(miércoles, 12 de marzo 2025)
文/エンリケ坂井
Texto por Enrique Sakai

Malagueña del Mellizo③
前回のマラゲーニャ・デ・エル・メジーソは1929年録音でこの時アウレリオは42歳位。'35年出版の「フラメンコのアーティスト列伝」ではすでにカディ派のカンテを代表する存在と紹介されていますが、この後に始まったフラメンコの劇場進出や大衆化の道に背を向けた彼が再び録音したのは '50年代末マイレーナが主導して作ったアンソロジー、そして '60年代始めのイスパボックスから出た1枚のLPだ。これはギターのアンドレス・エレディアと共に素晴らしい出来で、歴史に残る1枚となったのです。
さて今回は、メジーソのマラゲーニャその③を取り上げます。
ペリコンはこのスタイルをマラゲーニャ・ドブレ・デル(又はデ・エル~どちらでも同じことです)・メジーソと呼んでレコードにもそう記しています。
つまりメジーソの他のマラゲーニャと比べると2倍の重さ、大きさのあるマラゲーニャというわけです。
確かにこの③のメロディーは雄大さ、大きさを持っていますが、深さを決めるのは歌い手の力量であり、その度量、熱量であって、世の人達も恐らくそう考えているのでしょう。しかし一般にはこの呼び名は使われていませんのでここではその③と名付けます。
ペリコンはこのスタイルをA llamarme の歌詞で、エル・チョコラーテも同じ歌詞で素晴らしい歌を歌っていますが、今回はアウレリオの弟子を公言しているランカピーノ(1945~)の歌を例に取り上げます。
'77年コルドバのコンクールでエンリケ・エル・メジーソ賞を受賞したランカピーノは常にアウレリオの写真を持ち歩き、その芸を敬愛する継承者と言えるからだ。
前歌とも言うべきグラナイーナに続いて彼が歌ったメジーソのマラゲーニャは以下の通り。
[Letra]
(Ay, dónde va a llegar ...)
Este querer tuyo y mío
dime dónde va a llegar,
(me tienes ...)
tú me tienes loquito〈perdío〉,
cada día te quiero más,
yo voy a perder el〈sentío〉.
[訳]
(どこへ行くのか…)
お前と俺のこの恋は
どこまで行くのだろう、
(お前は俺を…)
お前は俺を夢中にさせ
日毎に恋心はつのる、
もう正気ではいられぬ程に。

後半部分は次回に。この歌は“Jondo y Apasionao ~フラメンコの深い炎”1(スタジオ・カスコーロ製作)に収録されています。

【筆者プロフィール】
エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)
1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~35(以下続刊)。2025年1月Círculo Flamenco de Madridから招かれ、ヘスス・メンデスと共演。
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