(miércoles, 21 de agosto 2024)
スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。
文/志風恭子
Texto por Kyoko Shikaze
*名鑑登場アーティスト一覧はこちらから
Rafael Romero Romero
“El Gallina”
Andujar Jaén9-10-1910 a Madrid 4-1-1991
ラファエル・ロメーロ
本名ラファエル・ロメーロ・ロメーロ
1910年10月9日ハエン県アンドゥハル生、1991年1月4日マドリード没
日本公演録音
一度聴いたら忘れない独特の味わい深い、渋い声を持った歌い手。地元で歌い始めたが主にマドリードで活躍。古いカンテを熟知し、ペリーコ・デル・ルナールの編んだ、フラメンコに携わる者必携の通称『ペリーコのアンソロジー』にも参加している。1955年フラメンコ舞踊団の一員として来日した最初のカンタオール。1988年4月には舞踊伴唱ではなく、純粋なカンテリサイタルのため来日、と日本のフラメンコにとっては重要な意味を持つ。そのカンテリサイタルは2枚のCD、およびVHSビデオで発売された。没後、日本のアフィシオナードによる募金で堀越千秋制作の記念像がアンドゥハルに建立された。
1955年フラメンコ舞踊団公演のプログラムから。
1986年12月マドリードで。左からチャト・デ・ラ・イスラ、ラファエル、ペリーコ・デル・ルナールII世、オスカル・エレーロ。エンリケ坂井氏率いるパルマ教室のツアーで行われた宴で。悠然かつ毅然とした佇まい、暖かな歌声を至近距離で聴くことができたことは本当に幸せだった。©︎ Kyoko Shikaze
堀越千秋によるラファエル・ロメーロの記念碑。今はコレデーラ・デ・カプチーノ、サン・ラサロ通りの向かい側。パブリージョ通りと交わるところの植え込みに設置されている。©︎ www.radioandujar.com
【ビデオ】
スペイン国営放送の歴史的フラメンコ番組『フラメンコの祭儀と地理』でのラファエル。ロンデーニャ、シギリージャ、カーニャ、ハレオなど広いレパートリーのごく一部だが、じっくり聞かせてくれる。
東京公演のライブビデオ
Pilar López Júlvez
“Pilar López”
San Sebastián 4-6-1912 Madrid 25-3-2008
ピラール・ロペス
1912年6月4日サン・セバスティアン生、2008年3月25日マドリード没
14歳上の姉でやはり舞踊家のラ・アルヘンティニータのもと、5歳ですでに舞台に立ったという早熟のスペイン舞踊家は姉と共にスペインだけでなくフランス、アメリカなどで踊り、1945年に姉が亡くなると自分の舞踊団で活躍。アントニオ・ガデスをはじめ多くの後進たちがそこから巣立っていった。1960年来日。その公演を観たことが小松原庸子や岡田昌己らがフラメンコを志すきっかけとなったというから、日本のフラメンコの歴史にとっても重要な一人。代表作にはスペイン国立バレエ団でも再演された『アランフェス交響曲』などがある。フラメンコでは映画『フラメンコの魔性と神秘』でのカーニャをあげておこう。
1960年日本公演プログラムの表紙。この公演には元スペイン国立バレエ団監督のナナ・ロルカやアントニオ・ガデスも参加していた。
【動画】
スペイン国立バレエ団によるピラール・ロペス振付のアランフェス。
カーニャといえば、の『フラメンコの魔性と神秘』での舞踊。必見。
1970年のスペイン国営放送の動画。14分ごろからシギリージャを踊っています。全盛期ではないのが残念ですが貴重なビデオです。
Carlos García Montoya
“Carlos Montoya”
Madrid13-12-1903 a Wainscott, Nueva York, Estados Unidos 3-3-1993
カルロス・モントージャ
本名カルロス・ガルシア・モントージャ
1903年12月13日マドリード生、1993年3月3日アメリカ、ニューヨーク州ウェインスコット没
ラモン・モントージャを伯父に持ち幼い頃からギターを弾き、最初は主に舞踊伴奏で活躍し、ラ・アルヘンティーナやビセンテ・エスクデーロ、ラ・アルヘンティニータといった歴史的な舞踊家たちも伴奏している。1933年にはパリで活躍した舞踊家テレジーナと初来日。最初に日本を訪れたフラメンコギタリストである。第二次世界大戦勃発でニューヨーク滞在が長引き、そこが安住の地となった。50年代からは主にソロで活躍。数多くの録音がある。1959年には2度目、62年には3度目の来日を果たしている。長年米国在住でソロ演奏をしていたせいかその演奏、リズム感覚には一種独特なところがあるが、フラメンコギターを世界に広めた功績は大きい。
1962年来日公演時のプログラム
【ビデオ】
1957年の演奏だそう。
【筆者プロフィール】
志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。
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