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アントニオ・レイ 東京公演

《HISTORIAS DE UN FLAMENCO Japan Tour 2024》


(viernes, 13 de diciembre 2024)


2024年12月4日(水)

すみだトリフォニーホール小ホール(東京)


文/金子功子

Texto por Noriko Kaneko


A_2412_アントニオ・レイ東京公演

 2020年度、そしてこの2024年度と自身のアルバムがラテン・グラミー賞を受賞、世界的に活躍するフラメンコギタリスト、アントニオ・レイの受賞後初となる来日公演が開催中だ。スペイン国民栄誉賞受賞や国内5大コンクールを制覇するなど、その圧倒的な実力はスペイン国内だけでなく世界でも高く評価される。


 舞台に登場すると「Buenas noches」「アリガトウゴザイマス」と笑顔で挨拶。親しみやすそうな人柄が感じられる。

 1曲目はリブレの曲を、淀みなく豊かな音色で奏でる。その演奏は音の粒がきれいでしっかりしていて、速弾きでも余裕があってとても自由。長い速弾きでも安定して崩れない。


 MCでは少し日本語や英語でも話したりと、母語のスペイン語と共に3か国語を披露。実は16歳から1年間ほど、ギタリストの父トニー・レイとともに日本に住んでいた経験があり親日家だという。


 3曲目から今回の来日ツアーに帯同するカホンの坂本と、東京公演のみに出演するメキシコ出身のギター兼カホンのKINが登場。

 ツインカホンから始まる、軽快でリズミカルなアレグリアス。アントニオがカホンにハレオをかけて楽しそう。安定したリズムの上をギターのメロディーが縦横無尽に駆け巡る。演奏の合間にパーカッションのようにギターを叩くゴルペの音が、鋭い切れ味で力強い。

 この曲では長年の友人だという踊り手の中田佳代子が出演。赤のドレス姿で黒のマントンを鮮やかに翻す。タパオのリズムに応えるように小気味よい足技の音を聴かせ、ブレリアでは掛け合いも楽しく、アレグリアスにふさわしい華を添えた。


 今年度のラテン・グラミー賞受賞作品となったアルバム「Historias de un flamenco」からの一曲「Mi Rey」では、ダブルギターとカホンに加えて田中がフルートで共演。哀愁を感じるバラード調の旋律から始まり、途中からルンバのリズムに。アップテンポでいて淡いノスタルジーが感じられるメロディーに、フルートが幻想的なアクセントを加える。


 休憩をはさんで後半はミディアムテンポのブレリアから始まり、多彩なフレーズを次々に繰り出し次第に曲を盛り上げていく。続いてギターの三重奏で、2023年のアルバム「Camino al Alma」のタイトル曲やルンバを演奏。


 そしてアントニオのソロでは、再び今年度の受賞アルバムから「México en Mi Corazón」を披露。憂いを帯びたバラードを情感込めて表情豊かに弾き奏でる姿に、すっかり聴き惚れてしまう。

 ラストは全員でチック・コリアの「スペイン」。それぞれのソロパートを聴かせ、大きな拍手を浴びて締めくくった。


 余裕の貫禄とゆるぎない存在感。ギターファンのみならずとも、彼のギターの魅力にすっかり夢中になったことだろう。

B_2412_アントニオ・レイ東京公演

(写真左から)坂本弘輝、KIN、アントニオ・レイ、田中竜太


【出演】

アントニオ・レイ(ギター)

KIN(ギター、カホン)

田中竜太(ギター、フルート)

坂本弘輝(カホン)

特別出演:中田佳代子(踊り)


*アントニオ・レイ来日公演情報はこちらから


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