(miércoles, 11 de diciembre 2024)
文/エンリケ坂井
Texto por Enrique Sakai
Alcaláのソレアー、Agustín Talega
アルカラーのソレアーを代表するホアキン・エル・デ・ラ・パウラ(1875~1933)のスタイルを4種類続けましたが、もう少しこのファミリーのものを取り上げます。
今回アルカラーのスタイル⑤として取り上げるのはホアキンの20歳上と言われる兄、(親子ほど年の離れた兄弟ですが)アグスティン・タレーガ(1855頃~?)のスタイルと言われるものですが、その息子ファン・タレーガ(1891~1971)が創唱したという説もありはっきりしません。
アグスティンの録音が存在しないので本当のところは解りませんが、言い伝えによってここではアグスティンのスタイルとしておきます。
前にも書いたようにすべてのスタイルは突然変異のように生まれるとしても必ず何らかの影響を受けていますし、親子となればその根っこが親から来たと考えるのは自然な事なのでしょう。
(Letra)
Cuando a ti nadie te quiera,
ven, que yo a ti te querré
que aquello que me hiciste
yo te lo recompensaré.
(訳)
誰もお前を愛さないのなら、
おいで、俺がお前を愛するよ、
お前が俺にしてくれたあの事、
それに報いるためにも。
◎recompensar ⇒ 報いる、埋め合わせをする
◎最初のCuandoは実際の録音では歌われていません。
8音節から成る4行詩で1行目から順番に最後まで歌っていて、その内容は優しさに溢れています。
以前に受けた親切や恩を忘れず、それに報いようとする姿勢は我々とも共通するものですが、ヒターノ達の方が仲間意識があるのでより強いように感じる事があります。
但し、こんな詞もあります。
《Que nadie te quiera,/ni que yo a ti te querré,/que el daño que me hiciste/yo te lo recompensaré. 》
「誰もお前を好きにならないし/俺だってまっぴらごめん/お前がしたひどい仕打ち/それに俺は報いてやるのだ。」
ニュアンスは正反対、まさに愛と憎しみは表と裏、紙一重なのかもしれません。メロディーは同じですからどちらの歌詞でも歌えます。
ちなみに優しい方はファン・タレーガでシャン・ドゥ・ムンドのマエストロシリーズから、後者の方はランカピーノが、私が制作したCDの中で歌っています。
最初のCuandoはCuanが飲み込まれ、最後の~doだけが歌われています。これはDiceが~ceとなる様に、歌い出しにはよくある事です。繰り返し無しで歌うのは、プーロ系の人達の”形よりも魂を”という姿勢の表れなのでしょう。
【筆者プロフィール】
エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)
1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~35(以下続刊)。
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