(lunes, 9 de septiembre 2024)
文/エンリケ坂井
Texto por Enrique Sakai
Joaquín el de la Paulaのソレアー③
今回はホアキンのソレアー、その③を取り上げます。②に続き3行詩のソレアーで、このスタイルを録音したマイレーナ、エル・グローリア、マノリートなどといった人達の中で、歌として最もよく知られているのはマノリートとマイレーナのものでしょう。
マイレーナはアルカラーのヒターノ達と交流する中でそのソレアーを我が物としたのですが、このアルカラーの名門ファミリーを知るために簡単な図を書いてみます。
今回もマノリートのソレアーで、出典は例によってベルガラ社のカンテ全集「赤箱」から、まずはその歌詞を。
(Letra)
Por dinero no lo hagas, (bis)
llévame a la 〈jerrería〉
y échame un hierro en la cara.
(訳)
金のためにそんな事をしないでくれ、
俺を鍛冶屋に連れて行って
そして俺の顔に鉄(仮面)を付けてくれ。
◎〈jerrería〉⇒ herrería(鍛冶屋、その仕事場)
3行目のhierroは鉄ですが、鍛冶屋に行って鉄(で作ったもの)を私の顔に付けてくれ、というのですからこの鉄はおそらく仮面でしょう。velo(ベール、かぶりもの)と歌う人もいます。さてその心は?
いろいろな解釈が可能ですが、金のために人の道を外れる事をする相手に対し、もう君の顔も見たくない、話しかけないでほしい、自分も家族や世間に顔向けできない、という意味で顔に仮面を付けて誰だか分からないようにする…という事ではないかと思います。
それぞれ歌う人が自分なりの解釈で納得して歌う事が大切なのです。
1行目を繰り返しますが最初のPorはわざと抜き、繰り返しの時に付けるのはよくある粋な歌い方で、あとは2、3行目を歌って終わり。例によってマノリートはこれを繰り返しませんが、繰り返す事も自由です。
ほんの少しコンパスに合わせましたが、あとは殆どマノリートが歌ったように書きました。ギタリストはこのような歌の場合、歌の構造を理解して伴奏をする必要があります。
【筆者プロフィール】
エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)
1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~34(以下続刊)。
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