《Flamenco fan LIVE》
(domingo, 22 de diciembre 2024)
2024年10月25日(金)
高円寺タブラオ・エスペランサ(東京)
写真/佐藤尚久
Fotos por Naohisa Sato
文/金子功子
Texto por Noriko Kaneko
今回のFlamenco fanライブは、今注目の若手実力派フラメンコダンサー鬼頭幸穂さん・荒濱早絵さん・脇川愛さんの3人によるフラメンコライブ《Las tres fantasías》が行われました。
3つのファンタジー…? 名前の由来を尋ねると、ニコニコしながら「楽しみにしていてください」とのお返事。
オープニングは脇川さんのグアヒーラ。夢の世界に誘うような柔らかい音色のギター前奏から始まり、荒濱さんと鬼頭さんが一節踊って花を添えます。脇川さんは愛らしい少女のような衣装で、楽しそうに踊る笑顔が印象的。リズミカルに奏でる足技やアバニコ使い、踊りの展開も多彩で見ていてわくわくします。
カンテソロは、かつてのブームの後で最近また流行り出したというタンゴ・デル・ティティ。根本さんのソウルフルな歌声は声質も良く、フラメンコの雰囲気たっぷり。歌のノリも良く、また聴きたくなるような歌声を聴かせてくれました。
鬼頭さんのシギリージャは、深い身体使いと緩急のメリハリが利いた踊りが魅力的。黒地に金の刺繍をあしらったシージョの金のフレコが、踊りに合わせて燃えるように輝きます。
荒濱さんはダイナミックで表現豊かなソレアを披露。感情がストレートに伝わるような力強い踊り。フラメンコと真摯に向き合う誠実さが伝わってきました。
後半の第2部は荒濱さんのアレグリアスからスタート。第1部でのソレアの黒とは対照的に、白地に水玉と花模様のドレスが清楚で爽やかな印象。キレのあるクリアな音色の足技と堂々と踊る姿が、気風の良い姉御みたいでかっこいい。
脇川さんは今年の新人公演でも披露した、パリージョ(カスタネット)を奏でながらのシギリージャ。鮮やかに奏でるパリージョの技術は見事で、踊りには骨太な凄みが感じられました。
鬼頭さんのソロはハレオ・エストレメーニョ。この曲は11月に参加することになっていたスペインでのコンクールの課題曲として踊り込んでいた曲で、日本のフラメンコライブではあまり観る機会の無いレアな曲種。ゆったりと重みのある曲に合わせて、表情豊かにうねりを感じさせる踊り。力強さと勢いがあり、その踊りに全力を惜しみなく捧げていました。
ギターソロは菅沼さんオリジナル曲のタランタ「月の涙」。弾き始める前に、先日ご逝去された歌い手のエンリケ・エレディア氏や瀧本正信氏の訃報に触れ、「ひとつの時代が終わって何をしていいか分からなくなっている」と率直な気持ちを語りました。鎮魂曲として、悲しみと深い想いが込められた演奏。深みと芯のある音色で、言葉にならない思いが伝わるような旋律を奏でました。
最後は、白いドレスにそれぞれ色が違う3色のシージョとコルドベス帽が鮮やかなガロティンの群舞。ユニゾンでアレンジしたパートは踊りも息が合い、ソロパートではそれぞれが自由にのびのびと、華やかな踊りで締めくくりました。
同世代の打ち解けたメンバーで、見応えのある楽しい舞台を魅せてくれた今回のライブ。ファンタジーの世界のような舞台を演出しつつ、それぞれが実力と素晴らしい表現力を兼ね備え、まだまだ伸びしろがたっぷりある彼らの今後の飛躍が楽しみでなりません。
【出演】
踊り 鬼頭幸穂 荒濱早絵 脇川愛
ギター Masa el Brujo(菅沼聖隆)
歌 根本めぐみ
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