭、セビージャのビエナルのプログラムが発表されました。前回は前衛的な舞踊作品に偏っているのではと批判されたりしたこともあってか、カンテ公演やオーソドックスなフラメンコ公演も多いけど、最先端の舞踊作品も含むというバランスの良いプログラムになっているように思います。すでに前売り券は発売されており、売り切れとなっている公演もあるようです。秋のセビージャでビエナル公演を見たいと思っている方はお急ぎくださいね。
◇第23回ビエナル・デ・フラメンコ
9/12(木)20時30分『開幕ガラ カウダル』
[出]〈g〉トマティート、ディエゴ・デル・モラオ、ホセ・デル・トマテ、ホセ・マリア・バンデーラ、アントニオ・サンチェス、パケーテ、〈c〉ミゲル・ポベーダ、イスラエル・フェルナンデス、アウロラ・バルガス、〈b〉ファルキート
[場]セビージャ マエストランサ劇場
9/13(金)、14(土)18時30分、15(日)12時30分『マヌアル・デ・フラメンコ・パラ・ファミリア』
[出]〈b〉レオノール・レアル
[場]セビージャ カイシャ・フォーラム
9/13(金)20時30分『フェデリコ・イ・エル・カンテ』
[出]〈c〉ミゲル・ポベーダ
[場]セビージャ マエストランサ劇場
9/13(金)23時『トダ・ウナ・ビダ』
[出]〈c〉エンリケ・エル・エストレメーニョ
9/14(土)19時『エル・コロール・デ・ミ・ソニード』
[出]〈g〉マノロ・フランコ
[場]セビージャ エスパシオ・トゥリーナ
9/14(土)20時30分『ディセン・ケ・パラ・カンタル』
[出]〈c〉ぺドロ・エル・グラナイーノ
[場]セビージャ アウディトリオ・カルトゥハ(カナダ館)
9/14(土)23時『マタリフェ・パライソ』
[出]〈b〉アンドレス・マリン、アナ・モラーレス
[場]セビージャ セントラル劇場
9/15(日)19時『エントレ・ドス・ギターラ』
[出]〈c〉セグンド・ファルコン、〈g〉パコ・ハラーナ、ラファエル・ロドリゲス
[場]セビージャ エスパシオ・トゥリーナ
9/15(日)20時30分『ムエルタ・デ・アモール』
[出]〈b〉マヌエル・リニャン
[場]セビージャ マエストランサ劇場
9/15(日)23時『エレメントス』
[出]〈sax〉ガウタマ・デル・カンポ、〈ベース〉ぺぺ・バオ、〈perc〉ティノ・ディ・ジェラルド、〈g〉エセキエル・レイナ、〈vocal〉 カラオスクラ
[場]セビージャ アラメーダ劇場
9/16(月)21時30分『クアンド・サレ・ラ・アウロラ』
[出]〈c〉アウロラ・バルガス
[場]セビージャ レアル・アルカサール
9/16(月)23時『エン・エステ・ディア、エン・エステ・ディア』
[出]〈b〉フロレンシア・オス
[場]セビージャ セントラル劇場
9/17(火)21時『ベルソ・リブレ』
[出]〈b〉マリア・モレーノ
[場]セビージャ カルトゥハ修道院
9/17(火)21時30分『ポル・ロス・シグロス・デル・カンテ』
[出]〈c〉ホセ・デ・ラ・トマサ、カリスト・サンチェス、フアン・ビジャール、マルセロ・ソウサ、ロメリート・デ・ヘレス、ナノ・デ・ヘレス
[場]セビージャ レアル・アルカサール
9/18(水)21時30分
[出]〈c〉イネス・バカン、マカニータ、〈piano〉ぺドロ・リカルド・ミーニョ
[場]セビージャ レアル・アルカサール
9/18(水)23時『コメディア・シン・ティトゥロ』
[出]〈b〉ウルスラ・ロペス
[場]セビージャ セントラル劇場
9/19(木)20時30分『フイ・ピエラ』
[出]〈c〉ラファエル・デ・ウトレーラ
[場]セビージャ アウディトリオ・カルトゥハ(カナダ館)
9/19(木)23時『『ベンゴ・デ・ミ・エストレマドゥーラ』
[出]〈c〉〈c〉グアディアナ、フアンフラ・カラスコ、〈g〉ミゲル・バルガス、フアン・バルガス
[場]セビージャ ムエジェ・カマロネーロ
9/20(金)19時『ジャント・フラメンコ・デ・ラ・ギターラ』
[出]〈g〉ペドロ・シエラ
[場]セビージャ エスパシオ・トゥリーナ
9/20(金)21時30『プーロ・イ・サルバヘ』
[出]〈c〉エル・ペレ、〈b〉アントニオ・カナーレス、〈g〉ホセ・アントニオ・ロドリゲス
[場]セビージャ レアル・アルカサール
9/20(金)23時『プエンテ・マヒコ』
[出]〈g〉リカルド・ミーニョ、〈シタール〉グアルベルト
[場]セビージャ ムエジェ・カマロネーロ
9/21(土)19時『アルゴリトモ』
