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アーティスト名鑑 vol.22

  • norique
  • 6 日前
  • 読了時間: 5分

(lunes, 21 de abril 2025)

 

スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。

 

文・写真/志風恭子

Texto y fotos por Kyoko Shikaze

 

*名鑑登場アーティスト一覧はこちらから


 

Juan Rafael Cortés Santiago

“Duquende”

Sabadell 5-2-1965

 

ドゥケンデ

本名 フアン・ラファエル・コルテス・サンティアゴ

1965年2月5日 サバデル生まれ


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2010 年 リハーサルにて

 

絶妙な味わいを感じさせる声。スピードと深みがあってやわらかで、でもどこか悲痛な響きを持っていながら、何にも負けない強さがある。絵に描いたようなフラメンコな声で完璧な音程、さすがのリズム感。フラメンコを愛する家族のもと、幼い頃から歌い始め、9歳の時には現代フラメンコの礎というべき歌い手カマロン・デ・ラ・イスラのコンサートに飛び入りしカマロンのギターで歌ったという。19歳頃からプロとして活動。88年以降、何枚かのアルバムも録音。カマロンが亡くなった後の1993年、マドリードでトマティートと録音していた時に出演したライブでカマロンの再来と評され、一躍全国区に。トマティートのグループや、ソロで活躍し、カルロス・サウラ監督の映画『フラメンコ』にも出演。1997年秋、ヨーロッパツアー中のパコ・デ・ルシアに急遽呼ばれグループに参加。以後、長年にわたりパコのグループで活躍。ホルへ・パルドらとのセクステット、アントニオ・セラーノらとの新しいグループの両方で活躍した珍しい存在。1998年5月の日本公演にも参加している。


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2003年、カディス県のホテルにて

 

【動画】

2004年カナルスールのフラメンコ番組『ジャマ・ビーバ』で、タンゴス。伴奏はホセ・カルロス・ゴメス。

 

同じ番組でのブレリアも。

 

2012年パコ・デ・ルシアのグループでスイス、モントルーのフェスティバルにて。


2016年マドリードでの公演。伴奏はチクエロ。曲はタンゴ。


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2010年ラ・ウニオンのフェスティバルのパコ・デ・ルシア公演、リハーサルにて。


 

 Joaquín Grilo Mateos

“Joaquín Grilo”

Jerez de la Frontera (Cádiz) 20-7-1968

 

ホアキン・グリロ

本名 ホアキン・グリロ・マテオス

1968年7月20日 カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ生まれ

 

ブレリアを踊り出したら止まらない。靴音でメロディを、音楽を奏でる最高の音感、リズム感の持ち主ホアキン・グリロ。1981年から、フェルナンド・ベルモンテとパコ・デル・リオに学び、彼らが主宰するアルバリスエラ少年少女舞踊団で活躍。87年には同舞踊団のスター格で初来日。翌年退団し、90年には新宿『エル・フラメンコ』にサラ・バラスとともに半年出演。帰国後はマドリードに移り、ラファエル・アギラールなどの舞踊団で活躍。92年にはアギラール舞踊団、ルイシージョ舞踊団でも来日。翌年からビセンテ・アミーゴのグループでも活躍。94年、体調を崩したマノロ・ソレールの代わりにパコ・デ・ルシアのセクステットに参加。2000年まで世界各地での公演に参加した。また92年以降、自分の作品でも各地で公演し、99年には自らのカンパニーを立ち上げ、『デ・ノーチェ』『ア・ソラス』など様々な作品を上演。妹カルメンは歌い手、弟カルロスはパルメーロとしてミゲル・ポベーダらと共演している。

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2003年 コルドバにて


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2001年 Sextet de Paco de Lucía in Vienne

 

【動画】

1991年カナルスールのフラメンコ番組で。まだ若い。

 

2011年オランダのビエナルでモライートと共演。

 

2011年セビージャのセントラル劇場での公演

 

2022年ヘレスでの公演より

 

Juan Manuel Cañizares Lara

“Cañizares”

Sabadell 4-5-1966

 

カニサーレス

本名フアン・マヌエル・カニサーレス・ララ

1966年5月4日 サバデル生まれ

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2007年 マラガのビエナルでのリサイタル

  

超絶テクニックと高い音楽性。アンダルシア出身の両親のもと、カタルーニャに生まれ、9歳上でギタリストだった兄の手ほどきを受け、バルセロナの音楽学校で首席を通した若き天才は、ペーニャでプロとして演奏し始め、13歳で初録音、14歳でタブラオに出演、16歳でヘレスのギターコンクールで優勝。90年からホセ・マリア・バンデーラとともにパコ・デ・ルシアのトリオとして世界各地で公演、後、95年からはセクステットでも長く共演した。97年に初のソロアルバムをリリース。アルベニスやグラナドスなどフラメンコとも関係が深いクラシック曲の録音も多く、2011年にはベルリン・フィルとアランフェス協奏曲を演奏、また自作のオーケストラ曲をも上演するなど、ハイブリッドな才能で、2023年にはスペイン文化省の音楽国家賞を受賞している。

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1990年パコ・デ・ルシア、トリオでの世界ツアー、東京での記者会見。隣はパコのアランフェスの指揮を務めたホセ・マリア・ガジャルド。


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1995年マドリードでの映画『フラメンコ』のプレミアで。左からレコード会社ヌエボス・メディオスのマリオ・パチェーコ、モライートそしてカニサーレス。


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2003年セビージャにて

 

【動画】

2003年カナルスールのフラメンコ番組ジャマ・ビーバにて。

 

2014年ファリャを演奏


 

2019年 グラナドス『アンダルーサ』

 

【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。

 

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