アーティスト名鑑 vol.5
(miércoles, 15 de noviembre 2023)
スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、代表的なアーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。
今月は特別版として、世界のフラメンコファンを魅了し来日目前で注目を集めるロシオ・モリーナをフィーチャーします。
文/志風恭子
Texto por Kyoko Shikaze
Rocío Molina Cruz “Rocío Molina”
Velez Málaga, 12-9-1984
ロシオ・モリーナ
本名ロシオ・モリーナ・クルス
1984年9月12日 マラガ県ベレス・マラガ生
類まれな身体能力、卓越したテクニック。ひとところに留まることなく、感じ続け、考え続け、歩み続ける “今”のアーティストは勇敢で力強く美しい。幼い時から伝統的なフラメンコやスペイン舞踊をきちんと学び、舞踊団やタブラオも経験した上で、ロシオは枠にとらわれず、演劇やコンテンポラリーなど様々な要素も取り入れつつ、自由に自らの世界を表現していく。30代にしてすでに20作近くを上演し、中にはその先進的な表現で旧来のフラメンコ愛好家から批判を浴びたこともあったが、クオリティの高さは国内外での数々の受賞も保証する。フラメンコ本来の間合いの妙や形の美しさも素晴らしい、現代フラメンコを語る上で欠かせない存在だ。
【経歴 Biografía】
1987年 3歳 近所の教室で舞踊を習い始める。
1991年 7歳 公立舞踊学院に入学。
1992年 8歳 マラガ近辺のフェスティバルの舞台で踊るようになる。
1996年4月24日 12歳。カナルスールの番組に出演『カーニャ』を踊る。
この頃からヘレスやセビージャのクルシージョにも出かけていく。
1999年 15歳 マドリードに移り、公立舞踊学院で学ぶ。
ウブリケ、ラ・リネア、エステポナなどのコンクールで優勝。
2001年 17歳 マリア・パヘス舞踊団の一員となり『ラ・ティラーナ』などの作品に出演。イタリア、フランス、日本公演などに参加。
2002年 18歳 第11回マドリード、スペイン舞踊とフラメンコ振付コンクールに自らの振付作品『ウニコ・センティル』で共演のカルロス・チャモロらと共に最優秀舞踊家賞受賞。
2003年 タブラオ“ラス・カルボネーラス”に出演。
2004年1月 19歳 フラメンコ・フェスティバル・ニューヨーク『ガラ・デ・セビージャ』に出演し、マヌエラ・カラスコらと共演。
2004年 セビージャのビエナルの夏の若手公演に出演。
2005年2月11日 20歳 処女作『エントレ・パレデス』をスペイン北部ビトリアで初演。後、ヘレスのフェスティバル(3月1日)、フラメンコ・ビエネ・デル・スールなどでも上演(4月5日セビージャ、セントラル劇場で上演)
2005年5月14日 20歳 愛知万博に関連して行われたフラメンコ・フェスティバルの『ガラ・フラメンコ』出演のため来日。カルメン・コルテス、アレハンドロ・グラナドスらと共演。
2005年9 月18日 21歳『エル・エテルノ・レトルノ』をマラガ・エン・フラメンコで初演。翌年2月28日ヘレスのフェスティバルで上演。
2006年『トゥルケサ・コモ・エル・リモン』
スペイン文化省の舞踊WEBのチャンネルより
2006年 セビージャ県ロス・パラシオスの若手フラメンコ・アーティストに送られるベネンシア賞受賞。
2007年2月27日 ヘレスのフェスティバルでディエゴ・カラスコと共演の『パソス・コンタドス』を上演予定が『アルマリオ』に変更。
スペイン文化省の舞踊WEBのチャンネルより
2007年9月7日『ポル・エル・デシル・デ・ラ・ヘンテ』をマラガ・フラメンコ/マラガのビエナルの1公演としてアンテケーラのコレヒアタ・デ・サンタ・マリア教会で上演。
ギターなしのカンテ、トナーやロマンセ、プレゴンなどのみで踊る。
2007年9月15日 ロンダ闘牛場での公演『ア・ラス・セイス・イ・シエテ・エン・プント・デ・ラ・タルデ』に出演。ソロでロンデーニャを踊る。マノレーテらと共演。
2007年9月22日 マラガ闘牛場でのパコ・デ・ルシア公演のオープニングアクトでベルディアーレスの楽団で踊る。
2008年 マリオ・マジャ監督作品『ムヘーレス』でメルチェ・エスメラルダ、ベレン・マジャと共演。2月29日ヘレスのフェスティバルで上演。
2008年『オロ・ビエホ』
記者会見写真
プロモーションビデオ
ヘレスのフェスティバルでは2009年3月7日上演。
2009年『クアンド・ラス・ピエドラス・ブエラン』
演出家カルロス・マルキエリエの演出。2010年ビエナルでの公演に関して、文化番組での特集。
2010年 26歳 スペイン文化省舞踊国家賞受賞
2011年5月17日『ビナティカ』をセビージャ、ロペ・デ・ベガ劇場で初演。
志風のブログ
ニュースのビデオ
2012年ヘレスのフェスティバルで上演。
志風ブログ
『ダンサオーラ』
プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル
2012年10月 『アフェクトス』バルセロナで初演
プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル
2013年2月23日 ヘレスのフェスティバルで上演
2014年 英国ナショナルダンスアワードにノミネート
2015年 『ボスケ・アルドラ』
2014年9月ビエナル公演志風ブログ
プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル
2016年10月 セビージャのビエナルで『ウナ・インプロビサシオン・デ…』を上演。ローレやラ・チャナ、エステベス&パーニョスらゲストを迎えた4時間にわたる公演。
2016年11月3〜11日『カイダ・デル・シエロ』パリ、国立シャイヨ劇場で初演。
プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル
2017年3月8日ヘレスのフェスティバルで上演予定が延期、2018年2月28日上演。
2016年 ヘレスのフェスティバル『インプルソ』でフェルナンド・デ・ラ・モレーナと共演。
プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル
2017年 上海 エルメスとのコラボレーション
2017年 ドキュメンタリー映画『インプルソ 衝動/世界で唯一のダンサオーラ』
映画の公式予告編。
2018年7月『グリト・ペラオ』アビニョンで初演。
プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル
9月ビエナルでのオフィシャルビデオ
2018年9月 ビエナルでラファエル・ロドリゲス公演にゲスト出演
2018年 英国オリビエ賞に『カイダ・デル・シエロ』でノミネート
2019年 英国ナショナルダンスアワード、コンテンポラリー女性舞踊家部門受賞
2020年3月 『カイダ・デル・シエロ』公演で来日予定がパンデミックで中止。
ドキュメンタリー映画『インプルソ 衝動/世界で唯一のダンサオーラ』日本公開(DVDは2021年7月発売)
2020年9月『イニシオ(ウノ)』
『アル・フォンド・リエラ(ロ・オトロ・デル・ウノ)』セビージャ、ビエナルで初演。
プロモーションビデオ
2021年5月16日ヘレスのフェスティバルで上演。
2021年『ブエルタ・ア・ウノ』
トレジャー
リハーサル風景
2022年2月25日ヘレスのフェスティバルで上演。
2022年 スペイン政府芸術功労金賞受賞
2022年 ヴェネツィア、ビエンナーレ 『カルナシオン』で銀獅子賞受賞
セビージャのビエナル、オフィシャルビデオ
2023年 第1回タリア賞女性舞踊家部門で受賞(『ブエルタ・ア・ウノ』による)
【筆者プロフィール】
志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。
>>>>>