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スペインNews 12月号・2024

(viernes, 6 de diciembre 2024)

 

文・写真/志風恭子

Texto y fotos por Kyoko Shikaze

 

11月1日は諸聖人の日。カトリックのすべての聖人を祝福する日なのですが、スペインでは皆がお墓参りに行く、日本でいうお彼岸のような日でもあります。翌日11月2日が死者の日で、メキシコなどでは大きなお祭りになっているようですね。ディズニー映画『リメンバー・ミー』をご覧になった方はよくご存知のことでしょう。スペインでは一般的にお祭りというよりも、祝日の11月1日がお墓参りの日というイメージの方が強いと思います。ただ最近ではスペインでも日本同様ハロウィンでお祭り騒ぎをする若い人も多いようです。フラメンコのアーティストでもメキシコ風?なドクロ・メイクをしてSNSに投稿する人も。世界が均一化していくのはちょっと寂しい気もしますが、同じようなことをしていることで共通の話題になっていくこともあるでしょうし、悪いことばかりではないことを祈ります。

 

《INDEX》

 

【ヘレスのフェスティバル、プログラム発表】

A_2412_志風ニュース_第29回ヘレス・フェスティバル

 2010年11月16日、ユネスコがフラメンコを無形文化遺産に制定したのを記念して、11月16日は国際フラメンコの日に制定されています。日本ではまだまだ知られていないようですが、スペインでは各地でフラメンコ関係の催しが開催されるなどしています。今年は、来年2月から3月にかけて行われる、第29回ヘレスのフェスティバルのプログラムもこの日に発表されました。



 開幕を飾るのはパトリシア・ゲレーロが監督を務めるアンダルシア舞踊団『ピネーダ』。


 19世紀のグラナダで自由主義者として死刑に処された女性を描いたガルシア・ロルカの戯曲をもとにした、今年8月グラナダで初演され、セビージャのビエナルでも上演された素晴らしい作品です。

(*クルシージョ期間外の公演なので、クラス受講者も入場券を購入する必要があります)

 

 以後、エバ・ジェルバブエナ、ラファエラ・カラスコ、メルセデス・デ・コルドバ、マヌエル・リニャン、エドゥアルド・ゲレロ、マルコ・フローレスなど充実のプログラム。これまでに出演していなかったのが不思議ですが、今年の日本公演も好評だったアントニオ・ナハーロ舞踊団が初登場するほか、アントニオ・ガデス舞踊団『カルメン』など、フラメンコとスペイン舞踊のフェスティバルにふさわしいプログラムです。また、マリア・ホセ・フランコやマリア・デル・マル・モレーノなど地元の踊り手の公演ももちろん行われます。

 

 そんな中で特に注目したいのが、イスラエル・ガルバンが『エダ・デ・オロ(黄金時代)』初演から20周年を記念しての公演も行います。初演はフェルナンド・テレモートの歌、アルフレド・ラゴスのギターで、サラ・コンパニアで行なわれたのですが、今回は歌が、イスラエル版『カルメン』にも出演していた、ウトレーラ出身でオランダ在住の歌い手でギタリストのマリア・マリン、ギターがセビージャのベテラン、ラファエル・ロドリゲス。長年、アルフレドのギターとフェルナンドの没後受け継いだダビ・ラゴスというメンバーで上演されてきた『黄金時代』ですが、すでにこの顔ぶれで各地で上演しているようですが、演者が変わって内容も変わっているのかどうか、興味津々です。

 公式web(https://www.israelgalvancompany.com/)にあったビデオを貼っておきますね。


歌が変わると踊りも変わりそう、な予感がしますね。

 

 他にも、日本でもお馴染み、ミゲル・アンヘル・エレディアやぺぺ・トーレスの公演があったり、スペイン国立バレエ団ソリストでボレーラの名手、エステラ・アロンソの座長公演があったり、ピラール・オガージャとアンドレス・ペーニャ夫妻が率いるカディス・フラメンコ舞踊団の公演があったり、と色々楽しみ。ギターならアントニオ・レイの公演があるし、歌はマカニータやアンヘレス・トレダーノ、ホセ・ミヒータやぺぺ・エル・ボレーコが登場します。

 また、3月2日には萩原淳子がペーニャ、ブエナ・ヘンテでの公演に出演します。ペーニャでのフェスティバル主催公演は入場無料なので、こちらへもぜひ。

 

プログラム詳細はこちらで

日本語はこちらで


 なお、12月2日には改めてビジャマルタ劇場で、出演予定アーティストも参加したプレゼンテーションも行われました。

C_2412_志風ニュース_ビジャマルタ劇場

 

【ドキュメンタリー『paco de lucia flamenco legacy』】

 パコ・デ・ルシアが亡くなってはや10年。パコについての新しいドキュメンタリー『パコ・デ・ルシア、フラメンコ・レガシー』がアンダルシアの放送局、カナルスールで11月26日、27日の両日、放映されました。

D_2412_志風ニュース_パコデルシアドキュメンタリー

 今年2月、ニューヨークで行われたオマージュ公演の様子やそこに参加したアーティストやゆかりの人々、家族、研究者などのコメントが満載。現在WEBからは見る事ができないようですが、パコを知る人たちの証言と生前のビデオからあなたの知らないパコが浮かび上がってくることでしょう。

 

【第21回トーレロドネス・フラメンコ祭】

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Torrelodones Flamenco Festival ©︎ Vera Valentin


 マドリード郊外トーレロドネスで開催されたフラメンコ祭では、11月26日、マドリードの舞台を長年追い続けている写真家パコ・マンサーノによるパコ・デ・ルシアの写真展に始まり、翌日はパコについてのシンポジウムとサンドラ・カラスコとダビ・デ・アラアルのリサイタルと続き、最終日はパコ・デ・ルシアへのオマージュ公演。初代セクステットのオリジナルメンバーであるホルヘ・パルド、ルベン・ダンタスのほか、カニサーレスやニーニョ・ホセーレ、ホアキン・グリロ、ドゥケンデにチョンチ・エレディアといった共演者を中心にしてのコンサート。


 この会場はパコがアランフェス協奏曲を録音した劇場。あれからもう30年以上。今あるフラメンコを作り上げたといっても過言ではない不世出の天才の魂は今も彼らの中に、私たちの中に息づいているのでありましょう。

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アランフェス協奏曲を演奏するパコ©︎ Paco Manzano

 

【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。

 

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