[出]〈g〉ホセ・デル・トマテ、ジョニ・ヒメネス、〈c〉イスマエル・エル・ボラ
[場]セビージャ エスパシオ・トゥリーナ
9/21(土)20時30分『ウン・マル・デ・カンテス』
[出]〈c〉アルカンヘル
[場]セビージャ マエストランサ劇場
9/21(土)23時『テリトリオ・ヘレス』
[出]〈c〉フアナ・ラ・デル・ピパ、エセキエル・ベニテス、ダビ・カルピオ、マヌエル・モンへ、〈g〉マヌエル・バレンシア
[場]セビージャ ムエジェ・カマロネーロ
9/22(日)12時、21時『エスカルラッティアナス』』
[出]〈piano〉ドランテス
[場]セビージャ ルイス・デ・ロス・フランセセス教会
9/22(日)19時『アルベニス・フラメンコ』
[出]〈g〉ミゲル・アンヘル・コルテス、ホセ・マリア・ガジャルド
[場]セビージャ エスパシオ・トゥリナ
9/22(日)21時30分『パ・ケ・メ・ジャマス』
[出]サルマリナ、マリア・デ・ラ・コリーナ、フアン・ラファエル、ホセ・ルイス・ペレス・ベラ、ベアトリス、ロメロ
[場]セビージャ レアル・アルカサル
9/22(日)23時『カンテス・デ・オトロ・ティエンポ』
[出]〈c〉イスラエル・フェルナンデス、〈g〉アントニオ・エル・レロヘロ
[場]セビージャ アラメーダ劇場
9/23(月)20時30分『ピネーダ』
[出]〈b〉アンダルシア舞踊団
[場]セビージャ マエストランサ劇場
9/23(月)23時『フィリグラナ』
[出]〈c〉エル・トゥリー、エル・ペレーテ
[場]セビージャ アラメーダ劇場
9/24(火)21時30分『ネルハ』
[出]〈g〉ラファエル・リケーニ、アレハンドロ・ウルタード
[場]セビージャ レアル・アルカサール
9/24(火)23時『アプレ・ボウス、マダム』
[出]〈b〉パウラ・コミトレ
[場][場]セビージャ セントラル劇場
9/25(水)20時30分『ソロ・ア・セビージャ』
[出]〈b〉エバ・ジェルバブエナ
[場]セビージャ マエストランサ劇場
9/25(水)23時『デ・ロス・ブエノス・マナンティアレス』
[出]〈c〉マヌエル・デ・ラ・トマサ、レラ・ソト
[場]セビージャ マエストランサ劇場
9/26(木)20時30分『エストゥディオ・ソブレ・ロス・カンテス・デ・レブリーハ』
[出]〈c〉ホセ・バレンシア
[場]セビージャ アウディトリオ・カルトゥハ(カナダ館)
9/26(木)23時『クレアビバ』
[出]〈b〉ラファエラ・カラスコ
[場]セビージャ セントラル劇場
9/27(金)19時『カジェホン・デル・アルテ』
[出]〈g〉ダビ・デ・アラアル
[場]セビージャ エスパシオ・トゥリーナ
9/27(金)20時30分『レシタル・デ・バイレ』
[出]〈b〉ファルキート
[場]セビージャ マエストランサ劇場
9/27(金)23時『カンタオーレス・ケ・バイラン』
[出]〈c〉カンカニージャ、エル・プリリ
[場]セビージャ アラメーダ劇場
9/28(土)19時『エル・ケ・バ・コンミゴ・イ・ジョ』
[出]〈g〉フアン・カルロス・ロメロ
[場]セビージャ エスパシオ・トゥリーナ
9/28(土)20時30分『コラソネス・デ・アグア』
[出]〈c〉エスペランサ・フェルナンデス
[場]セビージャ アウディトリオ・カルトゥハ(カナダ館)
9/28(土)23時『オルビダダス、ア・ラス・シン・ソンブラス』
[出]〈b〉メルセデス・デ・コルドバ
[場]セビージャ セントラル劇場
9/29(日)19時『ラス・トレス・オリージャス』
[出]〈g〉マヌエル・バレンシア
[場]セビージャ エスパシオ・トゥリーナ
9/29(日)20時30分『コモ・エル・アベ・フェニックス』
[出]〈b〉マヌエラ・カラスコ
[場][場]セビージャ マエストランサ劇場
9/29(日)21時『マタンセラ』
[出]〈c〉ラ・カイタ、ラ・トレメンディータ
[場]セビージャ カルトゥハ修道院
9/30(月)21時『66パロス』
[出]〈b〉フアン・デ・フアン
[場]セビージャ カルトゥハ修道院
9/30(月)23時『デサンパラオ』
[出]〈c〉ダビ・パロマル
[場]セビージャ アラメーダ劇場
10/1(火)20時30分『ソノリダ・M』
[出]〈c〉アルヘンティーナ
[場]セビージャ マエストランサ劇場
10/1(火)23時『クチャロン、イ・パソ・アトラス』
[出]〈b〉ホアキン・グリロ
[場]セビージャ セントラル劇場
10/2(水)20時30分『アスタ・レヒア』
