【東京公演】
(domingo, 6 de octubre 2024)
2024年7月5日(金)~ 7日(日)
渋谷区総合文化センター大和田 さくらホール
主催/MIYAZAWA&Co. CIC
写真/大森有起
Fotos por Yuki Omori
文/金子功子
Texto por Noriko Kaneko
2019年までスペイン国立バレエ団の芸術監督を務め、ダンサーとしても振付家としても世界的に有名なアントニオ・ナハーロが、自身の舞踊団を率いては初となる来日公演を行った。
今回のプログラムは2作品。かつてスペイン国立バレエ団として2015年に来日した時にも上演した「アレント」と、この度日本初演となる「ケレンシア」だ。
「アレント」は、スペイン舞踊に新たな音楽的要素やコンテンポラリーなどの要素を融合して作り上げた作品。「ケレンシア」は新生ナハーロ舞踊団としての最初のオリジナル作品で、様々な新しい要素を取り入れつつも伝統的なスペイン舞踊の魅力も堪能できるよう作品を構成したという。
群舞については、とにかくどの場面も美しい。
ダンサー一人ひとりの技量の高さはもちろんだが、フォーメーションの変化が素早い上にほとんど乱れない。男女別のグループになったりペアになったり、ポジション移動の動線もスムーズで芸術的。曲が変わる時もただダンサーが入れ替わるだけでなく、そのつなぎの場面すら一つの舞踊シーンとなり、観客側も気持ちが削がれない。大人数によるダイナミックな舞踊は迫力があり、少人数のグループでの均整の取れたフォーメーションは目を奪われるほどの美しさで、実に完成度が高い。
ソリストのシーンも、珠玉の場面の数々が披露された。男性ソリストのダニエル・ラモスは、身体のしなやかさとキレの良さでダンサーとしての充実ぶりを存分に見せつけ観客を魅了。女性ソリストのセリア・ニャクレは女性らしい柔らかさと艶っぽい魅力を、リディア・ゴメスは優雅な雰囲気の中にも芯の通った力強さを見せ、それぞれ際立った存在感を示した。
「アレント」と「ケレンシア」、どちらのプログラムも終演後はスタンディングオベーションで大きな拍手に包まれた。 ナハーロがスペイン舞踊のみならずフィギュアスケートなどの振付家としても有名なことから、来場者にはフラメンコやスペイン舞踊とは関係のない層の方も多かったようだ。
バリエーションに富んだ構成や演出で、スペイン舞踊の古典的な魅力と新しい表現の融合を楽しませてくれた今回の来日公演。また次の機会には、さらなる進化を重ねて素晴らしい魅力が詰まった舞台作品が披露されるのを楽しみに待ちたい。
[上演演目]
【Aプログラム】
ALENTO(アレント)
振付:アントニオ・ナハーロ
【Bプログラム】
QUERENCIA(ケレンシア)
振付:アントニオ・ナハーロ
[出演]
ミュージシャン:
フェルナンド・エゴスクエ(ギター)
ラウラ・ペドレイラ(ピアノ)
トマス・ポティロン(バイオリン)
ミゲル・ロドリガニェス(コントラバス)
ピエル・ブルエラ(ドラム)
ソリスト:
セリア・ニャクレ
リディア・ゴメス
ダニエル・ラモス
アルバロ・マドリード
エタン・ソリアーノ
ダンサー:
アレハンドラ・デ・カストロ
エバ・ヒメネス
クリスティーナ・カルネロ
マリア・フェルナンデス
アレハンドロ・ララ
ハビエル・モレノ
アルバロ・ブリト
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