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アーティスト名鑑vol.12

(miércoles, 19 de junio 2024)

 

スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。

 

文/志風恭子

Texto por Kyoko Shikaze



2406名鑑 マティルデ・コラル ©︎ Kyoko Shikaze

2011年6月セビージャ県アラアルのフェスティバルでオマージュされ賞を受け取った時のマティルデ。写真ボケてるけど、手の形の美しさは見てほしい。©︎ Kyoko Shikaze

 

Matilde Corrales González

“Matilde Coral”

Sevilla, 22-06-1935

 

マティルデ・コラル

本名マティルデ・コラーレス・ゴンサレス

1935年6月22日セビージャ生まれ

 

バタ・デ・コーラやマントンなどの小物使い、伝統的で優美な女性らしさの表現で知られるエスクエラ・セビジャーナ、セビージャ派フラメンコ舞踊の巨匠、マティルデ・コラルはセビージャ、トリアーナ地区の生まれ。セビージャやマドリードのタブラオやホセ・グレコ舞踊団などを経て、1957年コルドバのコンクールで優勝。60年代末頃から夫ラファエル・エル・ネグロ、エル・ファルーコとトリオ、ロス・ボレーコスで各地のフェスティバルなどで活躍。バイレ黄金の鍵、コンパス・デル・カンテなど受賞多数。また長年教授活動にも取り組み、門下にはペパ・モンテス、ラファエラ・カラスコ、イサベル・バジョンらがいる。

 

【動画】

マティルデについてのカナルスールでのドキュメンタリー。本人や関係者などへのインタビューを中心に、バタ・デ・コーラにマントンのアレグリアスやロメーラなどの断片や、娘ロシオ・コラルに教えている映像もあります。


2016年のドキュメンタリー映画『アカリシアンド・エル・アイレ』の予告画像。



2406名鑑_マティルデ・コラル ©︎ Kyoko Shikaze

2007年ヘレスのフェスティバル記者会見場にて。この明るさも彼女の魅力。©︎ Kyoko Shikaze


2406名鑑 マティルデ・コラル ©︎ Kyoko Shikaze

トリアーナにはマティルデの名を冠した広場もあります。©︎ Kyoko Shikaze

 

 
2406名鑑_レブリハーノ 

2010年8月ウエルバでのパコ・デ・ルシア公演の後で ©︎ Kyoko Shikaze

 

Juan Peña Fernández

“El Lebrijano”

Lebrija, Sevilla. 8-8-1941 Sevilla 13-7-2016

 

フアン・ペーニャ

“エル・レブリハーノ”

本名フアン・ペーニャ・フェルナンデス

1941年セビージャ県レブリーハ生まれ、2016年7月13日セビージャ没

 

セビージャ県レブリーハ生まれからレブリーハ人という意味の芸名。母はマリア“ラ・ペラータ”、兄はギタリスト、ペドロ・ペーニャで、その息子たちがギタリストのペドロ・マリア・ペーニャとピアニスト、ドランテス。妹はフラメンコ専門記者のテレ・ペーニャというフラメンコ一家。ギタリストとしてプロデビュー、パケーラを伴奏するなどしていたが、歌も歌うようになりマドリードやセビージャのタブラオでは二刀流で活躍。64年マイレーナのコンクールで優勝後歌専門に。ニーニョ・リカルド、パコ・デ・ルシア、甥ペドロ・マリアらの伴奏でおよそ30枚のアルバムを録音したが、ジプシーの迫害をテーマにした『ペルセクシオン』、アラブ音楽と共演した『エンクエントロ』、聖書がテーマの『ベン・イ・シゲメ』など異色の意欲作も多い。

 

【動画】 

スペイン国営放送 伝説のフラメンコ番組で、彼を主役にした回。登録することで日本からでも観ることができます。1972年


アンダルシアの放送局カナルスールのドキュメンタリー。ソレアやブレリア、タンゴなどを歌っている映像もあります。


 

Francisco López-Cepero García

“Paco Cepero”

Jerez de la Frontera, Cádiz, 6-3-1942

 

パコ・セペーロ

本名フランシスコ・ロペス=セペーロ・ガルシア

1942年3月6日カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ生まれ

 

SP時代の名歌手ホセ・セペーロは大叔父。ラファエル・デル・アギラに師事。地元の歌い手たちの伴奏で頭角を現し、60年代後半にマドリードへ。マノロ・カラコールのタブラオ、ロス・カナステーロスなどで活躍。20世紀のフラメンコを代表する歌い手、カマロン・デ・ラ・イスラがパコ・デ・ルシアとのデュオで人気を博す前の伴奏者でもある。71年のパコ・デ・ルシアのアルバム『霊感』にも参加している。ソングライターとしても、70年代にファニート・ビジャール、パンセキート、チケテテらと組んだ、ポピュラーソング寄りのフラメンコのアルバムの数々が大ヒット。またソリストとしても7枚のアルバムを録音。80代となった今も意欲的に活躍している。


2406名鑑_パコ・セペーロ ©︎ Kyoko Shikaze

2015年ヘレスのフェスティバルにてアンへリータ・ゴメスと ©︎ Kyoko Shikaze

 

【動画】

カナルスールでの本人が司会を務め、ギターも弾く番組からランカピーノ、チケテテやパンセキート、トゥロネーロ、フアン・ビジャール、アウロラ・バルガスの伴奏もあればソロもあり。彼ならではの、親指を効かせた演奏がたくさん。最後は2017年彼がアンダルシアのメダル受章した時の州歌の伴奏風景も。


国営放送リト・イ・へオグラフィア・デル・カンテのカマロンの回。スタジオで、タブラオ、トーレス・ベルメハスで、身内のフィエスタで伴奏するパコ・セペーロを見ることができる。


2406名鑑 パコ・セペーロ ©︎ Kyoko Shikaze

2019年ヘレス市役所で、ヘレスのフラメンコ大使となった小島章司と ©︎ Kyoko Shikaze

 

【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。

 

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