[出]〈c〉マリア・テレモート、ヘスス・メンデス
[場]セビージャ アウディトリオ・カルトゥハ
10/2(水)23時『エン・クエルポ・イ・アルマ』
[出]〈b〉マヌエラ・カルピオ
[場]セビージャ アラメーダ劇場
10/3(木)21時『50アニョス・デル・カンテ』
[出]〈c〉ホセ・デ・ラ・トマサ
[場]セビージャ カルトゥハ修道院
10/3(木)23時『カプリチョ』
[出]〈b〉ハビエル・バロン、ロサリオ・トレド
[場]セビージャ セントラル劇場
10/4(金)19時『エンクエントロ』
[出]〈g〉リカルド・モレノ、ニーニョ・ホセーレ
[場]セビージャ エスパシオ・トゥリーナ
10/4(金)20時30分『コン・アセント・XL』
[出]〈fl〉セルヒオ・デ・ロペ、〈piano〉チコ・ペレス
[場]セビージャ アウディトリオ・カルトゥハ(カナダ館)
10/4(金)23時『25アニョス・デ・ノチェ・デ・フラメンコ・イ・ブルース』
[出]〈g〉ライムンド・アマドール、エミリオ・カラカフェ
[場]セビージャ アラメーダ劇場
10/5(土)20時30分『カルメン』
[出]〈b〉イスラエル・ガルバン、セビージャ交響楽団
[場]セビージャ マエストランサ劇場
出演アーティストたちと市長、監督ら。©︎ La Bienal
【タリア賞】
昨年始まった、スペイン舞台芸術アカデミーによるタリア賞。4月22日、第2回の授賞式がマドリードのスペイン劇場、テアトロ・エスパニョールで行われました。演劇やミュージカル、クラシック作品などと共に舞踊部門もあり、昨年はイスラエル・ガルバン(男性舞踊家)、ロシオ・モリーナ(女性舞踊家)、マリア・パヘス(作品)とフラメンコが圧倒的な強さを見せましたが、今年も最優秀男性舞踊家賞を作品『バイレス・ロバードス』によりダビ・コリアが受賞しました。おめでとうございます。
ダビはセビージャ市郊外、ハポン(日本)さんという名字の町としても知られる、コリア・デル・リオの出身。セビージャの舞踊学院を経てスペイン国立バレエ団へ。退団後はマドリードのタブラオやラファエラ・カラスコ舞踊団で活躍。ラファエラ監督の元アンダルシア舞踊団では第一舞踊手、振付家、リハーサル監督を務めました。2019年作品『アノニモ』でヘレスのフェスティバル観客賞受賞、2020年には『ファンダンゴ』でヘレスの批評家賞、ビエナルの最優秀作品賞を受賞しています。
【カンテ・デ・ラス・ミーナス祭】
4月25日、今年のカンテ・デ・ラス・ミーナス祭のポスターが発表されました。今年で第63回となる歴史を誇る、名だたるアーティストたちを世に送り出したコンクールで知られるこのフェスティバルは、今年もムルシアのラ・ウニオンの町で、7月31日から8月10日まで開催されます。メインとなるのは、7日からのコンクールですが、その前にも第一線で活躍するアーティストによる公演や講演などが行われます。
セビージャからだとグラナダ経由のバスで8時間近くかかりますが、フラメンコ好きなら一度は訪れたいフェスティバルの一つだと思います。
なお、コンクールの出場は現在受付中です。締切は6月1日だそう。16歳以上であれば国籍不問です。
◇カンテ・デ・ラス・ミーナス
8/2(金)23時『ポエマ・デル・カンテ・ホンド』
[出]〈c〉ミゲル・ポベーダ
8/3(土)23時『エスタンパス・フラメンカス』
[出]〈b〉スペイン国立バレエ団
8/4(日)23時『ルバト』
[出]〈g〉カルロス・ピニャーナ、ムルシア州立オーケストラ
8/5(月)23時『ソ・ラ・ナ&ラス・ミーナス・フラメンコ』
[出]〈b〉エドゥアルド・ゲレロ 他
8/6(火)23時『ソウレリア・デ・イダ・イ・ブエルタ』
[出]〈c〉ピティンゴ
8/7(水)〜9(金)
コンクール準決勝
8/10(土)
コンクール決勝
[場]ムルシア州ラ・ウニオン 旧公設市場
[問]前売り券 https://www.ticketmaster.es/artist/festival-internacional-del-cante-de-las-minas-entradas/67803
(写真)鉱夫の像。奥にメイン会場のカンテの殿堂/旧公設市場 ©︎ Kyoko Shikaze
【筆者プロフィール】
志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。
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