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アーティスト名鑑vol.17

(miércoles, 20 de noviembre 2024)

 

スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。

 

文/志風恭子

Texto por Kyoko Shikaze

 

*名鑑登場アーティスト一覧はこちらから

 


Manuel Georgio Fernández

“Manuel de la Tomasa”

Sevilla 23-7-1999

 

マヌエル・デ・ラ・トマサ

本名 マヌエル・ジョルジオ・フェルナンデス

1999年7月23日セビージャ生

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2024ビエナルでのリサイタル Achivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


偉大な巨匠たちが亡くなるたび、カンテは、フラメンコはもうおしまいだ、後に続く者がいない、という声を何度か聞いてきた。が、そんなことは全くない。後を継いでより良くしていく才能は生まれてくる。マヌエル・デ・ラ・トマサはそんな一人。父方は祖父がホセ・デ・ラ・トマサ、曽祖父がピエ・デ・プロモ、曽祖母がトマサ・ソト、高祖父にマヌエル・トーレ、母方の高祖父にはマヌエル・バジェーホという、カンテ界のサラブレッド的血筋。15歳からギターを学び、18歳から歌い始め、地元セビージャはもとより、ヘレス、マドリード、バルセロナ、ビルバオなどスペイン各地のペーニャやフェスティバルで活躍。2024年のビエナルでは、レラ・ソトとともにリサイタルを披露。高く評価された。ナチュラルでムイ・フラメンコ。彼の歌は高祖父たちからの確かなフラメンコの歴史の流れ、歴史や伝統、古いものへの愛と敬意とともに、今を生きる彼ならではの個性を感じさせる。声がいい。声量もある。でもそれより何より感覚がいい。必ず一度は聴いてほしい歌い手だ。祖父譲りのサエタ歌いでもある。

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2024ビエナルでダビ・デ・アラアルのリサイタルにゲスト出演 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


【動画】

カナルスールでのデビュー当時の映像。伴奏はエル・ペルラ。


 2020年セビージャのペーニャ、トーレス・マカレーナでのシギリージャ。伴奏はダビ・デ・アラアル。


 

David Rodríguez Romero

“David de Arahal”

Arahal (Sevilla) 2000

 

ダビ・デ・アラアル

本名ダビ・ロドリゲス・ロメロ

2000年セビージャ生

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2024ビエナルでのリサイタルArchivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


子供の時から知ってるフラメンコ少年少女がいつの間にか立派なアルティスタへと成長し、プロとしても日々、成長していく姿を見せ続けてくれる。そんな幸運をくれた一人がダビ・デ・アラアル。

セビージャ県の、食べるオリーブの栽培が盛んなアラアルは、ウトレーラやモロンにも近い、ニーニャ・デ・ロス・ペイネスゆかりの町。この町育ちの友達のおかげで何度もフェスティバルを見に行ったけれど、そこで知り合ったのが彼、ダビ。まだ小学生だったと思うのだけど、すでに大人顔負けのテクニックでびっくりさせられた。10歳でギターを弾き始め、コルドバの音楽院フラメンコギター専攻卒業。またコルドバのギター・フェスティバルのクルシージョなどで、マノロ・サンルーカルやセラニート、トマティート、ヘラルド・ヌニェス、ラファエル・リケーニらのクラスや助言を受ける。プロとして、マヌエル・デ・ラ・トマサやサンドラ・カラスコらへのカンテ伴奏やアントニオ・カナーレスの舞踊伴奏、またソロ演奏で活躍。2021年発表のデビューアルバム『マルベルデ』はABC紙の同年度トップ5、フラメンコアルバムに選出。2024年には2枚目の『カジェホン・デル・アルテ』、サンドラ・カラスコとの共演の『レコルダンド・ア・マルチェーナ』を発表。同年、第9回マノロ・サンルーカル国際フラメンコ賞のホーベン(若者)部門賞受賞。

ソロだけでなく伴奏もやっていることもあるのか、コンパス感もよく、音を詰め込みすぎず、程よい間合いをおいての繊細で美しい演奏は、唯一無比。若くても自分のビジョンをしっかり持った、素晴らしいギタリストである。

 

【ビデオ】

最新盤収録曲タランタ『グアルダコチェ』のプロモーションビデオ。地元アラアルのアフィシオナード、グアルダコーチェ駐車係のラファエルに捧げた曲。とても繊細。


2022年、アントニオ・カナーレスのソレアを伴奏。懐かしい、ビエヒンのメロディをダビならではの繊細さで演奏している。


カンテ伴奏、サンドラ・カラスコと。



 
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©︎ Festival de Jerez Esteban Abion

 

Juan Tomás  Domínguez Cancele

Juan Tomás de la Molía

Trebujena (Cádiz)23-02-2000

 

フアン・トマス・デ・ラ・モリア

本名 フアン・トマス・ドミンゲス・カンセラ

2000年2月23日 カディス県トレブヘーナ生

 

二十代前半の歌い手とギタリストをあげたので、踊り手も、と思ったのだがこれが難しい。若いと思った踊り手もほぼ皆25歳以上。そんな中で、まだ未知数ながら、今、注目の踊り手をあげておこうと思う。

6歳で、ヘレスのペーニャ、ロス・セルニカロスでアナ・マリア・ロペスにフラメンコ舞踊を学び始め、2007年にはカルメン・コルテスの講演に出演。2009年からホセ・ガルバンに師事。カナルスールの番組などに出演。2014年には奨学金を得て、クリスティーナ・ヘーレン財団でハビエル・バロンらに学ぶ。2018年へーレン財団のフラメンココンクールにて優勝。再び、へーレン財団で学ぶ。2019年セビージャのペーニャの舞踊コンクールで、2020年にはヘレスで行われた“フラメンコ・プーロ”コンクールで優勝。そのご褒美として同フェスティバルで2022年最初の作品を発表。同年、アンダルシア舞踊団入団、11月にはコルドバのコンクールで優勝、と、各地のコンクールで頭角を表した彼だが、2024年は、ヘレスのフェスティバルで自らの作品『ベルテブラド』を発表し新人賞を受賞、またマヌエル・リニャンの作品『ムエルタ・デ・アモール』にも出演と、今、最も注目されている踊り手。ブレリアの細かい足取り、リズムなど目を見張るものがある。

  

【動画】

 2022年コルドバのコンクール、ソレア


2024年ヘレスのブレリア祭でアレグリアスを。


【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。

 

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