(lunes, 12 de agosto 2024)
文/エンリケ坂井
Texto por Enrique Sakai
Joaquín el de la Paulaのソレアー②の別の例
今回もソレアー①の時にように、ソレアー②も別の例を取り上げます。
理由は前回書いたのですが、ひとつのエスティーロ(スタイル、型)が歌う人によって少しずつ、時にはかなり形を変える(フラメンコだから当然ですが)事で、ひとつの例を覚えるだけでなく他の例と聴き比べることで、そのスタイルのもとの姿がよりはっきり見えてくるからです。
スタイル②の別の例をあげると、ファン・タレーガのQué〈desgraciaíto〉soy(なんて不幸な俺!)、パストーラ・パボンのDile a tu〈mare〉que calle(あんたの母さんに黙れと言ってやりな)、アントニオ・マイレーナのHas de vivir con la pena(あんたは苦しみと共に生きなくちゃならない)、フェルナンダ・デ・ウトレーラのComo los judíos(ユダヤ人のように)、マノリート・デ・ラ・マリアの〈Desgraciaíto〉soy(不幸な俺)、あるいはA mí me sigue me sigue(俺のあとをついて来る)などなど…多くの例がありますが、マノリートのDesgraciaíto soyを例に取ります。
まずは歌詞から。
(Letra)
Qué 〈desgraciaíto〉 soy,
qué mala estrella me guía
por donde quiera que voy.
(訳)
なんて不幸な俺!
どこへ行こうが悪い星が
俺についてまわるんだ。
◎desgraciaíto ⇒ desgraciadito ⇒ desgraciado
詞の形は8音節から成る3行詩で、これは同じスタイルである限り変わらない。2行目の頭のquéは実際の録音からは聞こえてきませんが、本来はこれがないと8音節にならないので付けておきました。
直訳すると「どこへ行こうが俺には何て悪い星(運命)がついているんだ!」という事。
今回もプーロ系の歌い手なので2、3行目の繰り返しは無く簡潔にまとめています。
形を整えるよりは心の赴くままに本質となる部分を歌ったという感じですが、しかし誰にでも出来るというわけではありません。
前回と違うのは、1行目を1コンパスでまとめてしまわないで自由に伸ばして歌っている事で、歌い手の個性が強く出ています。
【筆者プロフィール】
エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)
1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~34(以下続刊)。
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