(lunes, 8 de abril 2024)
文/エンリケ坂井
Texto por Enrique Sakai
Jilica de Marchenaのソレアー②の別の例
ヒリーカのソレアーはアルカラーに住む親族のヒターノ達の影響を受けている事と、地理的にも近いのでスタイルの分類としてはアルカラーの中に入れられる事が多い。
私が思うにアルカラーのソレアーは、ソレアーの王様だ。
歴史的にはもっと古いソレアーの方が多いが、創唱者やその名手のほとんどが男であるので、ソレアーは女性名詞だから本来女王と言うべきところ、私のイメージは「男の歌」なので王様なのだ。
その創唱者と言えば誰もが知っているホアキン・エル・デ・ラ・パウラ(1874~1933)やその甥のファン・タレーガ、アグスティン・タレーガ、さらにはアントニオ・マイレーナといった人達だが、それに加えて女性のロエスナやヒリーカが加わった事でより幅が広くなり土地に根差した深い世界が出来上がった。機会があればそうしたスタイルも取り上げてみたい。
さて今回は、ヒリーカのソレアー②の別の例を取り上げよう。例にしたのは前回と同じくアントニオ・マイレーナ。
(Letra)
Primita, llévame al huerto
*y dame unos paseítos
que cayéndome estaba muerto.(=bis)
(訳)
あの農園に連れてってくれ
そして散歩をさせてくれ、
俺は死にかかっているんだ。
歌詞はほぼ前回と同じだが、歌うのが男性なので最初にPrimita(恋人、愛する人を指す)と呼びかけ、3行目の最後は男性形のmuertoになるので、正しく韻を踏むために1行目の終わりもhuertaでなくhuertoになっている。
両方ともほぼ同じ意味だがhuertaは広い果樹園や農園を指し、huertoと男性形になるともう少し規模の小さい畑や菜園を指すようだ。
楽譜を見てほしい。前回のスタイルと同じとは思えないくらい歌い方が異なるが、歌ってみると元は同じという事が少しずつ理解できると思う。
スタイルの聴き分けは今回の例のようになかなか難しいという一例だ。
【筆者プロフィール】
エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)
1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~34(以下続刊)。
※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、アクースティカ(https://acustica-shop.jp/)へお問い合わせください。(編集部)
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